このゲームは、相互リンクを結ばせていただいている「世界を革命する力を」の「きたじゃわ」さんも取り上げていらっしゃいました。それを読む限りでは、まあ、エロゲー初の3Dレーシングゲームとして記念となる作品ではあるとは思ったが、そんなにアレな作品には感じられなかった。
だが、実際に現物を手に取ってみたら、そのような考えがまったく勘違いであることが分った。なにせ、パッケージに書かれた絵に居るのが、ピンクのセーラー服を着た女性が2名、他にチビ、メイド、どっかのバーガーショップの制服らしきものを着た女性、御嬢さま、男かボーイッシュな女性、ボディコンっぽい女性が一人。このレーシングゲームに似合いそうもない出鱈目な面子がポリゴンを背景にして立っているのである。しかも、宣伝文句として、「今、青春・スポーツをテーマに新しい挑戦が始まる!」、「最速を賭けた俺達の3Dバトル!! 彼女たちの揺れる想いを乗せて・・・」なんて書かれていたら、どう見ても普通のゲームには思えない。
それで中古屋から買って帰って、まずゲームを起動してみたのだが、残念な事ながら、このゲームはXPでは起動しなかった。古いゲームなことだけはあって、このゲーム、OHPで修正ファイルを落として、98/Me互換モードで起動する必要がある。イリュージョンさんは、客のニーズを掴むことはできていないが、ユーザーサポートに関しては優れているといえる。
それで、本当に今度こそプレイしてみると、このゲーム、最初からエンジン全開状態だった。まあ、引用してみよう。
風を切った。
そう肌で感じることはない。けれどオレは確かに風を切っていた。感覚はないが、そういう自覚は確固としてあった。
足の裏が地面を捉える。硬いはずのアスファルトは、実はけっこう柔らかい。
オレの足が―――そうだ、確かにオレの足だ―――柔らかいアスファルトの上を滑る。いや違う。オレの足は、オレ達の足は、確実に地面を踏みしめている。滑っているんじゃない。踏みしめ、先へ進むステップにしているのだ。速度の階段。速さへの、文字通り足がかりだ。
瞬間、オレ達はいっそう激しく風を切った。(後略)
プレイしていて思わず「恥ずかしい台詞禁止!」と大声で叫びだしたくなった。しかも、後略があるので予想がつくと思うが、こんな調子がしばらく続くのだ。さらに、このイカレた調子は第一話のOPのCGが表示された時にマキシマムに達っした。
第一話
「光景」
この三頭の犬は過去と現在、
そしてきたるべき時を示す。
――――ザカリー・グレイ
ハードボイルド物で、この題名が出てくるなら兎も角、主人公がへっぽこポエムを紡いでいる状況下で、これはいかん。流石に、体が拒否反応を示しそうになってきた。(因みに、ザカリー・グレイっていう人はイギリスの昔の作家らしい、そしてこの三頭の犬はケルベロスのことみたいだ、はっきり言ってマイナー作家なのでネットでも詳しいことは分らなかった)
ただ、安心できたのは、実際にゲーム本編が始まると、こんな調子ではなかったことだ。このゲームの主人公は自分ではクールに決めているつもりのキャラかと思ったが、家では妹に起こされ、学校に行けばセーラー服着用の幼馴染におんぶ攻撃を受ける典型的なギャルゲー(エロゲー)主人公だった。まあ、この辺りはエロゲーなので、何が何でもエロシーンを入れなければならんので、一応はストーリーがありながらも、本質的には脱衣麻雀と同程度で進んでいくと思って欲しい。
それで、ゲームの中心となるレースゲームの方だが、はっきり言って出来はあまり良くない。ポリゴンが汚いのは昔のゲームだし、売り上げが大きく金のかけられるコンシューマーと一緒にできないので理解はできる。ある意味、単なる箱が動くだけでもレースゲームにすることはできるので、ポリゴンの質について触れるのはやめておこう。
確かに、ポリゴンが綺麗ならば、コーナーが見え難くて苦労することもなかったもしれない。だが、相手に勝つにはコースをある程度は覚える必要があるので、これに何時までも悩ませられることはないだろう。できれば、画面の上に全体のコースが表示されているか、次のコースを矢印で示してくれると楽なのだが、まあ、現実の車のレースでもそんなことはないから、別に大きな欠点とは言えないだろう。
問題は、それ以外の所だ。このゲームのレースは、かなり常識を捨ててかからないといけない出来になっている。例えば、この『湾岸DREAM』では、コーナーで90度曲がっても上手くハンドルをきればスピードが全然落ちないで先に進むことができるのだ。慣性の法則が全然成り立っていない。おまけにタコメーターなんて洒落たものもないので、カーレースをやっていると言うよりSW1のポッドみたいな反重力機器のレースをしているような感覚だ。
