日露戦争が舞台なのに戦艦が天高く舞い、テレビ版では毎回毎回女性の下着を全開でお茶の間にお送りしていた、あの『らいむいろ戦奇譚』が帰ってくる。しかも、今回の『らいむいろ』もゲームとアニメのほぼ両面作戦らしい。(しかし、一応は戦争物を扱うなら、2回の世界大戦で2回とも両面作戦に突入し、挙句の果てに無残に敗れたドイツの戦訓を少しは生かしてもいいと思うのだが)。
本来なら、喜ぶべき所なのだろうが、前作の微妙な出来に懲りていたので、最初はあまり興味がなかった。しかし、elfさんのOHPを見にいって、そこの説明を見た瞬間から、俄然、興味が沸いて来たのだった。
なにせ宣伝で、「「らいむいろ流奇譚X」は、よりストーリーに集中、より熱い戦いを実践していただけるよう、話数が飛ばず、やり込み性の高い3D戦闘を繰り返し、1話から13話まで順番にゲームを進めていきます。」と書かれているのだ。この赤字の強調部分はelfさんの説明の段階で強調されていたことを、ここに記しておく。
つまり、前作で最大の問題点であった成績が悪いと話を飛ばすという前代未聞のゲームシステムと、18禁のゲームとしてはプレイヤーを馬鹿にしているとしか思えない時間の無駄だった「空中ジャンケン戦闘」は、流石にelfさんの方でも、こいつはやっちまったなと思ったのだろう。この文を読んで、勢いでゲームを頼んでしまったのだが、これを見ただけでも、十分に元がとれたという物だ。後は、elfさんが、前作の問題点をどう改良する気なのか、お手並み拝見って楽しみにしながら現物の到着を待っていた。
そして入手したゲームをHDにインストールして、まるで罰ゲームのような壮絶な歌を聞くと、自分は本当にelfゲームをやっているのだと思えるようになったのだから慣れというのは恐ろしいものだ。かつては、この歌も何とかならんかと思ったが、今ではelfさんのトレードマーク、これがないとelfじゃないって所まで昇華してしまっている。ぜひ、次回もこの路線で進めてもらいたい。
兎も角、そんな歌のことはおいて置いてストーリーに入るとする。今回の礼武隊は、海軍だった前作と違って、陸軍所属の新部隊。隊長も、今回は士官候補生ながらも正式に軍から任命されている。この辺りは新メンバーになっているが、部隊が搭乗しているのは前作と同じ天乃原なので九鬼さまや梶艦長、須美さんは前作から引き続いての登場となっている。また、礼武隊の面々が授業を受けるのも継続である。
しかし、この礼武隊の隊長が、熱血かつ直情なキャラなのは、シナリオが「あかほりさとる」先生なので既に覚悟していたからギリギリ許容範囲ではあった。だが、最初はこの性格に加えて主人公が、単なるエゴイストで、身長がお子様なだけでなく頭の中身までお子様だったのには閉口した。無論、この銃殺ものの無能な働き者である新隊長の「犬養強志郎」がプレイヤーの動かす主人公なのである。
当然、最初から最後まで主人公がアレな性格のままで押し通すことなく礼部隊の面々と触れ合って少しはマシな性格に変わっていくので安心して欲しい。この成長ぶりはたいしたものだが、まあ、平均より低い奴が少しマシな所まで成長するだけで、とても成長したように見えるという所があるのは否めない。
それでストーリーに話を戻すと、今回の敵は帝政ロシア軍ではなく、ラスプーチンの遺産エッグを使う結社ファーデン騎士団なのだ。だから、陸軍礼武隊はロシア軍と戦うことはない。また、ロシア領に向かう戦艦天乃原は半島の上も通らなかったが、今回はいらぬ問題を起こさないようにと少し配慮したのかと思うのは穿ち過ぎだろうか? (個人的には、例え舞台が日露戦争でも、女性の軍人が白のミニスカートの軍服を着て空飛ぶ戦艦で戦うというバカゲーなのだから、細かいことなんて気にせずに、はっちゃけて欲しいと思うけどね)
