この『あなたの幼妻』の製作元は「トラヴュランス」、よって何時ものようなトラヴらしいメキシコの青空のように雲一つない明るいエロゲーに仕上がっている。
なにせ、ゲームを開始して5分も経たずに、主人公の誕生日パーティーになる。そこで、幼馴染同然の3人の女性達から争うように差し出されたプレゼントを貰う主人公。ここまではいいだろう、このシーンの前に3人それぞれの顔見せ&紹介があるので、彼女達がメインヒロインでかつ主人公のことを好きなことは分る。
だが、その後に控えている主人公の親父の台詞が凄い。
親父「ぶわはははは! 三人とも、早速始まったようだな」
主人公(玲二)「始まったって・・・・・・なにが?」
親父「いやあ、今日から葉月ちゃん、ちひろちゃん、未緒ちゃんの三人は、玲二の嫁ってコトになったからなぁ。」
まあ、トラヴだから、単なる知合い→(イベント)→好きな相手→(イベント)→恋人という恋愛ゲームの典型的な展開をサポートしていないことは分る。このメーカーなら、せいぜい、好きな相手→(イベント)→恋人で難しい話はすませて、後はH三昧が基本だろう。だが、恋人はおろか許婚も飛ばして、いきなり嫁、しかも3人というのはタガが外れきっている。
しかも、主人公はそのことを知らなかったのだ。いつからそんな話になっているのかと親に問いただしてみれば、その答は、
親父「ん? そうだなぁ、かれこれ2年ぐらい前になるんじゃないか?」
と来たもんだ。
あまりの事態に、多少は常識人の主人公はさらに問い詰める。
主人公「親父! 嫁になる云々はおいておいて、なんで三人一緒なんだ? この国の法律じゃ一夫一妻制だろうが!?」
まあ、嫁になる云々は脇に置いておけるような小さな問題ではない気がするが、流石に重婚はやばいと思ったのだろう。しかし、親父は凄い。
親父「一人が本妻で、後の二人は側室でいいんじゃないの?」
本当にいいのかと思うが、3人の相手もこれで納得している。というか、既にこいつらの頭の中には本妻争いしかない。相手のご両親とか大丈夫なのかと思ってしまうが、パーティーに出席している、幼馴染の一人である葉月(両親は既に鬼籍)の姉が、
「さあさあ〜、話がまとまったところで〜、ケーキを頂きましょう〜」
と、天然力全開で話を強引にまとめてきているので、きっと納得しているのだろう。それに、この人、主人公の担任教師でもあるし。
そして、パーティーでヤケ酒飲んで主人公が倒れていたら、親父の秘書(これでも親父は社長さんなのだ)に、新妻の「夜のお勤め」のレクチャーの教材にされてしまうのだ。あまりに、あまりの展開に、流石はジャンルが「お嫁さんがいっぱい新婚ハーレムアドベンチャー!」だけはあると納得していたものだ。
だが、しかし、ここからがいけない。蜀の軍師、諸葛亮は君主である劉備に対して「天下三分の計」を説いたと伝えられている。このゲームでも、三人の本妻候補がお互いにお互いを牽制して、Hシーンはおろかラブラブなシーンすら抑制されてしまっているのだ。
それでは、AICアニメ(『天地無用!』とか『ああっ女神さまっ』)みたいにヒロインが主人公の周りに群れてバカな騒動が起きるかというとそうでもない。確かに、あるヒロインと遊園地に遊びに行くと、残されたヒトイン達が後をつけてくるシーンがあったりする。しかも、隠密用に頭に木の枝をつけてだ。ただ、そんな所でもCGがない。そもそも、このゲーム、エロシーン以外のCGが無いといっても良いほど非常に少ないのだ。
それでも、文章が上手かったり、恐るべき非常識な展開を見せてくれたりすれば問題ないのだが、所詮は宇宙人とか未来人とか超能力者とか、マッドサイエンティストすらもいない比較的普通に近い登場人物達では、いまいちパンチ力が足りない。これで、あの非常識な親父が後でも登場しまくってくれれば多少は救われるのだろうが、彼はさっさと出張に出かけてしまうのだ。
この、ギャグでもないエロでもない中盤の流れはどうにかして欲しかった。それでも、後半ではエロシーンが増えるのだが、これがあんまりエロくないのに加えて、CGが下手なのは何とかして欲しい。エロさが足りないのは、ピーカンなトラヴの路線として少し避けずらい面があるのは分るが、これだけ作品を出していて、以前より絵が稚拙になっている原画家と塗り師にはどうにかしてもらいたいものだ。例えば、メインヒロイン(嫁)の一人が頭に巨大なリボンをつけているのだが、どう見てもそれが布地には見えずに、巨大メカの怪しい部品にしか見えなかったりするのだ。
作品単体としてもメーカーとしても序盤のトップスピードが維持できずに次々と抜かれていく弱い逃げ馬みたいな状況に陥っているようにしか思えない。それでも、中古価格は安いので、ハーレム路線が好きな人が、導入部のインパクトを味わいたい人はプレイしてみてもよいだろう。
(タコマロ)
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