このゲームの主人公「日向一平」は大学生ながらも苦学生で、アルバイトに追われる生活をしていた。この夏休みもそうやって寂しくアルバイトで過ごすことになるかと思っていると、セミの教授より魅力的な話がやってきた。教授によると「夏の間、田舎に住んでいる孫娘たちの家庭教師をして欲しい」とのこと。しかも日給1万、さらにその田舎は海も近く絶好の避暑地、加えて孫娘たちも写真を見る限り可愛い。一も二もなく飛びついた主人公だが、現地では思いもよらない困難が待ち受けていた。
まず、主人公が家庭教師をすることになる瀬戸家の方では、家庭教師の話を全然聞いていない。さらに、肝心の教授は国外、それも通信手段もない辺境の地に発掘に行ってしまい連絡がつかない始末。おまけに、現在、瀬戸家では親が不在で三姉妹だけで家を守っており、常識的に考えて男性の主人公を住み込みの家庭教師として受け入れる訳にはいかない状況。
本来なら即追い出される展開なのだが、なにせ現地まで自転車と徒歩で日本縦断してまで来る程の貧乏人の主人公、どこかに泊まる金も、帰るだけの金もない始末。とりあえず一泊は瀬戸家にお世話になり、バス賃を貸してもらうことにするのだが、何とバスのチケットがしばらく売り切れ状態。ここで、何故に主人公を最寄りの電車の駅まで送るという発想がないのか、非常に疑問なのだが、ご都合主義的かつ、なし崩し的に主人公は瀬戸家にご厄介になることになるのだ。
それからは、主人公も段々と三姉妹に仲良くなり、家庭教師として受け入れられていき、最終的に、一時的ながらも瀬戸家の一員となる。ここまでの過程は、スラプスティック(ドタバタ)で中々に楽しい出来になっている。
ただ、最初のプレイの時、主人公が三姉妹全員とHしたのにはビックリした。この時は、勉強を教える対象は一人に集中していたが、それ以外の姉妹に対する少ない選択肢で全て好感度が上がりそうな選択をしていたので、てっきり初回からハーレムルートにでも行ったのかと思った。しかし、このゲームの場合、これが共通ルートなのだ。
しかも、なんで、主人公にこんなモテ力(ぢから)があるのか理解できない。はっきり言って、主人公はお間抜けだし、体力ないし、あまりいい所がない。この時点で、主人公を褒める所は、悪い人間ではないってことと、実は勉強ができるってことぐらいだ。後は、姉妹の父親に雰囲気が似ているらしいが、これが一番の決め手かもしれない。
ここから、Hシーンの連続で少々ダレた展開になっていく。まあ、エロゲーとしては間違っていないのだが、問題点は個々のシーンがやたらに短いことだ。Hシーンのパターンは豊富なのだが、主人公と姉妹があっという間に果ててしまうのはどうしたものだろう? CGの枚数は増やさなくてもいいから、もう少し前戯に描写を費やすとか、使いまわしでもキスシーンを入れるとか、もう少し工夫があった方が、みんな喜んだと思う。
普通のゲームなら、相手と結ばれた後、何らかの困難があって、雨降って地固まるって展開でエンディングを迎えるのだろう。しかし、このゲームの場合は予想もしない困難がやってくる。いきなり、瀬戸家に3億円の借金が突きつけられるのだ。これだけでもアレなのだが、さらに事態は悪化する。これをめぐって主人公達が、マフィアと闘ったり、テロリストと闘ったり、アメリカの情報収集分析機関であるNSA(国家安全保障局)と対立したりするのだ。しかも、ギャグ要素がなくシリアスで争うことになる。
しかも、酷いことにこの急展開に関して全然伏線がない。パッケージにも「団結の中で生まれる愛情と、恋心 ドタバタなトラブルに見舞われながらも、ちょっとエッチな一夏の恋が始まろうとしていた。」としか書かれていない。これで、このゲームの展開が予想できた人は、馬券でも買った方がいいと思う。まあ、個別ルートで借金の真の理由すら変わってしまうので予想できる訳がないのだが。
多分、企画段階ではこれ程酷い展開ではなかったのだろう。例えば、取説のキャラ説明では、教授こと瀬戸文旦の説明で「主人公を3姉妹の家庭教師(兼ボディーガード)に雇い、今は亡き愛娘の残した3人の姉妹を守ろうとしている好々爺。オープンなスケベだが、皆に好かれている。姉妹の様子が気になり、時折、様子を見に来るのだが・・・・・・面と向かって姉妹に会う事を照れ、電柱の片隅でじっと見守っていたりする。」と書かれている。ただ、この爺さん、ゲーム中には出てこない。きっと、この辺りにストーリーが突然跳躍してしまった理由があるのだろう。
ストーリーは置いておいて、システム面では、まず目立ったバグはない。それと、共通部分が多いシナリオなので、シーンを丸ごとスキップできる機能があったのはありがたかった。ただ、多用すると、今何をしているのか全然分らなくなるけど。
それと、脇役が良かった。特に、ロリな三女のストーカーをしている滝沢数馬。あきらかに危ない奴なのだが、修羅場では漢を見せてくれる。それに、彼とルリルリちっくな三女との身も蓋もない会話は、まじに笑えた。
まあ、この突然の話の変形に耐えられるならば買ってもいいと思う。
おまけ
Witchというゲームメーカーをご存知であろうか? にんじんファミレスのコスプレ喫茶版である『Milky way』シリーズ等で有名なゲームメーカーである。現在は解散してしまったので、正しくは、メーカーだったと言うべきであろう。この『チュートリアルサマー』を創ったのは、このWitchの残党なのである。
このWitchさんのゲームを、自分は原画が気に入っていたこともあって結構買ったものだ。ただ、このWitch、メーカーとしては褒めたものではなかった。なにせ、新作の発売が発表されても相次ぐ延期、しかも発売されたら発売されたでバグ満載、さらに次々とアップされるパッチが毎回毎回セーブデータに互換性がなく、しかも新しいパッチで以前のデバック部分を搭載忘れて次の日に新しいパッチを出すミスをする等、すばらしい製品管理を見せつけてくれた。まあ、Witchが潰れるのは歴史の必然だったのだろう。
このWitchの残党に、同じくエロゲー生産をやめたD.O.からライターの北側寒囲氏を加えたチームが、この「すたじおみりす ペレット」なのである。どうやら、「すたじおみりす」の新しいラインになったのか、名前を貸してもらったらしい。
ただ、彼らに不運だったのは、その母屋に選んだ「すたじおみりす」が凄い不発弾を抱えていたことだ。なにせ、「すたじおみりす」と言ったら、バグを量産し完全にそれを取りきらないうちに新作を発表しながら、無駄に言うことだけはでかいメーカー。この『チュートリアルサマー』が発表から発売される期間が、丁度、その不発弾が爆発した時と同じだったのだ。つまり「すたじおみりす」の言動に一部のファンが爆発したのだ。サポートBBS等では批判の書き込みが相次ぎ、さらには不買運動まで起こされそうな流れ。その為に、ファンの皆も、バグを恐れることもあって多くの人が購入を見合わせてしまった(自分もそうだったけど)。これは、このゲームにとって非常に大きな害であっただろう。
しかも、本家「みりす」はまるで店を閉めそうな塩梅で、現在は次々と業務を縮小している状況。これからのペレットの運命が心配される。これだけの作品を完成できたのだから、ハムスターの餌として一作で終わるのでなく、ぜひ腰を落ち着かせて、時間をかけていい作品を作り続けてもらいたいものだ。
(タコマロ)
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