転娘!?



とにかくよく転ぶドジっ娘たち


 

仕様 評価
対応機種 WIN システム

8点

ブランド名 OLE シナリオ

3点

ジャンル 転びっぱなしAVG 萌え萌え

8点

    せつなさ

9点

    素薔薇さ

3点

 




 まず最初にゲームの題名の説明から入らなければならないだろう。このゲーム、『転娘!?』で、「てんむす」と呼ばせる。なんでこんな題名がついているのかと思う人もいるかもしれない。だが、副題の「とにかくよく転ぶドジっ娘たち」やパッケの赤文字「『ドジっ娘オンリー』、転びっぱなしAVG!」を見れば、意味が分るだろう。実際にゲームの方も、主要4キャラクターは全員、ドジっ娘で構成されている。ただ、自分がやった感想を言うなら、攻略キャラどころか、ゲームのシナリオすら転びっぱなしにすることはなかっただろうと言うことだ。

 そのシナリオが転びっぱなしの理由の1つ目は、説明不足なことだ。まず、ドジっ娘だけで部隊を編成しているように、基本的にこのゲームはナンセンスギャグの路線で行っている。よって、日常生活はおろか通常のゲームでもあまり見られない非常識なイベントが平然と起きる。

 例えば、あるキャラクターの初登場のシーンは、いきなり坂の向こうから砂煙をあげて迫ってくることから始まる(最初、砂漠戦仕様のドムを連想したよ)。そして、彼女がどんな風に移動しているのかも明らかにしないままで、主人公に猛スピードで直撃し、坂を一緒に転がっていく始末だ。CGの1枚もないので、状況がまったくつかめない(一応、彼女の移動手段はインラインスケートだった)。

 さらに坂の下で一息つくためにコンビニに寄った主人公を待っているのは、渋い声で挨拶する可愛い女の子の店員さんだ。実際は、このお嬢様のお忍びアルバイトを補助するために、万能執事が隠れているのだが、この執事に声がある訳でもない。だから、「いらっしゃいませ」の台詞だけでは、プレイしている方には、そんなことは分りようがない。この辺りも、ちょっと考えて欲しかったものだ。理想的には、この執事は結構いいキャラなので声があるのが望ましいのだが、それがダメならせめて台詞に「オホン、どうなされましたかな? お客様」とか加えて男っぽさを演出するか、隠れている執事の姿が少し見えるCGを用意したほうが良かっただろうと思う。兎も角、そんな訳で、開始5分足らずでシナリオが転んでしまったことが分るだろう。

 ここで、キャラクター名を言わないで説明するのも面倒なので、ちょっと本編を離れて、まずは登場人物の紹介に入りたい。

 大和 ころみ
 まず何と言っても「ころみ」という名前が壮絶。コロ助の妹キャラかと思ったほどだ。因みに、坂から煙をあげて落ちて来たのは彼女。背が小さく、明るく行動的で、まさに子犬タイプ。声優を夢見て専門学校で勉強中。しかし、デビューしても芸名要らずの名前ではある。

 三毛小路 弥依
 三毛小路財閥の御令嬢で、コンビニで社会勉強中。性格は非常におっとりしている天然キャラ。美術館の展示品だろうが店のテーブルだろうが、間合いに入ったものをランダムで破壊するヒューマノイドタイフーン、歩く厄災。だだし本人は、執事により救われ無傷であることが多い。

 新里 奈菜子
 主人公の幼馴染のお姉さんで、主人公の大学のOG。格好よい大人の女に見えるが、実際は信じられないほどのドジでツンデレキャラ。転んで物も壊すが、故意でも物体を壊す。腰の七つ道具がチャームポイント?

 藍原 転
 通称、転ちゃん、まるで宙を浮いて火を噴きそうな名前だ。こんな名前をつけた親の顔が見てみたい。転ちゃんは主人公の同級生で、心理学研究会に所属している。それで、主人公を熱心に研究会に誘ってくれる。性格は良く頭も授業だけは良さそうだが、空気が読めない。
 ニブさゆえに、よく転んだりして頭をぶつける。しかし、そうなると、もう1つの性格の「藍原」が目覚める二重人格キャラ。「藍原」の方は活動的、凶暴なツンデレキャラ。

 岬 蓮香
 テックアーツのイメージキャラクターで他のゲームにも登場するキャラ。彼女はオマケキャラで、一度クリアしないと出てこない。モデルは、声優の蓮香さん。このゲームの岬蓮香も声優業をしている。主人公を見かけると、故意にぶつかってくる偽ドジっ娘。なぜ主人公のことを知っているのか、なぜ主人公目掛けて転んでくるのか、そしてなぜドジっ娘を演じているのか、その謎は明らかになるのだが、正直聞かなかった方が良かったと思った(最後のネタバレ参照)。

