皆さんは、『聖少女艦隊 バージンフリート』というPSのゲームをご存知であろうか? 広井王子とコナミがタッグを組んで造り、OVAまで発売されたゲームである。この『らいむいろ戦奇譚』の紹介を見た時に、自分の頭に真っ先に浮かんだのは、この『バージンフリート』であった。なにせ、「あかほりさとる」とELFがタッグを組み、テレビアニメにまでされるのである。しかも、両方とも海軍が舞台。『バージン』は二次大戦ライクで、『らいむいろ』は日露戦争。誰が見てもソックリだろう。
あの素薔薇しい『バージンフリート』が復活する。自分は、期待しながら発売を待っていた。まあ、そんな可能性は無いが、万が一、予想が外れて面白い作品だったとしても、それはそれで問題はない。そう、どっちに転んでも、悪い事など無い。しかし、事前に公表されたOP、特にその壮絶な歌を聞くなり、その期待は確信にまで高まった。まさに、完璧な計画に思えたのだが・・・・・・。
しかし、実際にプレイした感想は、あらゆる意味で期待外れ。確かに、絵は綺麗だし、声優も上手い。しかし、ただそれだけ。あえて形容するなら、水位が5cm位しかない競技用プールの様なゲーム。つまり、底が浅くて、世界に全然浸れない。しかも、無駄にダラダラ長い。まさに絵に描いた様な、ダメゲーだ。まあ、文句を言うだけでは納得いかない人もいるだろうから、実際の内容に入って行こう。
まず。このゲーム、取説が無いに等しい。その殆どをオンラインヘルプに頼っている。これは寂しいが、まあメーカーの意向という事で許そう。それよりも、問題なのは、世界やキャラ設定の説明が一切無いことだ。日露戦争や、この世界特有の設定についての知識が無くて楽しめる出来なら文句は言わないが、そんな出来でないなら素直に取説で説明しろ。これでは、気分で日露戦争を舞台にして、行き当たりばったりに設定造っていると言われても文句言えんぞ、「あ○ほ○さ○る」先生。
そして、ゲームを開始して最初に現れるのは、「カエルのお姉さん」(声:友情出演の水谷優子先生)と「サル」のお姿。これがビデオを再生する、絶対にスキップ不能のシーンが入っている。そして、ELFのロゴが表示され、それから本当のゲームスタートである。これを毎回・毎回、見せられるだけで、ゲームをやる気が確実に削がれていく。ああ、なんて凄い演出なんだろう、流石は「あ○ほ○さ○る」先生、感服したぜ。
そして本編を開始すると、第一話開始早々、主人公(馬飼新太郎)の回想の形ながらHシーンで幕を開ける。元外交官である主人公と、ロシア滞在中の恋人(政情の悪化で結果的には別れた)との思い出だ。これで主人公のモデルが、広瀬武夫中佐であることが分かる。彼はロシア留学中に現地の女性と交際を深めるが、軍からの命令で帰国し、第二次旅順港閉塞作戦で戦死した悲劇の人である。ちなみに、このゲームの主人公の場合は、この最初のシーンから終わりまで、Hシーンの連続攻撃を繰り広げてくる。
それで帰国後に外交官を退官した(それならロシアに残れ馬鹿が)主人公は、北海道の天乃原女学院に教師として赴任する。しかし、赴任先が、どう見ても船(それも軍艦)内である事に気がつかないのは、何故? 本当に、主人公は外国に送り込まれる程の外交官であったのだろうか、非常に疑問である。
それから、女生徒の面々に会ったりしている間に、敵襲がある。敵の礼武(驚くなかれ、これでライムと読むのだよ)が襲ってくるのだ。そこで五人の女生徒が念を込めると、オーラが立ち昇り、レモン(本当はライム)の輪切りが空中に出現する!! それに対して戦闘指揮の伊達少佐が説明してくれる。「魂色(こんじき)だよ、馬飼君!」。そんな名前なんか何でもいい、自分は、何故、ライムの輪切りが出現するか聞きたいんだよ。ちなみに、この謎については、一切、本編で説明されることはない。多分、「あ○ほ○さ○る」先生の単なる思い付きだろう。
まあ話を戻すが、まるでスタンドが出現する様に礼武が現れるのだが、これが凄くショボイ。何かダミー人形に五色の色が付いたみたいな存在なのだ。まあ、これは追々成長して、少しはマシになるから許せる。
しかし、本当に許せないのはこれからだ。何とライム隊戦闘指揮の伊達少佐は、何を血迷ったのか、礼武の事を何も知らない学校の先生である主人公に礼武隊の指揮を任せて、船の指揮を執りに戻ってしまうのである。しかも、後で聞く話では、礼武に対しては通常の兵器は殆ど効果がないそうなので、この愚劣指揮官は何をしたかったのか理解に苦しむ。
それで戦闘になるのだが、この戦闘シーンが最高につまらない。簡単に説明すると礼武には5属性あり、他の2つの属性に強く、残りの2つの属性に弱い。後は、この強弱関係で、半ばジャンケンの様な戦いをするだけなのである。はっきり言って、18禁ゲームである事を考えると、プレイヤーを馬鹿にしている代物である。簡単に勝利することが出来るだろう。
この戦闘に勝つまでが第一話。第二話になると、少しは説明がある。それによると、旅順要塞にロシアの礼武がいて日本軍か苦戦しており、それに対抗する為に集められたのが彼女達であること。そして、ここが戦艦・天乃原であり、年端もいかない彼女達のたっての願いで女学院が設立された事が分かる。
そこで再度の敵襲があるのだが、今度は、主人公は船の特殊な場所に派遣される。その部屋に入ると、そこには髪の白い神秘的な少女が寝ている。何と、彼女こそが、この天乃原の動力源である九鬼様なのだ。そして、目を覚ました九鬼様はおっしゃる。
「では、新太郎、そなたの精をくりゃれ」
何だと〜! しかも、Hすると、今度は船が空に飛び立つのだ。このシーンは、あまりの馬鹿馬鹿しさに呆然となること必至。そして、艦長の渋い止めの一言が響き渡る。
「やってくれたな、馬飼君」
ええ、ヤリましたとも、艦長!
