このゲームの主人公(鶴田達也)は唯一の肉親である祖母を失い、遺産として残された銭湯を一人で切り盛りすることになってしまった。確かに今時銭湯の経営は苦しいだろうが、主人公の所有する鶴の湯は都心にしては珍しい天然温泉の湯、何とかなるだろうと考えていた。
しかし、その考えはゲーム開始早々崩れてしまう。その肝心な源泉が、魔法少女風の服を着た少女の出現の余波によって破壊されてしまったのだ。彼女の名前はリルカ・エグゼキュート、そして彼女の正体は秩序と安定を護るもの「ガーディアン」なのだ。「ガーディアン」とは、発展と変化を司るもの「コンストラクター」と敵対する存在。この二つは数万年毎に対決し、「コンストラクター」が勝利すると地上生物は全滅され再構築されることになり、「ガーディアン」が勝利すれば地上の生物は次の戦いまで生存が許されることになるのだ。
そして、成り行き任せにリルカと契約を結んでしまい彼女のパートナーとなってしまった主人公は、彼女とともに地球を守ったり、銭湯を切り盛りしたりすることになる。
こう粗筋だけを書くと、秩序と混沌と戦いのように宇宙的かつ格好が良さそうに思えるのだが、実際は大きく違う。なにせ、ガーディアンであるリルカからして、そもそも地底王国のプリンセス、魔法少女としては悪くないと思うが、設定には合っていない。しかも、頭が悪ければ性格も黒い。鶴の湯に金がないと聞けば、町のヤクザの事務所を襲って返り血を浴びながら金品を強奪してくる始末。それに、銭湯を助けるために主人公の家に居候することになるのだが、実際にしているのは喰ってはテレビを見るだけで、夏休みの学生並みにだらけきっている。到底、秩序の体現者であるガーディアンとは思えない。これで分るように実際のゲームは、典型的な魔法少女とか戦隊物とは違い、ドタバタなスラップスティックな展開になっている。
しかも、エロゲーらしく、話が進むにつれて主人公の回りに女性が増えていく。実は主人公のことが好きな隣の家の幼馴染(家事担当)という基本は押さえておいて、何故か主人公の銭湯で溺れていた記憶喪失の少女(仮称「ひなた」)、地球を守る秘密組織の諜報員でガーディアン捜索を命じられた山之内理緒、そして主人公のことを心配する担任教師、仕舞いには地球潜入中に主人公に助けられたコンストラクターまで現れる始末だ。
しかも、これ全員が主人公のことを気にしている。あの性格のリルカが主人公のことを好きな理由が分らないのだが、まあ女の中で一人だけいる男が他の女性と仲良くなるのは面白くないという所だと思う。当然、主人公は色々とモーションをかけられるが、そこは究極唐変木のこと、華麗にスルーしてくれる。
この辺りの掛け合いは悪くないのだが、ただ問題点がある。まずは、リルカの説明で分るように、登場人物全員の頭のネジが緩んでいること。それと、キャラの性格が立ってはいるのだが被ってしまっているのだ。
例えば、ガーディアンのリルカ、超兵器を持ち出す諜報員の山之内理緒、記憶喪失ながら手からビームを撃つ「ひなたさん」の非常識3人組は、兎も角、直情的で堪え性がない。そして、常識知らずだ。多少は「ひなたさん」がマシだが誤差の範囲と言えるだろう。一方、幼馴染と女教師の常識人間組は、人が良いけど頭の回転が遅くて、結果として騙され易くて押しに弱くなってしまい、トラブルが起こる度に被害者になってしまっている。
この辺りは、もう少しキャラの設定を煮詰めて差別化をはかるか、いっそのこと人数を減らして欲しかったものだ。特に、絵師がキャラの書き分けが下手で同じような顔なのだから、2〜3人削っても違いはなかっただろう。
ストーリー全体に関しては、アニメ並に全13話構成になっている。しかし、其々の話に山がない。もう少し分かり易く言うと、イベントはあるのだが起承転結がない状態だ。多くの話はコンストラクターが事件を起こしてくるのだが、まずこの事件のレベルが低い。例えば、町に河童が出没しているとか、大きな害がないことばかりなのだ。だからか、選択肢の多くでは事件を無視して話が進んでしまう。事件を放置しておいても、いつの間にかにそれが解決しているなら、そもそもガーディアンの存在理由がないだろう。
おかげでゲームの大部分は、登場人物は駄弁っているだけの、よく言えば常春、ぬるま湯モードの話が続いている。おかげで、パッケージの説明がどう見てもJAR○になってしまっている。
あと、このゲーム、CGが変。まあ、キャラの箸の持ち方については、日本人はおろか地球人以外もいるので、どんなものでも不問に帰すとしよう。(余談ながら、自分は日本人でも箸を刺す・掬う・切るという他にもっとよい食器があるだろうと思う使い方しかしない人を知っている)。それは置いておいてもキャラクターの腕と肩が可笑しいものが多い。例えば、多分あるキャラが前髪をかき上げようとしていると思われる立ちグラがあるのだが、それが、どう見ても手首から先が頭の中にあるとして見えない。しかも、主要キャラ立ちグラなので出現頻度が多く、違和感を何度も覚えてしまった。
最後に総合してみると、安く売っているので、まったりしたバカゲーが好きなら買ってもいいだろう。ただし、ヒロインの性格が黒くても耐えられる方、限定だが。
(タコマロ)
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