アフターパニック〜青学騒動〜







あ、ども。青学の河村隆です。最近テニス部に変な同盟ができちゃって、何か俺もムリヤリ入れられちゃって、正直困
ってるんだよね。「青学テニス部アイドルを悪魔から取り戻せ同盟」っていうらしいんだけど。あ、アイドルっていうのは
海堂薫っていう後輩のことなんだ。男子テニス部のアイドルが男なんて何かおかしいけど、海堂は本当に純粋な奴だ
から、確かに見てると和むんだよね。それで悪魔っていうのは、俺の幼馴染みの亜久津って奴なんだけど。どうやら
この二人、付き合ってるらしいんだ。




















事の起こりはこの間の土曜日にあった部活の時で。桃が、その、見つけちゃったんだよね、えーと、その、キ、キスマ
ークってやつを。しかも、部室で皆が着替えてる時だったから大騒ぎになっちゃってさ。その日いつも真面目な海堂に
しては珍しく遅くって、桃と同時ぐらいに着替え始めてさ。


「よう、マムシ〜珍しく遅えじゃねえか。」

「うるせえ、俺が遅かろうが早かろうがてめえには関係ねえだろ」


桃は海堂が怒るの知ってていつもワザとマムシって呼ぶんだよね。何でなんだろう?いつもあいつらの掴み合いを止
めるの俺か大石なんだから止めて欲しいんだけどな。海堂は遅れて来て焦ってたのか、あんまり桃には構わずに着
替え始めたんだけど、海堂って滅多に皆と一緒の時間帯には着替えないから珍しいのか、みんな結構ジロジロ見て
てさ。桃なんかすぐ隣からじ〜っと見てて。で、気付いたらしくてさ。


「お、おい。海堂。お前、その、首んとこのヤツ・・・・・」


海堂はそんな痕がついてることなんて全然知らなかったみたいで。はあ?って顔で桃のこと見てたんだけど。桃がゴ
クッと唾を飲み込んで恐る恐る言ったんだ。


「海堂。それって、もしかして、キスマークってヤツじゃ、ねえの?」


結構騒がしかった部室が桃のその言葉でシーンって静まり返ったんだ。海堂はまた一瞬?って顔したけど、その痕
について何か思い当たることがあったみたいで、すぐに真っ赤な顔して手でその痕を押さえて隠したんだけど、それも
またまずかったんだ。だってさ、その手首には、くっきりと指の痕がついてて。


「おま・・・・・何だよその手首にある指の痕は!!まさか強姦されました。とかじゃねえだろうな!!」

「ち、違・・・」

「海堂先輩!!強姦されたんすか!?相手は!?」


海堂の言葉を遮ったのは越前だった。いつのまにか俺以外のレギュラーと乾が、海堂と桃の周りを取り囲んでてさ。
海堂は後ろロッカーだし、着替えの途中だったし、逃げるに逃げれなくて。


「や、だから違う・・・・・・・・・」

「何が違うんだ、海堂!!両手首とも指の痕がついているじゃないか!」


手塚の言葉に皆がロッカーに縋りつくようにしていた海堂のもう一方の手首を見ると、確かにそっちにもくっきりと痕が
あって。不二がスッと海堂のロッカーにあるほうの手を取ると優しくさすりながら言ったんだ。


「可愛そうに。こんなに酷く痕がついてるよ。大丈夫、海堂。必ず仇はとってあげるからね。それに僕達以外には絶対
漏れないようにするから、何があったのか教えてくれないかな?」

「そうにゃそうにゃ、薫ちゃんはこれから俺たち8人がぜ〜ったい守ってみせるにゃ!」


不二と英二の言葉に俺が慌てて後ろを振り向くと、他の部員達は一人もいなくなってたんだ、不思議だよね。


「確か、昨日海堂はいつもの店には目当てのシューズが無くて、少し遠くまで探しに行った筈だ・・・・・」


乾ってホントに凄いよね。そんなことまでデータ採ってるんだ。


「じゃあ、その時か?海堂。俺たちは何があってもお前の味方だ。正直に話してくれ。」


手塚が言うと、海堂は真っ赤な顔して下を向きながらこう言った。


「強姦なんて、されてないっす・・・・・。」

「本当か?海堂。大会中だからって気にしなくていいんだぞ?それにお前が被害者なんだから出場停止なんてことに
はならない筈だ。」


大石は海堂が大会中の不祥事ってことを気にして言えないんだと思ったみたい。確かに海堂なら自分より大会を大
事にしそうだもんな。でも海堂は只ブンブンと頭を横に振るだけでさ。


「じゃあいったいその手首と首の痕はどうしたというんだ。」


手塚が聞いても海堂は珍しく黙ったままで。海堂ってさ手塚のことすごく尊敬してるみたいで、礼儀正しいヤツだから
俺たち3年にはもともと素直なんだけど、特に手塚には従順って言ってもいい程なんだよね。なのにその手塚が聞い
ても答えてくれないから、みんな困っちゃってさ。それで英二が桃に聞いたんだよね。


