さて、このゲーム、実は普通に店に並んでいる時から気になっている代物であった。だって、パッケが目立つこと目立つこと。なにせパッケには、「フル音声認識鬼畜ゲーム!!」のデカイ文字に「特許出願中」という文字まで添えてあり、オマケにマイク付ヘッドホンまでついているのである。
これを見た瞬間に俺にはピーンと来た、「新機能にろくなものなし。こいつは絶対にワゴン落ちになる」ってね。
そんな訳で、予想通りに1980円となった所を確保してきた次第である。
しかし、こんな始める前から内容の予想がついているはずにも関わらず、このゲームの準備をしている時は、心はワクワク状態だった。多分、幼い時に見たスタートレックで「コンピューター」と呼んで色々な命令を実行していたシーンが強く刷り込まれているのだろう(コンピューターに音声で命令するなんて、70〜80年代の夢の21世紀って感じだけどね)。
まあ、今にして思うと、自分の音声の癖を覚えさせるためにテスト用の文章を読んで、その音声認識の程度の高さに感心していたこの時が、このゲームでもっとも幸福な時であった。
本人は楽しそうに感じているけど、傍目から見れば、マイク付ヘッドホンをつけてディスプレイに向かって話し掛けている怪しい奴なんだけどね・・・
話を戻すが、そんなこんなで準備も整ったので、実際にゲームを始めてみた。すると、ゲーム内でも、この音声認識は結構正解率が高いことは分かった。何たって、音声入力は、ゲーム中にマウスを使う必要が無い。つまり、両手がフリーになる訳で、この空いた手で色々とできるのは、大変有用だ。
しかし、大問題が発生!
何と、ゲームの文章が長文に入ると凄い勢いでスキップされて、全然読めないのだ! この問題は、設定の「文章の自動スキップ」を外したら緩和された。だが、それでも、文章の区切りの方が、文字ウィンドウより長い場合があって最初の方が読めない時があるのは何とかして欲しい。
しかし、そんな事は些細な事にしか思えない新しい問題がまた発生。
当然だが、「文章の自動スキップ」を外すと、こちらが指示しないと文章が先に進まなくなる。しかし、それが「スキップ」と叫んでも、「クリック」と叫んでも、先に進まないのだ。
つ・ま・り、文章を先に進めるにはマウスをクリックするしかないのである。それじゃ、両手フリーにならないじゃん。
これでも「文字列ディレイ」という機能が使えれば問題ないのだが、コレがまた、メッセージスピードを細かく変更できない(つ〜か、あるのはON/OFFのみ)。単にONにすれば、表示があまりに遅すぎて、普通の人間の忍耐ならばクリックして無理矢理に先に進めてしまう代物なのだ。
どうやら諦めて、マウスを使用するしか無いようである。それでも、文章の先送りだけはマウスを使っても、選択肢だけは音声入力で進めていった。何か、マウスポインタを動かした方が断然早い気もするのだが、ここは、まあ夢のスタートレックの為に、あえて、気がつかなかったことにして進めることにする。
しかし、ここで、またまた大きな問題発生。それも、音声入力だけに特有の問題に直面してしまった。そう、読めない漢字が出て来てしまったのである。それも、「石神亥公園」という重要な行き先が選べなくなってしまったのだ。無論、色々な読み方を試してみたのだが、読み方が悪いのか発音が悪いのか、何をしてもダメ。
結果的に、選択肢までマウス様にご登場願うことになった。この段階で、明らかに怪しい人間にしか見えないマイク付ヘッドホンなんか付けてる必要なんて完全にナシ。これで、このゲームは、ごく普通の普通のAVGになってしまった。
いや、正確に言うと、普通のAVGゲーム以下かな。だって、他にもバグが色々あるし。挙げているとキリがないので、1つだけ気になったものを挙げることにする。実は、このゲームでは複数のキャラの話し声を重複して出すことができるのである。まあ、上手く使えば会話のシーン等で臨場感が増すだろう。
だが、ここでバグが発生するのだ(もしかしたら機種依存かもしれないけど)。会話のシーンで放置しておくと、人の話が終わっていないのに、次にキャラが話し始めてしまう。当然、キャラの間の話は噛み合ってないし、台詞も聞き取りにくいことおびただしい。それ所か、会話が続く所では、最初に言い出した人が、前の台詞が終わっていないのに、新しい自分の台詞を話し始めてしまう始末。
聞いているだけならば、まるでカエル歌の輪唱状態!
