千 秋 夜


重箱の墨劇場「玄人」

ゲームレビュー

仕様 評価
対応機種 WIN システム

8点

ブランド名 riot シナリオ

4点

ジャンル 恋愛AVG 萌え萌え

4点

    せつなさ

7点

    素薔薇さ

3点



落語「玄人」

「ご隠居、ご隠居、またゲームが終わったんですよ。」
「なんだい、誰かと思えば八っつぁんか、今度はどんなゲームが終わったのだね。」
「いや、千秋夜というゲームでしてね、これがまた感動のストーリーでして。」
「ああ、あのゲームか。他にどんなところが気に入ったのかい。」
「それがもうご隠居、女性陣が実に良くって。ヒロインの刻絵ちゃんのいじらしさはさておいても、友達つきあいしてきたボーイッシュな成美ちゃん、フェロモン全方位放射の色っぽい大学講師の茉莉様など、それはもう素晴らしくてぇ。」
「………成美ちゃんというと、深夜の12時に散歩に出かけるとなぜか玄関前の公道にいて、夜中の3時に窓の外を覗いても偶然に家の前にいる女の子だな。」
「そうですね、ご隠居、運命の糸で結ばれているんですかねぇ。」
「八っつぁん、例え話だが、ある女性が新しい彼氏と付き合いだしたら、急に元彼が深夜でも家の前をうろつきだして、あまつさえ家の前で抱かれろと言い出したらどうするね?」
「そんな不埒な奴は、このあっしが殴ってやります。ご隠居、そいつはどこにいるんですかい。」
「例え話だよ、例え話、本気になりなさんな。いいかい、さっきの話の性別を変えたら、この千秋夜の話しとそっくりになりゃしないか。」
「ご隠居、そいつは気がつきませんでした。つーことは、」
「そうだ、最近流行りのストーカー、それも‘付きまとい型’という奴だね。」
「まさか、あの成美ちゃんがストーカーだったなんて……。」
「人は見かけによらないというやつだ。それに茉莉さんもかなりのものだよ。大体、大学の講師と言うからには、少なくとも助教授なのだろうけど、いったい彼女は何歳なのかね。」
「そうですね、あっしには、大学の助教授のことは分かりませんが。まあ、いくつでも美しければかまいはしませんがねぇ。」
「それはそうだが、問題はそれよりも、彼女の格好だね。白衣を着ていているが、その下は超ミニのスカートと、いきなりキャミソール。しかも、白衣の前を止めていないから、豊満なお胸がかなり見えているよ。」
「いやー、ご隠居、実に素晴らしい光景じゃないですか。」
「いいかい、八っつぁん、一体このゲームの舞台となっている季節はいつだい?」
「たしか、エンディングがクリスマスですから、ほとんど12月でしたかねぇ。」
「そんな冬のさなかに、そんな格好で歩いている人間なんかいやしないよ。まあいるとしたら、露出狂の気がある人ぐらいだね。」
「なんと、成美ちゃんに続いて、茉莉さんまで。……それじゃ、まさかこれは世に言うクソゲーという奴だったんですかい。あっしゃ、騙されていたと。」
「おいおい、八っつぁん、早合点はいけないよ。これはそういったゲームじゃないのだ。」
「それじゃ、一体どんなゲームなんですかい?」
「そうだね、分かりやすい例で考えてみるとしよう。八っつぁん、『古池や 蛙飛び込む』、この後の句が分かるかい?」
「ドッポーン、ですかい?」
「そうじゃないだろう、普通は『水の音』だろう。」
「まあ、そうとも言いますか。」
「それ以外は言わないよ。話が逸れたが、あえてそこで『波の影』として句を音ではなく目で見るように代えて楽しむ方法も世の中にはあるわけなのだ。まー、通好みというか、玄人の楽しみというものなのだが。」
「それじゃ、あっしも、玄人というわけで。」
「八っつぁんのは、ただ知らない天然なだけ。それよりも、このゲームもそうやってお約束をはずしている所を楽しむのだよ。」
「へー、そいつは気がつかなかった、さすがご隠居様だ。それじゃ、せっかく妹が出てくるのに攻略できないのもそういう意味なんですかい?」
「まあ、そうだな。さらに、普通ゲームの妹キャラというなら、クリスマスに手作りのケーキを作ってくれたりとか、いじらしくプレゼントとかを要求してきたりとか、妹らしいことをするというのに、この妹の千美の奴は、殆ど肩書きだけで、人の恋路を邪魔したりするところだ。普通妹は言えば……」
「なんか、ご隠居、そこだけはいきなりハイテンションですねぇ。あと、あっしには分からなかったんですが、最後に石が何とか言って急に謎の石が出てきたり、刻の○○(検閲により伏せる)とか急に話が大きくなったりするんですが、それもこれで。」
「石の話はスタート直後に出てくるだろう、妹が見つけたという綺麗な石。CGのひとつもないし、話が進むと全然出てこないので忘れていて当然だが。まあ刻の○○とかの話はいきなりで、何の伏線もないので、誰だって驚くだろうね。しかも、その地から急に湧いて出た謎の障害が、天から降ってきた方法でいきなり解決された日には、これは笑うしかないだろう。」
「あそこは笑うところなんですか。玄人の道は、難しいですねぇ。」
「大体、このゲームは妹の兄離れを描くというのに、いきなり千年女王になっても困るだろう。まあ、その前にも、普通の恋愛AVGに幽霊も出てきて、超自然的方向に話が進んでいるところで、怪しく思うべきなのだろうが。」
「ああ、あの可愛い幽霊ですかい。あっしなんて、学校にメイドロボットが転入してきても驚きませんがねぇ。」
「普通は驚くだろう。しかも、あの幽霊は、なぜかメインヒロインの恋の相談役。寺に行けば会えるなぞの少女というからには、普通は主人公の恋の相談役だろうに。ここもお約束の無視のところだね。」
「それに、ご隠居、家族4人の住む自宅から大学に妹と一緒に歩いて登校というのも珍しいんじゃないですかい?」
「まあ珍しいけど、無いこともないだろう。朝から外が暗くなるまで授業を受けていて、私服であることを除くと、まるで高校みたいな大学な方が問題だと思うぞ。そういうバカゲーなところを楽しむ玄人好みのゲームだからしょうがないが。」
「やっぱり、取説に訳の分からない下品な漫画が載っていたり、ユーザーアンケートの内容がすごかったりするのも伊達じゃないということですか。『購入の動機は?』に、J.運命、K.耳元でだれかがささやいた L.見えない力 M.脅されたいていて、とか書かれていますからねぇ。」
「PC Angel 6月のソフトハウスインタビューでも、広報担当が普段着ということで上半身裸にネクタイという格好をしている写真があるくらいだから、侮りがたしriotなのだろう。」
「いやー、それにしても今日は勉強になりました、ご隠居。」
「あれ、もう帰るのかい、八っつぁん。あがって、都都逸(どどいつ)でも聞いていけばいいのに。」
「いや、それはまた今度ということで。今日はこれから勉強のために、玄人好みのゲームをするつもりで。」
「ほー、それは感心だ。それでどんなゲームをするのかね。」
「いや、『Natural』でもしようかと。」
「おいおい、いきなり王道のゲームじゃないか。」
「いやいや、続編だけに、通好みということで。」
 ………おあとがよろしいようで。