このファーデン騎士団、ファーデン伯爵夫人が私的に結成した組織なのだが、はっきり言って何をしているか詳しいことは誰も説明してくれない。さらに、敬礼が「ハイル、フラウ・ファーデン!!」って何故かドイツ語を使っている(さらにファーデンはドイツ語で糸の意味)。だからファーデン家は、てっきりエカチェリーナ2世のお輿入れと一緒にロシアに渡ってきたドイツ貴族かと思ったら、真の正体は唖然とするものだった。
このファーデン騎士団、確かに礼武を使っている時点で日本軍にとって潜在的な脅威だとは思うのだが、何をしているのか分からずにそれを退治に乗り出すのはどうなのだろうと最初は思った。だが、何であれ先に相手の方から武力行使してきたし、目的の為には手段を選ばない悪の組織だったので、そんな問題に悩む必要がなかったのはありがたかった。
また、今回は製作者コメントで「あかほりさとる」先生が凄いことを書いてある。そのコメントを引用すると、「今回の『らいむ』は今までとちがう! とにかく『エロ』にこだわったシナリオを堪能してもらいたい。自分でも「こんなにやっていいのか?」ってくらいに『エロ』をつめこんだ。それはゲーム内の第一話をプレイしてもらえればすぐに理解してもらえるだろう」となっている。
それで実際に第一話を見てみると、いきなり旅の僧らしき姿をした人物と喧嘩をしている主人公から幕を開ける。いきなり溜息をつきたくなる展開だが、流石に僧侶をぼてくることはなく、逆に相手に軽く一捻りされて失神させられてしまう(お約束だね)。そして失神したところを幼馴染に介抱されるのだが、ここで幼馴染(島つむぎ)におしゃぶりされて起こされせるのだ。二人は久しぶりの再会で、本来なら感動の再会シーンになるはずなのだが、最悪の再会シーンになってしまっている。
さらに、これを皮切りに、回想のHシーン、島つむぎの妄想のHシーン、九鬼様とのHシーン、敵方のHシーン、そして最後は逆夜這いのHシーンと、本当にこれが第一話なのかと思うほどのHシーンの連続になる。説明の多い第一話からして既に、話の合間にHシーンがあるのではなく、『エロ』の合間にストーリーを入れ込んだという構成になっているのだ。確かに、この第一話をやって『エロ』だらけと分からない奴はいないだろう。
まあ、話の前半戦はこんなレベルで済んでいるのだが、後半戦に突入すると『エロ』のレベルが衰えるどころか上昇するのだから頭が痛い。なにせ、礼武隊の隊員二人を相手にした3Pシーンが繰り返されるようになるのだ。しかも、これを触媒にして3Pした二人が強力な合体技を繰り出すのである。これがタイトルにもなっている「X」、つまりCROSSの力なのである! 先生のコメントも見ても凄いと思ったが、出来上がりはそれを遥かに超えていたのには驚いた。
さらに、「あかほりさとる」先生はコメントで、「今回はひたすら『熱い』ということだ。熱く燃える"漢"と書いて"おとこ"のドラマ。」まで書かれているが、こちらも凄いことになっている(先生の日本語の方も凄いけど)。まあ、暑苦しい主人公であることは、ここまでで分かっていると思う。だが、こちらも現実は予想を軽く上回っている。なにせ級長が先生である主人公の間違いを指摘できないという話で、それを説得するために、いきなり主人公は正義の鉄拳と叫んで医務室のベットを一撃粉砕するのだ。流石に、これは委員長タイプの級長も止めに入るのだが、それに対して、それでいいのだこれからも間違いを指摘してくれと言う主人公。アンタ、本当に頭大丈夫か?