・・・・・・まあ、システム的にはダメダメだが、世の中には、ストーリーは凄いのにシステムがご臨終級の代物があったりするので、システムの事は置いておいて、少なくともエンディングが1回終わるまでは我慢して進めることにする。
そう決心してゲームを始めると、このゲームの主人公は、久しぶりに里帰りした所である事が分かる。しかし、錦を飾るわけではなく、夢破れて故郷に戻って来た所。故郷と言っても、主人公の家は父親が蒸発して、母親が水商売をして主人公を女手一つで育てたのだ。そして、そんな関係で周りの人間とは上手くいかなかったらしい。最終的には。家出同然で街から出たのだ。
それで、戻って来た故郷は、実家も母親が家を捨てており廃屋同然、さらに開発の為に街は以前の思い出を部分的に残しつつ新しい物に変わってしまっている。
まあ、主人公が鬼畜ゲーム的な選択をしても、少しはその気分は分かるかもしれんと思ったりもしたのだが、それから、さらに凄いことになっていく。主人公が、街にある神社のご神体である神石という石を触っていると、急にチクッという痛みが走って、主人公は新しい力に目覚めてしまうのである。
って、J○J○の不思議な冒険かい、まさか主人公はツェペリって苗字かよ。兎も角、ウイルスだが鬼の力だかにとり憑かれたこの瞬間から、この話は急激に思わぬ方向に進んでしまうのである。
憑かれた瞬間に、主人公は頭を押さえてうずくまる。ここまでお約束な展開で問題はない、だが、ここで主人公は血を豪快に吐くのである。しかも、この主人公が血を吐くのは、ここだけではない。女を襲いたくなって追いかけては血を吐き、相手に柔道の技で投げられれば血を吐く。鬼の力を手に入れてからは、女の生き血を吸っているので、もしかしたら途中からは、戻しているだけかもしれない。だけど、それって鬼と言うより、単なる酔っ払いではないかって感じだ。
それは体質上、どうしようもないことかもしれないが、このゲームの登場人物の頭の中は、まるで酔っ払い程度の働きしかしない。
主人公が、ある巫女が自分の邪魔になると思い、それを排除しようと思い立つ。だが、巫女の力が怖くて正面からは近づく気にならない。そこで、相手に薬を飲ませて襲うことを考える。
ここまでは良い。しかし、その方法となると薬の入手法にあえて触れないでおいても、怪しい物になっていく。まあ、巫女の大親友に「少女探偵」とまで呼ばれた人物がおり、彼女が好きな「ももんが焼き」(街の名物で鯛焼きの変形型と思って欲しい)に薬を混ぜれば、二人で一緒に食べてくれるかもって考えるのだ。
この時点で運任せな計画なのだが、主人公は、街の「ももんが焼き」の屋台を襲って、そこの主人に成り代わって「ももんが焼き」を焼きながら少女探偵を待ち続けるのである。因みに、主人公は、少女探偵のことを、真っ昼間に一度襲っている。この馬鹿は自分の顔が割れていることを、気づいてないらしい・・・・・・
そして運良く、彼女が屋台に寄ってくれるのだが、しかし、あまりに「ももんが焼き」の焼くのが下手で買ってくれないのだ。そこは「おじさん、始めてて下手だから、最初の客のお嬢さんにはタダでサービスするよ」って感じで言っておけば問題ないだろうが、そこまで頭が回らない。それ所か、激昂して、「それなら無理矢理に喰わせてやるわ!」って追いかける主人公。コイツは、一瞬で、目的なんか忘れたらしい。
因みに、彼女の方も負けず劣らずの馬鹿者で、少女探偵と周りから呼ばれる人物なのに、主人公のことなんて、全然覚えていない。追いかけられても、相手が怒ったとしか考えないのだ。
それで、このゲームで何回もある、ターゲットとの追いかけっこになる。ここでは、相手を人気のない所に追い込むことになる。街にはそんな場所が、その時々において数箇所ある。その正解の所を探すのが、追いかけっこの目的になっているのだが、この時の正解の場所は、公園やら工事現場やら廃工場とかではなく、何と商店街が正解なのである。いくら寂れた田舎町と言っても(だが設定だけだとベットタウンだぞ)、昼の商店街に人気が無いわけあるかい。
しかも、彼女が新しい「ももんが焼き」の屋台を見つけて足を止めるので、追いつくことができるのだ。どう考えても、人がいる。それでも、相手を襲う主人公。
ここで「ももんが焼き」を少女探偵に対して、下の口に喰わせてやるとする主人公。ここまでは鬼畜ゲーだから良いとしても、自分で薬入りの「ももんが焼き」を食べてしまうのは、マズイだろう。ここは、鬼の力かスタンド能力で、薬が効かなくてすむのだが、下手すれば、ここで眠っている間に牢の中だ。
このシーンは、警察が現れて(商店街には派出所もある)、主人公が逃げて終わりを迎える。だが、ここの馬鹿なやり取りを見るだけで、このゲームの製作者は何も考えてないなと確信してしまった。
それからは、昔の知り合いの女性が現れて、約束の「昔、雨の中で拾った子犬イベント」なんかを経た後、「彼は最後には人間だった」というベタベタな展開で終わりを迎えたのだが、流石に残りのエンディングを確認する気力まではなかった。
最後に簡単に言うなら、科学設定なんて毛ほども気にしないC級SF映画が好きな人なら、一度くらいはプレイしてもいいかもしれない。「コンピューター、廃工場だ!」って言いながらすれば、きっと雰囲気も少しは変わるだろう。
多分だけど。
(タコマロ)
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