そんな状態なので、コーナーは普通のゲームより曲がりやすいと思うのだが、如何せん、レーシングゲームが苦手な自分としては、当然のことながらコーナーが苦手であった。このゲーム、基本的に相手と1対1のタイマン勝負になるのだが、自車のセッティングで「Power」に最大値を割り振って、コーナーの遅れを直線部分で取り返すという「走り屋としては屈辱的」な方法で勝ち進んでいった。
しかし、こんな付け焼刃が通用し続ける訳もなく、相手の車の性能が向上してくる中盤戦で躓いてしまった。この時の相手がよりにもよってバイクだったのだが、直線部分で相手に追いつくことはできるのだが簡単には抜かすことができない。意図的ではなく、コーナーで減速する相手に追突をかましてしまったのだが、吹き飛ばされたのは、なんとバイクではなく自車の方であった。バイクに負ける車ってどんな物体かとも思うが、このコーナリング中の相手に追突して曲がる手法が許されると、それは、それでゲームにならないので、この時はゲーム性重視と思って我慢した。そして、異次元コーナリング技術の鍛錬を積んで相手を抜きさった瞬間、さらなるショックが待っていた。なんと、バイクが後ろから追突してきて、こっちが吹き飛ばされたのだ。当然、クラッシュしているこっちを置いておいて、バイクは無常にも抜き去っていく。
あまりの理不尽さに呆然となってしまった。それでもこの相手に勝つべく色々と試行錯誤を重ねていたら、ついに解決法を見出すことができた。実は、車のセッティングに「Damage」という聞きなれないパラメーターが存在している。そして、この能力を上昇させると、相手に後ろから追突されても吹き飛ばされるのは相手の方になるのだ。しかも、この数値が高いとコーナー等で壁や障害物に衝突や接触をしても減速の度合いが著しく減少する。
結論として、「Power」と「Damage」を残りのパラメーターを無視してでも最大にしておくのが最良のセッティングってことになる。こうしておけば、コーナーで少々壁に接触してもピンボールみたいに弾かれて自動的に道なりに進路を変更してくれるのだ。流石にコーナーに直進して正面衝突するのは結果的にはマイナスになってしまうが、それでも普通のレーシングゲームとはまったく違った操作が最善の手段になってしまっている。
それで、レース部分の結論として面白くないかと言うと、そんな事はない。あの特殊なスピード感覚は、レーシングゲームというよりシューティングゲームの高速面みたいなのりで、一度慣れると非常に爽快に感じられる。特に、コーナー連続の箱根七曲の面は、湾岸に関係ない例外の面だが、かなり面白い。七曲の連続ヘアピンを抜けた後の緩いコーナーは凄いスピードで、癖になる面白さがある。それに、この『湾岸DREAM』では、少々長いコースで最初に大きなミスをしても、相手がスピードを落として待っていてくれるので、どこからでもやり直しが効くのが悪くはない。レースとしてあまい話だが、流石に公道の違法レースなので、相手も心配なのだろう。
それと、このゲームで語らなければならないことが、まだ残っている。それは、あのオープニングだ。最近はエロゲーでもオープニングに気をつかっているが、このゲームはその逆を行っている。本当に筆舌を尽くしがたい出来だ。それでも出来る限り説明しようと思うが、最初に、製作したメーカー名が黒い背景に表示され、ドアの閉まる音、そしてエンジンを吹かす様子がエンジン音とタコメーターで表現され、車が走り出すとともに音楽が流れ始まる。
ここまでは、中々に悪くない。問題はここからだ。まず、歌が全然曲に合っていない。それも、もう絶望的に。しかも、悪いことに、この変な歌が頭に残る。さらに、ここで表示されるのが、パッケージに居るあのレースゲームの登場人物とは思えない壮絶な面子。しかも、この表示の切り替えが曲の調子と合っているのが、ますます歌のミスマッチさを引き立たせてくれる。さらに、バックに流れるレースシーンもおかしすぎ。なにせ、ドリフト状態で直進しているようにしか見えない車がいたり、くるくる回りながら走っているようにしか思えない車があったり、もう『湾岸DREAM』特有の反重力マシーンレースの実態を見せつけてくれる。これだけでも一見の価値があると言えよう(悪い意味だが)。
他に、一応システム面等についても触れおくが、これが悪い。セーブが選択肢でしか使えないし、文章が画面一杯に表示されて、それを先送りにするのに下ボタンを押さなければならないのは勘弁して欲しかった。まあ、CGの方も、2Dだし、かなり質の方も悪いので、それが見えなくなっても欠片も惜しくはないのだが、操作でマウスを受け付けないのはどうかと思う。
総合すると、店で見るチャンスは少ないとは思うが、中古屋で非常に安く売っているのを見つけたなら、一度プレイしてみるのも悪くないと思う。
(タコマロ)
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