そして、空を飛ぶ天乃原は、主人公のHをパワーにして一路、旅順を目指すのであった。
この第二話までの話の流れで残りも進んでいけば、バカゲーとして十分楽しむことが出来たであろう。しかし、ここからが悪い。同じ様な話が、本当に何度も何度も繰り返されるのである。まず礼武隊の親睦が深まる話が3話連続ある。これが二人の仲が良くなる話×1、別の二人の仲が良くなる話×1、一人が残りの皆と仲良くなる話×1だ。そして、真のエンディングを見ないと絶対に見れないインターミッションの第六話があり、それから個別の生徒の過去が分かる話が5話も連続で続く。そして、旅順攻防戦前半・後半の第十二話・十三話で終わりである。
まあ、これには理由もあって、このゲームでは凄い事に、途中の先生としての成績が悪かったり、戦闘の成果が悪かったりすると、ペナルティーとして豪快に途中の話をスキップしてくれるのだ。もし重要な話がスキップされると話が分からなくなるので、そのような所は、無論、内容のある話をする訳にはいかない。当然、スカスカの話があるだけだ。つまり、話の横糸があっても、全然縦糸がない展開なのである。
しかし、こんな素薔薇しい考えを、どうやったら考えつくのか、本当に感心する。これでは、全話やる人には退屈だし、スキップした人には屈辱感を与えるだけの、ダメシステムになるのは分かりきっていただろう。素直に、導入、キャラを選んでイベント発生、敵側の計略、インターミッション、キャラを選んでイベント発生、そして最後の決戦という展開にすれば良いのに。
他にも、このゲームのダメな点は枚挙にいとまがない。まあ少し挙げるなら、話にリアリティーが全然ない。これなら日露戦争なんて実際の戦争を扱う事はなかったろう。そもそも、旅順要塞を陥落させる必要が日本軍にあったのは、制海権を握る必要があったからである。少し考えれば分かるが、日本から南満州に攻撃するには、物資の補給は海路になる。つまり制海権こそが、日本の生命線だったのである。これは緒戦で、ほぼ掌握することに成功した。しかし、形勢不利なロシアの極東海軍の主力は旅順港内に篭ってしまったのである。海上からの攻撃では、港の砲台に撃退され、やむなく陸路での港の占拠を迫られたのである。
しかし、この『らいむいろ』では礼武の存在がある。このロシア礼武が、北海道の天乃原にまで攻撃をしてくるのである。最初は、ウラジオストック艦隊から攻撃しているのかと思ったが、どうやら指揮官が旅順から出撃していることから旅順からの攻撃らしい。そう、既に制空権は完全に敵の物なのである。これでは、最初の犠牲は、旅順を包囲している日本海軍主力になってしまう。一応、礼武戦を前提にした天乃原ですら、ロシア礼武には何の抵抗手段もないのである。普通の艦艇なんて瞬殺だろう(対空装備なんてある訳もないし)。ロシアにしてみれば、既に補給線の切れた旅順なんて放棄して、ウラジオストックに艦隊を回す事だって容易だろう。
つまり、礼武が存在する時点で、旅順攻略自体がナンセンスなのである。まあ、こんな複雑な事、「あ○ほ○さ○る」先生は考えなかったと思う。しかし、思慮がなければ、ここは墓穴を掘るようなシリアスな展開はゼロにして、完全にバカゲーを目指すべきだったと思う。
それにしても、こんな中途半端なゲーム造る位なら、何て思い切ってバカゲーにしないのだろう? ELFも無駄な労力を費やしたというモノだ。
(タコマロ)
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