最初に言っておくことがある。自分は全然、『ラブひな』を知らない。連載当時のマガジンを読んだこともなければ、アニメの方も見たことが無い始末だ。それでも、『温泉漫画』と言われていたり、主人公が女ばかりの寮にいる受験生だったりすることは知っている。(もしかすると、もうこの乏しい知識の時点で既に間違っている可能性もあるのだが。)
本来なら原作の情報を調べてからレビューを書くのが普通だろう。しかし、今回はあえてそれを置いておいて、この無知から生まれるギャップを楽しむ形で原稿を書きたい。よって、今回は全然知らない人間のインプレッションと思って読んで欲しい。
まずは箱を開けてみよう。すると中には取説以外に、厚い紙が折られて入っていた。まあ、『ラブひな』関連商品の御案内かと思って開いてみたら、何と、ビョーンと女の子と椰子の木が飛び出てきた。口で言ってもよく分からないだろうが、一言で言うと「飛び出る絵本」なのだ・・・・・・。完全に出鼻を挫かれた気もするが、見なかった事にして取説を読もう!
すると最初に親切に漫画のストーリーが解説してある。これはありがたいと読み始めた。すると、なになに、
「あいするふたりがトーダイにはいるとしあわせになれるの。いっしょにトーダイにいこうね。」あの、15年前の約束の少女は今どこに・・・
・・・どうも自分と『ラブひな』の間には地球←→アンドロメダよりも深い溝がある気がしてきた。確かに子供の考えには間違いが多い。自分も幼少の頃、時代劇の影響で虚無僧は暗殺者集団としか思っていなかったという恥ずかしい話がある。しかし、それを話の主題に置くか? 文句を言うなら原作漫画になるだろうから、もう前提条件として先に進めよう。すると、受験生と女ばかりの「ひなた荘」の管理人の両方をすることが分かった。それにキャラ紹介等、原作を知らない人間にも分かり易い取説にしている事には、好感が持てる。システムも理解した。それではゲーム本体に入ろう。
ゲームを開始すると、OPが動く、動く。洗濯物アニメで干しているよ、バナナ喰っているよ。すげー、GBAって、こんな事も出来るのか、素直に驚いたぞ。(自分、GBAは『逆転裁判』くらいしかやった事がない)。結構、真面目に造っているのかもしれん。てっきり特価千円で新品を販売してたからダメダメな作品かと思ってた。
それじゃ、期待で胸膨らませて「はじめから」でスタートだ。すると、主人公が予備校らしき所でトップの成績を取っている所からゲームが始まる。ふむ、どうやら能力は問題ないが、色々な事件の為に本番には弱い奴と見た。まあ、漫画ではお約束という奴だな。そこで、いきなりノリで、知らない女性と握手する主人公。ああ、これが同じ浪人生の約束の人、つまりメインヒロインという奴だね。OK、OK、まったく無問題ね。
すると突然、選択肢が出現。しかも、二択の周囲には点のついた輪が広がり、ピッ、ピッ、ピッという電子音と共に、次々と点に色が点燈して行く。これは、もしかして時間制限と言う風習? おいおい、そんな話、全然聞いていないぞ。慌てている内に時間オーバー。これまでの事も、主人公の単なる妄想で成績も悪い事が判明し、相手に殴られる。そして気力を1点失う始末。うっ、全然無問題ではない、すげー問題だぞ。せめて、取説に説明ぐらい付けてくれ。
まあ話の方は、主人公のおばの経営する旅館「ひなた温泉」に呼ばれることになる。旅館の前で、声をかけても何の反応もないで、中に入るかと選択肢が出てくる。この辺りで、やっと選択肢の内、字が白い方と黒い方では、黒い方がアクティブ(現在選んでいる方)であると分かる始末。しかも、GBAだから画面がよく読めない。特に黒い方がキツイ。
そんな訳で、意に反して「旅館の中に入る」を選んでしまった。それで、人がいないので温泉にまで入ってしまう主人公。それで、お約束ながら女の子、メインヒロインの成瀬川が温泉に入ってくる始末。ギャルゲーと言えば、ギャルゲーらしい展開だが、これ、本当に任天堂のゲーム機のソフトなんだろうか?
当然ながらノゾキ扱い。しかも、漫画的な強烈な一撃をかましてくる。当然、気力も減る。最終的にはオバサンが出て来て誤解も解け、旅館改め女子寮の管理人となることになる。
さて、このゲームは、女性達が登場する度に起こるトラブルを潜り抜けて、その女性のラブ度を上げていくことで進んでいくことになっている。トラブルが発生すれば(つ〜か、その相手に殴られたり、切られたり、ツッコミ入れられたりするのだが)、気力が消耗していく。そこで重要なのは、温泉だ。温泉に入ることで、主人公の気力はみるみる回復。温泉こそが、主人公の命綱。ビバ、温泉。流石、温泉漫画と言われている事はある。
ここからは、一人ずつ女の子が登場して話が進んでいく。それで第二話は、前原しのぶ。彼女は中学生なのだが、初登場のシーンで、主人公は「お! あれはオレごのみのワカイイ子!」なんて言ってくれる。さらに攻略対象には、「しのぶ」以上に幼そうな子もいるので、どうやら主人公のストライクゾーンはかなり低目。それは危険球ではないかという疑問もあるが、任天堂もOKを出しているので、これ以上触れるのはやめよう。この話は、両親の離婚問題とか、意外と深刻な問題がありながらも、彼女も「ひなた荘」の一員となることで終わる。
その次の登場は、青山素子。街でナンパ中に彼女を誘って殴り倒されることが最初の出会い。そして、ひなた荘に戻ってみると、彼女の着替え姿に遭遇してしまう。今度は必殺技(斬空剣でいいのか?)を喰らうが、なぜバスタオル姿から瞬間で、巫女装束+真剣になる! まあ必殺技のバンクシーン(繰り返し)は許すが、それが終わっても、何で平然と巫女装束着てるんだ。これが噂の、「コンバットスーツを蒸着するタイムは、わずか0.05秒にすぎない」という奴か(違います)。それなら、ぜひ「では蒸着プロセスをもう一度見てみよう」を入れてくれ(入りません)。やっぱ、任天堂の許可がおりないか(色々な意味でおりません)。
この愉快なキャラの登場までは、話はいい感じで進行してきた。しかし残念ながら、容量の関係か、ここから話がダイジェストモードに突入してしまう。主要キャラを全員登場させる必要性があるのは分かるが、もう少し何とかならんか?
なにせ、他の寮生に、東大生ではなく浪人生という事がバレたら、直ぐに東大受験。しかも、話の根本たる15年前の約束、メインヒロインの成瀬川には関係ないし(本当はメインじゃないのか?)。 それで実は約束の真の相手らしき人物が現れるは、結果的に受験に落ちて傷心旅行に出るは、原作知らない人間には付いていけない展開なんだが。しかも、京都の傷心旅行なんて、成瀬川と何かあったらしいのだが、たった数枚のCGを表示するだけで終わらせているし。
本当に、もう少し工夫できんかね?
最後にまとめるなら、CGはアニメの流用なのか非常に綺麗だ。しかし、後半の原作を追っているだけのストーリーなんて、誰が楽しいのだろう? ファンは知っている展開だろうし、知らない人間には理解できない展開だ。まあ、それでも、千円の価値は十二分にあったと思う。
(タコマロ)
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