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「重いと思ったら・・・母さんやり過ぎだよ・・・・・」
ツナはそう呟いて、右腕に掛かる重みに苦笑いをした。重箱五段がどうやってこの鞄に収まっていたのか謎である。
「凄いっスね、10代目。それ全部弁当ですか?」
目を丸くする獄寺に、ツナは視線を反らし、顔をポリポリと掻きながら言った。
「これ、皆の・・・俺とリボーンと獄寺君と山本の分なんだ。母さんが『仲良くして貰ってるんだからそのお礼に』っ
て・・・」
迷惑だよな〜と思いながらチラッと獄寺の方を見ると、下を向いて肩を震わせていた。
「ご、ごめん獄寺君!やっぱり迷惑だよね、こんなの!」
ツナが慌てて弁当を体の後ろに隠すと、獄寺がバッと顔を上げた。
「感激っス!!」
「へ?」
「10代目のお母さまの手料理が食べれるなんて、幸せっス!!」
獄寺は本当に感激している様で、頬は紅潮し、瞳は潤んでいた。
(あ、可愛い・・・・・って、何考えてんだ!?)
フと浮かんだ自分のそんな考えに、ツナが首を傾げていると、後ろ手に掛かっていた重みが無くなった。
「幸いな事に山本は部のミィーティングとかで居ないんスよ!早く屋上行ってリボーンさんと3人で食べましょう!」
「う、うん。」
重箱を抱えながら笑顔でツナの手を引っ張る獄寺に、ツナも自然に笑顔を浮かべて頷いた。
暖かい陽射しと心地良い風が気持ちいい屋上には、数人の生徒が居たが、出入口の扉を開けた獄寺が一睨みする
と、そそくさと退散して行った。獄寺のそんな様子に冷や汗をかいたツナには気付かず、獄寺がニカッと笑う。
「これでオレ達の貸し切りっスよ、10代目。」
その笑顔に一瞬目の前がチカチカしたが、太陽の光のせいにして、ツナは誤魔化す様に屋上全体を見渡した。
「そ、そうだね。あれ?リボーンが居ない。」
「きっと色々やる事あって忙しいんすよ。あの人に仕事を頼みたい輩はそれこそ山の様に居るんスから。」
言いながらさっさと座り込み弁当の包みを開け出した獄寺の前にツナも座った。
「そんな凄いんだ、リボーンって・・・」
「そうっスよ。何せ大事なボンゴレファミリー次期ボスの教育係を仰せつかる位っスから。はい、10代目。」
獄寺がさも当然と言わんばかりに、箸で挟んだ玉子焼きをツナの口元に差し出した。
(・・・・・・・・・・これって・・・・・)
自分のやっている事に気付いてない獄寺がツナが食べるのをニコニコと待っている。
「あ、あのさ、折角だから獄寺君が先に食べてよ。」
ツナが頬を赤くしてそう言ったのを、少し首を傾げて不思議そうに聞いていたが、獄寺は左手をピッと顔の前で立てて
「いただきます」と呟いてからポイと口に玉子焼きを放り込んだ。
「上手いっす!!久し振りに玉子焼き食べました!!」
「そっか、一人暮らしだし、家事駄目なんだよね・・・・・。」
ツナはお握りを頬張りながら山本の家の寿司屋での獄寺を思い出し、ハハと乾いた笑い声を出した。笑いながら、獄
寺が次のおかずを取るのを見ていたツナは、ある事に気が付いた。
「わ、凄い。獄寺君って綺麗に箸持てるんだ。」
「そうっスか?お袋がこういう事には厳しかったんでそのせいスかね。」
「いいなあ、オレ下手なんだよね。いいよね、箸が綺麗に持てるってさ。」
「教えますよ。持ってみて下さい。まず一本だけを鉛筆持つみたいに持って・・・」
箸を持つツナの手に獄寺の手が添えられる。
「で、それがしっかり出来たらもう一本を・・・・・・」
「あ、あの!獄寺君・・・・・・その・・・・手・・・・・」
「え?う、うわっ!!すみませんっ!!」
焦った様な口調に獄寺が顔を上げると、ツナの顔が真っ赤になっていた。何時の間にかツナの手を両手で握り締め
ていた自分に気付き、獄寺が慌てて手を離す。二人で赤い顔をして下を向き、暫くモジモジと黙り込む。そして獄寺 がそっと視線を上げて、物凄く申し訳なさそうな表情でチラッとツナの顔を見た。まるで叱られた子犬の様なその仕草 に、ツナは思わず微笑んだ。すると獄寺もやっと表情を和らげた。今度は揃ってヘヘ・・・と笑い合う。間を風がさぁっと 吹き抜ける。
「Sawadasan・・・・・・・・ti piaccio?」 「沢田さん・・・・・・・オレの事好きっスか?」
「Ma,dai.Certo che mi piaci.」 「何言ってんの、もちろん大好きだよ。」
風の音で聞こえないと思っていたのに、わざと聞こえない位の声で呟いたのに、そしてツナには分からないようにイタ
リア語で聞いたみたのに。獄寺の顔がまた真っ赤に染まり、目は驚きで丸くなっている。ツナはその顔が余りに普段 の獄寺と違い過ぎて、可愛いくて、クスと笑った。
「リボーンがね、いずれ向こうに行くんだからって無理矢理、さ。合ってたかな?」
「あリボーンさんに教わってたんスか。そーだったんスか・・。発音とかはOKっスけど。・・・・・その・・・え・・・と・・・」
獄寺が、不安そうな顔をしたのでツナはまたクスクスと笑いながら言った。
「大丈夫だよ、テキストの例文通りじゃなくて、本心だから。」
ツナがそう言うと、獄寺の顔が更に真っ赤になる。真っ赤になって、本当に嬉しそうな笑顔を浮かべた。
(可愛いなあ。)
そう思う自分に、ツナはもうツッコむ事を止めた。
「ね、早く食べちゃおう。昼休み終わっちゃうよ?」
「はい、10代目。」
湯気でも出そうな獄寺が、また自分に差し出した玉子焼きを、今度はしっかりと味わうツナであった。
2005.01.01.
うふふ〜初ツナ獄ですよ〜(ドキドキ
イタリア語は右側を反転して頂くと訳が出ます。非常に見辛いですが。
発音は「サワダサン・・・・・・・ティ・ピアチョ?」 「マ・ダイ、チェルト・ケ・ミ・ピアチ」です。
あ〜このネタ使おうと思ってからえらい時間が掛かりましたなあ(遠い目
ツナ獄はじれったい位の純愛がいいなあとか思いつつ。ツナが腹黒いのも好きですよ。
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