「手首はともかく、桃〜、ほんと〜にキスマークだったの〜?」

「そうだよね。見間違いかもしれないよね。」


俺が桃の勘違いであって欲しいって思ってそう言ったんだけど、桃はキッパリと言ってくれたんだ。


「間違いないっすよ!俺も虫にでも刺された痕かと思ってよ〜く見たっすもん。」

「海堂先輩、まさか合意の上でのコトっすか?強姦プレイとか?」


越前ってさ、すごいことを平気で言うよね。


「それも違う!」


話の矛先を戻されたうえにあんなこと言われたら、海堂もさすがに黙ってられなかったらしくて、すごく必死に否定して
た。


「じゃあ、いったい何なんだ?」



乾がノートを開きながらシャーペンでこめかみのトコをトントンと叩きながら聞いたんだけど、海堂はまた黙っちゃって。
そうしたら大石がどんどんと間が狭まっていってた海堂とみんなの間に入って言った。


「落ち着くんだみんな。こんな聞き方されたら海堂だって上手く話せないじゃないか。」


それもそうだってことになって、比較的冷静な大石と俺が海堂に質問することになったんだ。


「海堂、その首の痕は、キスマークってことで間違いないのか?」

「そ、その・・・キスマークってもんがどんなもんなのかよくわかんないんすけど、多分・・・・・」

「えーと、海堂。ご、強姦された訳じゃないんだよね?」

「はい。」

「でも、合意の上でのことでもなく。」

「はい。・・・・・・・・あ、いえ、そういうことになるのかも、しれないっす。」

「な、何だとこ、むぐぐ・・・・・」


海堂の言葉に桃が口を出そうとしたんだけど、大石が口を押さえて止めてた。


「あ、相手は?ちゃんとした人だよね?変なおじさんとか見ず知らずの人とかじゃないよね?」


俺がそう聞くと、何故か海堂はじ〜っと俺のこと見て赤い顔をさらに赤くして、顔だけじゃなくて体まで赤くして、何だ
か少し嬉しそうに頷いた。


「・・・・・・・・・・はい。」


黙って海堂と俺たちのやりとりを聞いてたみんなだったけど、そんな海堂の態度を見て耐えられなくなったみたいで
堰を切ったみたいに一斉にまた騒ぎ出したんだ。桃は大石の手を振り払って叫んでたなあ。


「ぷは!その相手ってやつはいったい誰なんだー!海堂ー!!」

「そうにゃ!そーんなうらやましいことしたヤツって誰なの!?」

「フフ、よっぽど早く死にたいらしいね。そいつ。」

「俺の大事な海・・・・・いや、大会前の大事な体の部員になんという不埒な真似を!!」

「海堂にそんなことができるような人物なんて、俺のデータにはないんだがな。」

「考え直してください!海堂先輩!先輩は純粋すぎるから、きっと、絶対、騙されてるんすよ!!」


あまりのうるささに、ついに海堂はキレちゃったみたいで、バンってロッカーを叩くと、


「よってたかってうるせえんだよ!!俺は早く着替えて練習してえんだ!!」


そう言ってさっさと着替えてラケットを掴むと走って出て行っちゃったんだ。走り去る海堂を見てさ、越前がまたすごい
ことを言うんだよ。


「あれだけ走れるってことは最後まではヤってないっすね。」


越前ってさ本当に12歳なのかな・・・。


「な、なんでおめえはそんなことがわかるんだよ。」


桃も真っ赤になって聞いてた。


「越前の言う通りだ。どんなに上手くヤったとしても、いくら海堂の体力がすごいといっても、昨日の今日であの走りは
無理だ。」


乾の頭の中ってさ、本当にいろんな知識が入ってるよね。


「じゃあさ〜まだ俺たちにもチャンスは有るってことだよね〜♪」

「まずは敵を知らねばなるまい。」

「そうだね。誰だかわかんないと手の出しようがないもんね。」


そんなみんなの言葉を聞いて大石が胃を押さえてうずくまっちゃったから俺が慌てて駆け寄ってるうちに、みんなコー
トへと出てっちゃって。大石、胃に穴が開かなきゃいいんだけど。




















それで、みんながいろいろな方法で相手を聞き出そうとしたらしんだけど、結局最後まで海堂は教えてはくれなかっ
たんだ。でも、以外と早く海堂の相手は判明した。週明け月曜日の放課後の部活が後10分ぐらいで終わるって頃
に、その相手が海堂を迎えに来たんだ。それが、俺のよく知ってる亜久津だったってことにはビックリしたんだけど。
それに目の前であんなことされちゃってもっとビックリしたんだけど。海堂ならちゃんと亜久津と付き合ってけそうだし、
亜久津も海堂のこと大事にしてるみたいだったから、応援してあげようって思ったんだ、俺は。
でも、みんなは納得いかなかったみたいで。
何故か亜久津と一緒に来てた山吹の千石君と壇君を取り囲んでどうしてあの二人がああなったのか問い詰めてたけ
ど、二人も知らないみたいでさ。その後大石まで「やっぱり海堂は騙されてるんじゃないのか?」なんて言い出して。
それで「青学テニス部アイドルを悪魔から取り戻せ同盟」が結成されちゃったんだ。俺はコッソリ帰ろうとしたんだけ
ど、


「あっちから直接情報聞き出せるの、タカさんしかいないから。」


っていいながら不二にガッと肩を掴まれて、断り切れなかった。だって不二、目開いてたし。これからどうなるんだろう
ね。俺は二人は結構お似合いだと思うから邪魔する気なんて全然ないんだけど。亜久津、海堂、がんばれよ。
俺も大石みたいに胃薬持ち歩こうかな・・・・・。





2003.11.05
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二人がそろってなくても亜海なんです。
タカさんの話し方にイマイチ自信が持てませんが、許してやって下さい。
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オマケ
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