ゲームレビュー

 ここまで色々書きすぎてしまった様ですが、ゲーム自体は問題なくサクサク進みます。なんと言っても、システム面で何の問題もありません。

 CG・Hシーンの回想もあるし、フルスクリーンにも対応。メッセージのスピードが既読しか最高速にならなかったり、メッセージスキップがCtrlキーだったりするのは好みの問題だと思いますが、ちゃんと対応はしています。メッセージ履歴も確認できるし、セーブデータを並び替えることもできる。

 なんと言っても、初回版なのに、私はバグにはぶつからなかった。お寒い話ですが、まさに今のエロゲー業界では、賞賛に値すべきです。

 CGの方は、鼻から口のところが気になりますが、これは好みの問題もあるから置いておきましょう。塗りの方は、まあまあだと思います。

 さて最後に、シナリオというかキャラの問題なのですが、これは難しい問題だ。ご隠居の話のように、このストーリー全体は、実に不協和音を発している。つーか、説明不足で、いきなり話が進んでいく。主人公の周りの人間も、妹とか友人とか肩書きだけで、それを実感できるシーンはない。これで、単なる妹や友人なら問題はないのだが、これが恋のお邪魔虫になるだから、このままでは許されないだろう。
さらに、取説のバカな漫画を見るにつけ、これは実は壮大なバカゲーではないかと思えてくる。

 単にこのストーリーを理解できないのは、私がキュービズムを理解できないのと同じレベルなのではないか? そう自問自答してしまう。この辺の判断は、実際にやった人に任すとしよう。(タコマロ)