10月15日。
王国に所属する俺の姪っ子のサネリアがBD教団に誘拐された。
同じく王国に所属するルルピカも誘拐され、悪魔召還だかなんだかの生贄にされるという情報
が入ってきた。
俺の姪っ子であるにも関わらず、王国に所属し敵対行動をとる馬鹿娘なんぞどうでもいい。
勝手に死にやがれってなもんだ。
しかし、そんな俺の前にMalcolmという老人が現れた。
長い髪も髭も真っ白で、漆黒のローブを着ている。
どこから現れたのか判らないが、俺にはそいつの考えが手に取るように判った。
どうやらサネリアの救出に向かいたいらしい。
俺には関係無い。
俺はガラス窓の前から離れると壁にもたれかかり深い眠りについた。
なにやら嫌な夢を見た。
夢の中でそいつは、アジトのセキュアから白い部族マスクを引っ張り出し顔にはめると、
「仮面の紳士Malcolm」を名乗り、呼びつけたタルに船の準備を頼み始めた。
なぜかタルも不審がることなく、そいつの言う事を聞いている。
まぁ夢だ。
気がつくと場面は変わり、俺は海辺に近い半島に佇んでいた。
漆黒のローブを着て、顔には仮面・・・。
どうやら俺がMalcolmになっているようだ。
夢ではよくあることだな。
どうやらこの半島の近くで生贄の儀式が行われているようだ。
Malcolmの思考がそう告げている。
しかしMalcolmも正確な場所までは知らないようだ。
「どこにいるんだ・・・・・・」
徐々に俺の思考がMalcolmに近づいていく。
「助けねば・・・」
と、数メートル離れたところに青白いゲートが開く。
咄嗟に身を隠し様子を窺う。
ゲートから続々と出てくる王国の面々。
メリル率いる王国の救出部隊だ。
これに乗らない手はない。
完全にMalcolmと同化した俺は、王国の救出部隊とともに儀式の場へと向かう。
目指すは「献身(サクリファイス)の神殿」(らしい)。
どうにか神殿まで辿りつくと、そこにはBD教団、魔女、オークといった面々がアンクを
取り囲むようにして並んでいた。
「くそっ、凄ぇ数だ・・・」
一瞬、爆弾特攻という考えが浮かぶが、王国の連中まで巻き込んでは数で劣る王国側が
二人を救出できなくなる恐れがある。
「ここは王国の連中に任せるしかない・・・」
救出部隊の面々は、BD教団等に牽制を入れながら二人の説得にかかっていた。
だが・・・。
「見えねぇ・・・」
オークの一団と対峙していた俺には、アンク正面で何を話しているのかサッパリ見えな
いのだ。
「なんか説得してるみたいだけど・・・」
俺にはサッパリ見えない。
剛勇を誇るオーク達も動かない。
俺の正面にオークの族長Mazelghがいた。
「ここで一人でも多く倒しておけば・・・」
と、思い族長に勝負を挑もうとするが族長動かず。
「会話も噛み合ってねぇぇぇぇぇぇ」
仕方がないので神殿の周囲を走り回る俺。
洗脳されたルルピカが悪魔へと変身して輪の外に出てくる。
集中くらってデーモンルルピカ数秒で死亡。
今度は洗脳されダークサネリアと化したサネリアがエルレインに殴りかかっている。
その周りを取り囲み説得を続ける王国救出部隊。
その周りを意味も無く走り回る俺。
「サネリア殺せば元に戻るんかなぁ?」
と、アタックしてみる。
数発でHPゲージが真っ赤になる。
サネリア反応なし。
「だぁ〜〜〜めだこりゃぁぁぁ〜」
早くも諦める俺。
また意味もなく走り回っていると、洗脳のとけたルルピカを加えた救出部隊の面々が
アンクの隣で再びサネリアの説得に当たっていた。
またしても状況が見えず、とにかく走り回る俺。
ふと、サネリアのほうを見ると、名前がダークサネリアから普通のサネリアに戻って
いる。
「ああん?、戻ったのか?」
状況が全然わからなかったが、とにかくサネリアの洗脳もとけたらしい。
ともかく二人を連れて逃げねば。
テレポートの呪文でサネリアのいるアンクの傍まで飛ぶ。
サネリアの傍らには最近いい仲らしいレアルがいた。
「二人ともついてこい!」
と、活路を求めて外に飛び出す俺。
あとは待機させてある船に二人を乗せれば終わりだ。
しかし・・・。
「二人ともいねぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
あっという間に見失う。
サネリアを探して駆けずり回る俺に容赦の無い魔法攻撃が襲いかかる。
毒、毒、EX、EX、毒、毒、EX、EX、毒・・・・・・
「って、てめぇら、くどいんじゃぁぁぁぁぁ!!」
EX4連発にもどうにか耐えながら走り回る。
周りには敵の名前しか見えない。
騎乗した圧倒的な数の敵に追われながらテクテクと徒歩でサネリアを探し回る。
「サネリアどころか、味方が誰もいねぇ・・・」
諦めて船へと戻ろうとする俺にまたもや魔法の嵐。
毒、毒、EX、EX・・・
そして槍・・・
世界が灰色のベールに包まれる。
すぐ傍に船を停泊させていたタルに蘇生してもらい、何事もなかったかのように船を
出す。
半島をグルッと回り、東側の王国船が停泊している場所まで行くと、散々に打ち負か
された救出部隊の面々がいた。
「さっさと乗れい!」
と、追い回されブッ殺されたことなど微塵も感じさせぬ口調で告げ、救出部隊残党を
船に乗せ、救世主気分で一路ベスパーへと向かう。
なかなか進まない船に苛立ちながらも、漸くベスパーの港に救出部隊の面々を降ろし
無言で出航する俺。
「か、かっこいい・・・」
しかし行き先はすぐ南西の船をつけられる場所だ。
「いつまでもこんな糞遅い船なんかに乗ってられん」
とりあえず、かっこもつけたことなので仮面をはずし、皆が集まっているベスパーの
酒場へと行く。
サネリアの姿を見ていないので安否を尋ねると、レアルと二人でどこかに行ったとい
う答えが返ってくる。
「俺の奔走はいったい・・・・・・」
ふんっ、親の心子知らずとはよく言ったものだ。
親じゃないけどな。
ほどなく二人揃って酒場へと戻ってきたので、無事なサネリアの姿を見て酒場をあと
にした。
帰りがけに俺の名前を口にした奴がいたが、夢の中の俺は仮面の紳士Malcolmだ。
疲れる夢だったぜ。