さらには、もっと先の話となると、本当に相手を受け入れることはこういうことだと相手に説明するために、自ら雷に打たれて、その後に気合で雷雲を追い払って太陽を覗かせてしまうほどの滅茶苦茶ぶり。どう考えても熱血どころの話ではなく、到底、主人公は人間に思えない。それでも、最終回あたりの熱いノリはジャパニメーションをよく見ている自分としては悪いものではなかった。
それで、話が変わって今回のSLGの方だが、こちらはスクウェア方式のSL・RPG形式で、きしっと創られている。おかげて、ますます『サ○ラ大戦』っぽさが強調された感があるが、そんな事は前作から分かっていることだから無視して話を進めよう。
このSLGの特徴としては、まずZOCが無いことが挙げられる。また、各ユニットに今回も5種類の属性が存在し、それぞれ有利・不利が設定されている。そして、こちらがたった5人で、数で優勢な敵を倒すゲーム展開なので、敵の各ユニットはボスを除いてこちらより弱く設定されている。だから、有利な属性で攻撃すれば敵を一撃で屠ることも可能だ。
逆に、苦手な相手に集中攻撃を受けると味方の礼武も撃破されてしまうので、苦手な敵から攻撃を受けないように効率的に敵を排除するプレイになってしまう。まあ、適当な間合いを開けるという手もあるのだが、なにせZOCがないので戦線を形成しずらく、このゲームの場合、敵より離れることは戦闘に参加しないということとほぼ同義語になってしまう(攻撃手段が大砲であるシュロの礼武カネツグだけは例外だが)。
ZOCがなくても敵味方を含めてユニットのあるマス目は通ることができないので、少しは敵のブロックはすることはできる。だが、概ね、このルールは狭い戦場の時に味方の渋滞を引き起こすだけで、ますます足の遅いユニットの活躍の場を奪っているだけにしかなっていない。せめて味方のユニット居るマス目ぐらいは通行可能にして欲しかった。
ただ、このユニットの居るマス目の通り抜けが可能な礼武が一種類だけ存在し、忍者タイプだけが味方だろうが敵だろうかすり抜けて移動してくる。しかも、コイツの場合、壁すらもすり抜けてくる。それ所か、画面上のマス目が表示されていない部分(当然そこで移動を終わることはできない)まで平然とすり抜けて移動してきたときには笑った。まあ、忍者は防御力にあまりにも問題を抱えていて、敵の忍者なんて攻撃を回避されなければ簡単に一撃で屠ることが可能なので、そんなにバランスは崩していない点は悪くない。
使い勝手に関しては、移動もしくは攻撃をしてない味方ユニットをクリックすれば敵全部の上に相性が良いか悪いかの表示も出るし、移動できる範囲と攻撃できる範囲の表示が出るので、プレイ上分かりやすかった。そして、敵のユニットをクリックすれば、その残りHPは当然として、ユニットが動ける範囲と攻撃可能な範囲まで表示されるのはユーザーフレンドリーと言えるだろう。全体としては、合格点以上に達していると思う。
希望を言えば、もう少し勝利条件や敗北条件に種類が欲しかった。なにせ、勝利条件は「敵を全滅させろ」か「ボスを倒せ」だけしかないし、敗北条件も1回だけ特定部分に敵を侵入させない面があっただけで他は全部「味方が全滅する」だった。例えばマップを特定部分まで全ユニットを移動させるとか、敗北条件にターン制限をつけたりすれば戦術も変わり、もう少しメリハリがついたと思う。
全体としては、声優もTV版と同じだけあって全員上手いし、elfさんだからCGの塗りも悪くない。ストーリーの『エロ』重視と、主人公のお子様ぶりに我慢できれば、非常に面白い作品ではないだろうか。ただ、自分には、あの『エロ』と熱血ぶりに食傷気味になってしまったが。
それと、最後に言いたいのは、話数が飛ばないという話が嘘だったことだな。まあ、インターミッションのファーデン騎士団とも戦闘もない話が最初プレイでは絶対にスキップされてしまう。どうせ、雪山・温泉・『エロ』ばかりの話なのだから、最後のオマケにすれば良かったと思うのだが、何を考えているのだろうか?
ネタバレ
さて、これ以下は本当にネタバレなのでプレイして楽しみたい人は読まないで欲しい。
まず、ファーデン公爵夫人だが、この人の正体だが、エカチェリーナ2世の随行員の子孫どころか、何とエカチェリーナ2世ご本人。確かに、居城がエルミタージュだったりして、彼女を連想させるキーワードが多いのだが、まさかご本人とは思わなんだ。
エカチェリーナ2世とは、確かにロシアを大国にのし上げた功労者ではあるが、旦那のピョートル3世をクーデターで退位させたり(その後暗殺)、愛人はたくさん囲ったりする凄い人なので、彼女が復活すれば、あれだけ滅茶苦茶するのも分かる気もする。
それと、アニメの第一話を見た人は知っていると思うが、このゲームの主人公は普通の人間ではない。あのダサい白い礼武に変身することからも分かるように、彼は半分人間、半分礼武らしい。ただ、どうして、そんな変な代物が存在するのかは、誰も説明してくれなかった。まあ、次の話の伏線かもしれないから深く追及はしないでおくけど。
それと、これで「らいむいろシリーズ」のラスボスも、ラスプーチン、エカチェリーナ2世と凄い面子が続いたので、日本海海戦(世界的にはツシマ海戦)にあたる次回作は、ぜひ、バルチック艦隊の創設者であらせられるピョートル大帝にハンマーを持って登場してもらいたいものだ。
(タコマロ)
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