このゲーム、何と購入価格480円。それも、中古でなく新品の価格だ。まさに、どこに出しても恥ずかしくない立派なワゴンセール品であろう。
何故、ここまで安いのか? 誰でも疑問に思う。会社が潰れて在庫が放出された、単に造り過ぎ等、色々原因は考えられる。でも会社は現在でも健在で『いけない関係』というバグだらけの新作を出して大活躍している様なので、おそらく後者が原因だろう。
その肝心な内容は、人間の心を持つように開発されたアンドロイド「エアリス」を、教育係に選ばれた主人公が1ヶ月間育成することで「人間らしさ」を学ばせることらしい。いわゆる、ロボット娘育成ゲームである。このある程度の人気が期待できる内容に、問屋が騙されて大量に購入したのであろうか?
しかし、ゲーム開始早々で分かるのだが、エアリスは目覚めた当日から、理論的行動がとれ、日本語も理解でき、少々経験不足ながら料理も可能、しかも笑ったり怯えたり等の感情も持っている。もう完璧だろう、一体全体、俺は何をするんだ? 主人公もそう思ったのか、エアリスに知識だけでなく経験を積ませることが重要だと認識する。
ここまでは良い。しかし、育成手段とその結果が滅茶苦茶だ。大体、なんでアンドロイドと「はさみ将棋」なぞする必要がある? エアリスは、そこまで馬鹿なのか? しかも、これで「器用」の能力値が上がるから不思議だ。他にも人間の肉体構造を教えたら、「常識」が上昇したり、日曜大工を楽しむと「魅力」が上昇したり、教育の結果には疑問ばかり。そこで、取説のパラメータの説明を見てみた。以下に、それを引用する。
知識…エアリスが身につけた知識の数値です。
情操…エアリスが身につけた情操の数値です。
器用…エアリスが身につけた器用の数値です。
常識…エアリスが身につけた常識の数値です。
魅力…エアリスが身につけた魅力の数値です
馬鹿にされているのか、それとも書いた奴が馬鹿なのか? どっちにしろ全然説明になっていない。兎に角、これは深く考えるなという忠告だと思って、先に進めることにする。
しかし、これが非常に何の変化もなく面白くない。朝起きて、2回訓練をして、家に帰るという毎日が続くのである。大体、主人公はエアリスと同居しているのだ。エアリスと主人公は同じ風呂に入ったり(同時には入らないが)、エアリスが着替えたりする時もあると思うのに、それに関して主人公には特別な感情がまるでない。まあ三年間も製作に力を注いできた物が急に感情を持ったとしても、良くて子ども位にしか感じないという所なのであろうか? 兎も角、最初の二週間はお約束のトラブルも全然起こらず、非常に面白くない時間が過ぎる。
でも、これが聖バレンタインデーから急変化。二人でチェスをして負けてやるか選べたり、二人で一緒に日向ぼっこしたり、やっとゲームらしい展開になる。はっきり言って、プレイ時間は半分になるし、最初の二週間は削除してもらいたい。そんな感じで残り二週間を進めていくと、エアリスを盗もうとする輩との戦いや、数人いるサブヒロインとのH等を経て、普通ならエアリスと結ばれてゲームは終わる。
まあこれで、目出度し、目出度しなのだが、しかし幾つかの疑問が残る。この主人公、エアリスの開発初期から関わっているのだが、何をしていたのか全然分からない。取説によると、ロボット工学関係の教育を受けていたらしい。普通なら何の問題もないが、しかしエアリスに関してだけは大問題だ。なぜなら、エアリスは我々が普通考えるロボットとは大きく違う。有機体で構成され、食事を消化吸収して自己再生をするのだ。これはロボットではなく、人工生命体と呼ぶのではないかと思うが。まあ未来では、機械も合成タンパクやプラスチック等の有機材料を主な構成要素にしている可能性はある。しかし、エアリスは有機素材で造られた最初の画期的なタイプらしい。しかも、主人公は、あるサブヒロインの父親がこの有機素体を発明したのだが、その人物の事を全然知らない。
それでもプログラム関係の仕事をしていた可能性はある。しかし、主人公は信じられない事に、この3年間、エアリスの頭脳システムの開発者に1度も会った事がないのである。尋常な話ではないが、これでプログラム関係の可能性は非常に低くなった。主人公は、この3年間、何をして過ごしていたのであろうか? お茶くみや事務仕事に専念していたのだろうか? どうにも気になって仕方がない。
まあ、そんな些細な問題はおいて置いて、このゲームでも、エアリスは自分の存在に何の疑問も持たない。自分は何のために造られ、そして何をするべきなのか、そして死んだら(機能停止したら)どうなってしまうのか? 無論、これは人類だって分からない命題である。それをストレートに聞けるのが知性を持つロボットだと思うのだが、どうであろう? だから、私はエアリスの育成に関して、集中的に神話について勉強させたのだが、それは全部無駄に終わってしまった。まあ、一個五百円のゲームに期待する私が間違いだなんだが。
(タコマロ)
|