時は終業式の後、これからの冬休みをどう有意義に使うかと、何時ものように幼馴染達と主人公が旅行先について検討している所から、このゲームは始まる。しかし、突如、クールビューティーな転校生に「お主、冬休みの予定はあるのか?」と声をかけられてしまったのだ。そして、幼馴染の誘いをブッチして彼女の後についていってみれば、そこは何と考古学部室。
彼女の話によると、考古学部はこの冬休みに遺跡の発掘を予定しており、それにぜひ写真部である主人公の力を貸して欲しいとのこと。しかも、今回の発掘で、その遺跡に価値があることを示せないと、彼女の故郷はダムの下に沈んでしまうのだ。成り行き上、写真撮影を承知してしまった主人公は、彼女の故郷で約2週間の遺跡探検を行うことになるであった。
ゲーム自体は、「遺跡探掘アドベンチャー」と自らジャンルを指定しているだけのことはあって、迷宮探索と、恋愛ゲーム風のAVGを交互に繰り返していく構成になっている。
このゲームの場合、特に面白いのは、この遺跡探索部分だ。チップキャラクターをプレイヤーが操作して、斜め見下ろしで表示される遺跡内を動きまわって、石碑に書かれた謎を遺跡内の色々なアイテムを使って解いていく。まあ、典型的なRPGの謎つきダンジョン(ワンダリングモンスター無し)と同じと思って欲しい。
謎については非常に簡単なモノが多いし、時間制限もないのでゆっくり挑戦することができる。それに、その日の目標を達成するまで外に出ることができないし、さらに先のエリアまで進むこともできない。遺跡探検に関しては、話どおりやっていればクリアできるはずだ。
ただ、それだけでは味気がないと思ったのか、遺跡の調査率というパラメーターが設定されている。遺跡内のアイテムを発見すると、このパラメーターが上昇していき、これが一定以上ないとハッピーエンドは見られない。そして、一部のアイテムが隠されていて、それらも見つけておかないと、遺跡の調査率が低くなってバッドエンドになるらしい。
ここは一々確認するのが面倒なのであえてバッドエンドなんか見てみなかったのだが、普通にやっていれば規定の調査率は簡単にクリアできるはずだ。そもそも遺跡内の謎解きに必要なアイテムだけでも結構な数値になるし、普通に歩いていて通路に落ちているアイテムを拾わないヤツもいないだろう。本当に隠してあるのは一部だけだし、全部発見する必要はない。しかも、隠れていると言っても、こちらからの視線は遮られているが後ろがあるのがミエミエの所に落ちているなど、他のRPGでお約束みたいな所ばかりなので、かなりは見つけることができるはずだ。
ただ、そもそも調査率なんて必要なのかと思ってしまう所はある。そもそも、この遺跡、簡単に現代の日本の常識を軽く打ち破ってくれる代物なのだ。なにせ、最初の面の題名からして、「解きはなたれた封印 神獣キキ登場」ときたものだ。当然、最後には神獣キキ様が登場する。このキキ様、緑色をした足のない竜(つまり蛟)みたいな格好をしていて、何の飛行器官も見当たらないのに平然と空を飛んでいる。さらに、日本語を発音する能力こそないようだが、明らかにこちらの言葉に反応していて、どう見ても知的生命体にしか思えない。
こんな生物学的にどこに分類していいか分らない代物が発見された瞬間に、ダム建築の話は軽く吹き飛んでしまうと思うのだが、生きている生物に考古学的価値はないのか、誰も深くは考えずに、キキ様は一行のマスコットキャラ的扱いにされて探索は続いていく。因みに、この先には、ボスキャラとして人間大の淡水のカニも出現するのだが、こいつも考古学的価値がないのか調査率に関してはレベル0のアイテムとして扱われている始末。
他にも遺跡の中には地底の大ホールがあり、そこには空中に光の格子(グリッド)が存在して、その格子の明かりで一面のお花畑が広がっているエリアなんかも存在する。どう見ても、我々の科学を軽く超越した施設なのだが、動いている機械には考古学的価値はないのか、皆さん平然とスルーしてお花畑の中の隠しアイテムを探している始末だ。
まあ、ダムに沈む村を救うということをお題目に遺跡に飛び込んで凄い代物を発見した時に、お題目なんて忘れて、次に何が発見されるか奥へ奥へと進んでしまうことは、人間の心理としては十分に分る。このケースもてっきりそうだと思っていたのだが、まさか調査率が低いとバッドエンドになるとは思ってもいなかった。まあ、この辺はゲーム性ということなのだろう。
それと、この遺跡。古いゲームながら背景がよく描かれて、なかなか素晴らしい。例えば、地底のお花畑の大ホールでは、向こうに小さく塔が見えたりして、まさかアレが次の目標かと持っていたら、案の定そうだったりしたときは感動したものだ(遺跡の馬鹿でかさも含めての話だけど)。
ただ、弱点としては、このゲーム、ヒロインが8人もいるのだ。そして、完全クリアするためには、8回プレイする必要がある。普通のAVGならば既読スキップ機能を使って簡単に進められるのだろうが、このゲームの場合、遺跡を8回もクリアする必要があるので、本当に勘弁して欲しい。一応、遺跡の探索時にタッグとして選んだヒロインによって、遺跡の探索するエリアが分かれる面があるなど、少しは工夫してある。だが、そんなものは3〜4人もクリアすれば迷宮内で探索した所がなくなってしまう。
さらに、ヒロインが8人もいるためか一人あたりの話が薄い。ゲームの期間が2週間弱と短いこともあるのだが、最初の1週間は好感度を上昇させるために相手の後を追いかけて日常会話に励む必要があり、実質の話は後半戦だけになっていて余りに短い。ストーリーの流れ自体は美少女AVGとしては悪くないと思うので、もう少しイベントを入れて話を膨らまして欲しかった。まあ、イベントを入れようにも全CG枚数が少なく、それを8人で割っている時点で、どうにもならなかった所なのだろう。多分、ヒロインを4人位まで減らした方がよかったと思う。
まあ、残念なことに、その何とかやりくりしたCGも閉口する程レベルが低いものが多い。特に、立ちグラにいたっては、あきらかに姿態のバランスが人間としておかしい。どう見ても歪んでいるキャラばかり。一応、原画家は『流聖天使プリマヴァール』と同じ「はなたかれもと」さんなのだが、製作スタッフの表記が、キャラクター原案、イベント原案、イベントCG監修になっている点から、その質は推し量って欲しい。この歪んだCGのうち、特に姿態が歪んだキャラが揃い踏みしているクリスマスパーティーの絵は、本当にこれがクリスマスなのか、本当はハロウィンなのではないかと思ってしまう程なので、一見の価値だけはあるかもしれない。特に、このCGは無駄に目パチしているのが、アレさ加減を増悪させているのが見逃せない。
まあ、色々言ってしまったが、2000年末の発売のゲームであることを考えると十分に合格レベルだと思う。システム面も音量の設定を出来ないこと以外はそう問題もなかったし、値段の方も古いゲームなので安いので、RPGの謎解きが好きなら、見かけたらやってみても損はないだろう。
(タコマロ)
|