 こんな奇天烈なキャラがいるだけでシナリオに対する負荷が高いのに、さらにそのシナリオが転びっぱなしになる理由の2つ目は、ストーリー展開がブツ切りなことだ。例えば、転ちゃんが一方的に主人公に心理学について話続ける所がある。ここで疲れた主人公が水を差すのだが、それで反省した転ちゃんが話の続きはまた今度ということで別れる場面がある。ここで彼女を追いかけるかどうかの選択がある。そして、ここで彼女を追いかけるとすごいことになっている。

 まず追いかけた先では、唐突にも火曜日のサスペンス番組で犯人を追い詰めるのにうってつけの崖が主人公を待っている(因みに10時35分以前に出てきたのなら殺人現場か死体遺棄現場に使われそうな崖だ)。そして、悪い予感が的中し、何と転ちゃんは崖に掴まってぶら下がっている。当然、何とかして転ちゃんを助ける主人公。ここで話が進むかと思いきや、平然と話を交わして別れる二人・・・。どんなストーリーなんだよ、思わずツッコミを入れずにはいられない。

 一応、転ちゃんのエンディングを迎えるには、これは必須のイベントなのだが、この後でも展開に大きな変化はない。これ以外にも、突然イベントが発生し、突然イベントが終了し、そして何の変化もないことがある。いや、もっとよく見ると、このゲームのシナリオには、転びっぱなしAVGにも関わらず起承転結のよりにもよって転がない。とうぜん転がないので、何故ヒロインが主人公を好きになったのか全然分らない。全員一目ぼれとしか思えない。

 そして、さらにシナリオの共通パートが多い。最初の出会いの説明でも分るように、何と主要キャラ4人の出会いが連続し、それから変化がなく、最後の方の選択肢で要らないキャラを断っていって、最後の1人のエンディングを迎えるという展開になっている。つまり、ストーリーは起・起・起・起・承・承・承・承・結という流れだ。いくらなんでも、これではストーリーが転びっぱなしだろう。

 CGの方も、そんな展開にならって枚数が68枚(差分含まず)と少ない。攻略キャラ5人で、これは問題がある。ただ、単純なCGだけではなくてアニモーションがこれ以外にもあるので単純にそれだけはないのだが、このアニメーションも曲者だ。この関係で、「おいでおいでモード」と「運転モード」というシステムが、このゲームには搭載されている。「おいでおいでモード」とは、ドジっ娘が主人公を追いかけてきたり、主人公がドジっ娘を追いかけたりする時に起きたドラブルを表示するものなのだが、はっきり言って面白くない。なにせ、こちらが能動的に何か起こせる訳でもなく、単にチップアイコンが動くのを見ているだけなのだ。

 一応、「運転モード」の方には選択肢があるのだが、これも意味がない。この「運転モード」とは、主人公が声をかけながらドジっ娘を補助し、何かをやらせるモードなのだが、何を選んでも損害額が違うだけで違いはないのだ。つまり、結果的には、この2つのモードは単なる時間潰しとしか言いようがない。後はHシーンでアニメーションがあるのだが、これもはっきり言ってフリーのswfファイルレベルなのでたいしたことない。まあ、なくてもいいけど、あるだけ嬉しいって感じだ。

 全体としては、このゲームは開発したての新都市を見ている気分だった。広い敷地にポツン、ポツンと主要な建物だけあって他に何もなく、お店が少なく生活もしずらい。きっと、これから人も住んで建物が建っていけば素晴らしい都市になるのだろうが、現在はどう見ても1回見れば十分の観光地で、生活する土地ではないって感じだ。きっと、もっと造り込めば面白いバカゲーになったと思うと、ちょっと残念でならない。現時点では、単なる人を笑い転がそうと思ったら、自分が転んでしまったゲームでしかない。



 ネタバレ:
 岬蓮香さんが主人公を追いかける理由だが、何とコンビニで見かけて一目ぼれしただけ。そして、主人公をストーカーして名前やら通っている大学をつきとめて偶然を装ってエンカウンターしていたのだ。しかも、ドジっ娘は流行っていると聞いて、それを会得するためも含めて、主人公に突撃する始末。そして、なんか押し負けてHして恋人になってしまう主人公。エロゲの中でも他に類を見ないイベントとは言えるのだが、本当にこれでいいのか疑問ではある。

(タコマロ)

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