最初に言っておく、このゲームはお勧めだ。確かに、原画は今の流行ではない、それにCGも少々ヘチョイ、そして何よりも「STUDIOねこぱんち」の作品である。見た目は一部の隙もないワゴンセール品なのだが、中身は本物。もし貴方が笑えるゲーム、ストーリーの良いゲームをお好みなら、絶対に買いである。
まるで深夜の通販番組みたいな導入になってしまった。まあ気を取り直して、まずはストーリーから見ていこう。主人公、里中保は、女子校から共学になったばかりの学校に通う学生。男女比率が著しく違いながらも、未だに彼女なし。そんな彼が帰り道に出会ったのが、サバ缶を被った花の妖精(すげ〜嘘くさ〜)モモ。このモモが、主人公の願いを何でも叶えてくれるというのだ。
さっそく「モテモテ」になることをお願いした主人公。しかし好事魔多し、何と、その代償として嘘しかつけない体質になってしまったのである。
今まで漫画やゲームでも、遺伝子レベルでモテたり、フェロモンを撒き散らしたりする主人公はいた。しかし、それにウソしかつけないという制約をつけた所が、この作品の新しい着眼点である。その為に主人公は、苦手な相手(場面)では、歯の浮くようなモテ台詞で相手を口説きまくり、好きな相手には傷つける台詞を吐いてしまうのだ。
状況は非常に深刻かつ致命的なのだが、話はコミカルに進んでいく。二重人格状態とも言える主人公は、自分の口で出鱈目を語り、自分の心でツッコミを入れまくるのである。しかも、常時ボケ、そして常時ツッコミ。この無限コンボは止まらないのだ。そして、ディスプレイの前では大爆笑だ。
まあ、言っても分からないと思うので、一部を引用しよう。主人公(里中保)が妄想の世界に翼はためかせていた時に、先生に指されたと思って欲しい。そこを、モテ力(ぢから)を発動させて誤魔化そうとしたのだが、モテ力がハイパー化して先生を口説きまくっている場面だ。(無論、授業中、クラスメイト全員の視線は主人公にガッチリ釘付け)
保「先の無礼はあなたの視線を一秒でも長く、俺にとどめておきたいがため・・・。無礼を許してくれとは言いません」
打ち切らせてーーーーーー!
(中略)
千夏(先生)「ダメよ里中君・・・」
千夏(先生)「いけないわ、こんなところで・・・」
口説かれること自体はアリなのか!
全部が万事こんなハイテンションな感じ。まあCG枚数がキャラ数に比べて少ないのが難点なのだが、そこは文章力で強引に押し切ってくれるのでOKだ。
しかも素晴らしい事に、このゲーム、笑いだけではない。純愛ルートをちゃんと進んでいれば、じきに切ない展開になってくる。好きな相手に対しては口を開くわけにはいかない。何とかジェスチャー等で意志の疎通を図るも、どうしても相手との間には溝が出来てしまう。
最初から主人公が惚れているメインヒロインは始めからそんな状態だけど、始めは面倒に思っていた娘に対して愛を感じ始めてからの展開が特に秀逸。思いが募れば募る程、口数は少なくなる一方。この状態から二人の心が通じあってエンディングに至るまでの流れは、本当に感動ものだ。
ここまででゲームの説明を終わることが出来れば、最高のゲームなのだが、マイナス点が絵以外にもあるのだ。1つはシステムが今一なこと。無論、「STUDIOねこぱんち」だから、買って来てまず、HPから修正ファイルを落とす事が必要。これは、もう、何時ものお約束だから許してやろう(正直諦めたよ)。しかし、少なくともメッセージスキップに既読/未読の判定は付けて欲しかった。ハッピーエンディングを見るだけでなくてシーン回収まで始めると、このゲームは思ったより広大で、この機能がないと非常に辛い。その為に、締め切りに間に合わせるために完全クリアまで手が回らなかった(まあ後で終わらせて、修正したいと思う)。
他の問題点としては、キャラクターが、キャラ立ちはするけど萌えの標準と違う気がすることかな。まあ、自分には標準なんて関係ないから、これでOKだけど。まあ分かり易いように、少し具体的に説明しておこう。
渡井 美蘭(みらん):主人公の憧れの人にしてクラスのアイドル的存在。一応、メインヒロインか。名前の美蘭は、イタリアの都市ミラノから来ている。そしてイタリアからの帰国子女。日本馴れしてないのか、生来の性質なのかボケ気味。ゲームキャラの外国人となると、どこが外国人かとツッコミ入れたくなる偽者が溢れている中、しっかりと帰国子女しているのはグット。
御堂 香奈:主人公の父親の勤める貿易会社の社長令嬢。お嬢様らしく浮き世離れはしているのだが、普通のお嬢様キャラとは完全にベクトルが違う。超人的体力を持ち、主人公をバシバシ殴り、すぐに怒る。愛すべき「おさる」さん。ゲーム開始時の、うなぎパイご所望イベントは、本当に笑える。マジに笑い過ぎて涙が出て来たぐらいだ。
越智 望:眼鏡・くせ毛(触覚付)・ギャグにうるさいという、ヒロインとしては三重苦を持った幼馴染。そもそも名前の「おち・のぞむ」からして3人目のヒロインとは思えない扱い。でも、彼女の純愛ルートは最高に素晴らしいので、食わず嫌いをしないで、ぜひ挑戦して欲しい。
ここまでの説明で長くなったので、残りのサブキャラは簡単に済まそう。一言で表せば、片桐 千夏=トラバサミ、五代 きくこ=ブラックホール、花屋敷 環=ネコ、かな。えっ、意味が分からないって、大丈夫、やれば骨身にしみて分かるよ、エンディングもあるし。
そんな訳で、メインヒロインがかすめているだけで、全員、萌え属性とは違うのが分かってくれたと思う。でも、キャラは、非常に個性的で絶対に面白い。つ〜か、インパクトあり過ぎ。
全体として見ると、CG等に安っぽさが溢れているのは確かだが、やっぱりゲームはアイデア勝負というのが、よく分かる。「モテモテだけどウソつき」、この奇抜なアイデアを最後まで大きく破綻することなく、笑いから切なさまでフルコースで調理できたシナリオライターの腕は素晴らしいの一言。これを読んで気になった人は、「STUDIOネコパンチ」のHPにまだ体験版があるので(02年末現在)、ぜひ一度試して欲しい。あのテンションが最後まで続くことは、保証するから。
追 記
まあ、このゲーム、内容が内容だけにウソばかり出てくるのだが、中でも一番のウソを選ぶとしたら以下の台詞だろう。
モモ「モモはカワイイ花の妖精さんでちゅの。無害でヒーリング効果も抜群でちゅので、どーぞ、安心してくだちゃいね☆」
このモモの登場シーンの台詞は、ウソ、絶対に真っ赤なウソ。そもそも、花の妖精というのがウソくさいし、ある意味非常に有害で気が抜けない。正体を明かさないが、コイツ、絶対に腹にドス黒いモノもっている。皆も、あの小妖精な外見に騙されない様に注意して貰いたい。
(タコマロ)
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