このゲーム、まずCDをパソコンに入れただけで変なことをしてくれる。なにせ、何の了解もとらずに圧縮したファイルを勝手にHD上に解凍していくのだ。しかも、それからインストーラーが立ち上がり、再度、指定先にインストールする始末。どう考えても二度手間である。
そして、ゲームを立ち上げれば、いきなり大音量でオープニングが始まる。このオープニング、歌が下手なことは置いておくとしても、マウスクリックで終了させられないのはどうにかして欲しいものだ。オープニングを強制的に終了させるにはキーボードを押すしかないのだ。しかも、これが、初回の立ち上げの時だけではなく、ゲームを開始する度に、毎回毎回襲ってくるのだからたまらない。
そこで、せめて音量だけでも調節しようと試みたのだが、残念ながら、そんな便利な手段はこのゲームには用意されていなかった。そもそも、このゲームにあるシステムなんて、文字スピードの調整機能とウィンドウモードの選択機能、スキップ機能、それにセーブとロード、後はバックログを見ることが可能なこととぐらいのものなのだ。しかも、その数少ない機能のひとつである文字スピードの調節すらも、ゲームを立ち上げたりロードしたりする度にデフォルトの速さになってしまうのはどうしたものだろう。こんな状況なのでシステム面はかなりアレなことが分るだろう。
そうなると期待するのは、シナリオとなる。しかし、こっちの方が凄いことになっている。まず、ゲームが開始早々、アパートの主人公の住んでいる部屋が吹き飛んでいるところから始まる。どう考えても大騒ぎになって当然なのだが、これだけの事件が起こりながら誰一人集まってくる人間が居ない。それ所か、主人公が大家の家の扉を叩いても何の反応もない始末。どうやら、主人公に関係することを周りの人間は認識することができなくなっているらしい。
いきなりの不条理な展開に、プレイしている方は当惑してしまうが、この超展開はこれで終わりではない。住む所がなくなって徘徊する主人公は、町である少女と出会う。この少女は主人公のことを認識もできるし、知り合いらしいのだが、主人公の方は、その少女に対する記憶が全然ない。それで、その少女と一緒に半壊した主人公のアパートに戻ってみれば、そこには他にも主人公のことを認識できる知り合いと主張する見覚えのない少女が、さらに2人も待っているのだ。
それで、3人の少女は主人公がこっちのことは知っていて当然とでも思っているのか、自己紹介する気が全然ない。どうやら、3人の少女同士も知り合いらしく、3人集まっても自己紹介する気はゼロ。しかも、主人公の方も相手の事を全然知らないはずなのに、「さっきまで喧嘩していたはずなのに、こうして仲良くなれるのはいつみても凄いと感じてしまうのだ」とか訳の分らないことを考えている始末。どうやら、これはライターが設定を理解していないが故のミスらしいのだが、ただでも不条理なストーリーに、杜撰なシナリオが合わさって、こっちは混乱するばかりだ。
兎も角、相手が言うには、これから1週間主人公に不幸が続き、その間はこの3人の少女を除いて主人公の事を誰も認識できないらしい。普通なら、何が原因でそうなっているのか、もしくは、何を根拠にそう判断しているのかと聞きたいところだ。しかし、このゲームの主人公は違う、これを聞かされた主人公はこう述べるのである、そう、「よく、わからないけど、お願いします」と。話が全然繋がっていないが、どうやら主人公が考えることは放棄して、全てを相手に任せることに決めたのは分った。
それで主人公の危険な1週間が始まる訳なのだが、この主人公は何を考えているか、律儀にも毎日学校に通うのである。少し考えてみれば分るが、誰も主人公のことを認識できないってことは、横断歩道を渡っている最中、いつ左折車に襲われても不思議がない訳だ。だから、普通だったら外出は論外だと思うのだが、この主人公は気にしない(多分、ライターが理解してない)。
さらに凄いことは、主人公を認識できる3人の少女も主人公の通う学校の生徒になっているのである。しかも、他の人間の対応をみる限り、どうやら、彼女達は以前からここの生徒として認識されているらしい。もう、何が何だが分らないながらも、その日の終わりになると泊めてもらう女の子の家を選ぶことになる。
そうやって奇妙な日常を送っていると段々と分ってくることがある。それは、少女達が知っている主人公と、ゲームの主人公が違っていることとかだ。ゲームの主人公は、オタクでいじめられっ子なのだが、彼女達の主人公はスポーツマンだったり、病弱で絵を描くのが好きだったり、人気者で女性にもてたりするらしい(どう考えても、性格レベルでなく体格レベルでも違っていると思う)。それで、彼女達はそれぞれの平行世界で主人公の彼女だったらしい。
一応、彼女達は、ゲームの主人公が自分の本当の相手とは正確には違う存在ということを分っていながら、ゲームの主人公にひかれていくという話の流れになっている。ただ、特別に二人が魅かれ合うようなイベント等が全然用意されていないのが、このゲームの凄い所だ。まあ、毎日毎日、主人公はヒロインに飯を食べさせてもらっているだけと思っておいて欲しい。彼女達は、主人公を助けに来ているのらしいのだが、それが主に食事と住居の提供に重心が置かれているのはどうしたものだろう。
おまけに、相手は自分の正体すら主人公に教えてくれないので、何時までも違和感が拭えず、魅力も半減状態。まあ、彼女達の正体こそがこのゲームのキモなので、簡単にネタバレできないのは分る。だが、こんな状態では、プレイしているこっちも萌えてこない。もう少し考えて欲しかったものだ。
それでも二人は結ばれることにはなる。ただ、彼女達はこの世界の住人ではないので、結果的には別れが待っている。一応、ここがお涙頂戴の一番盛り上がるところなのだが、ここで悪いことが起きる。主人公が、最初に出会った所に行けば、また彼女に会えると思って、その場所に向かう話になる。ただ、問題なのは、このエンディングを迎える女性と、必ずしも主人公が最初に会った女性が一緒になるわけではないことだ。その女性と最初に会ったのは主人公の寮の前なのに、公園に向かわれても、こっちは白けるばかり。ここは、大事なシーンだから、もう少し考えて欲しかった。
それでも、もう少し造りこんでおけば悪くない話になると思ったので、他の女の子を狙ってみた。ここで、話の質が向上するどころか、さらに恐るべき展開が待っていた。なんと、一部の単語が置き換わっているくらいで、違う相手を攻略しているのに話がほとんど同じなのだ。一応、3人ともプレイしてみた所、まじに全員同じ。この手抜きには、本当に呆れた。まさに時間の無駄。
最後にまとめるなら、CGの方はそんなに悪くはないし、やたらに値段の安いソフトなので、絵を気に入ったならプレイしてみてもいいだろう。ただし、プレイは1回限りだ。
(タコマロ)
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