揺りかごの歌



プロローグ


「パイオニア計画」
 それは母なる大地の衰えにより余儀なくされた大規模移民計画である。
 無人探査機によって発見された惑星「ラグオル」に、長距離惑星間航行用の移民船「パイオニア1」が到着した。
 嬉々とした「パイオニア1」の移民団は早速惑星の周辺調査を行い、地表に生活の拠点となる「セントラルドーム」の建設に乗り出す。

 そして7年後。「パイオニア1」からの招聘を受けて、本格的な第二移民船「パイオニア2」が惑星「ラグオル」に訪れる。衛星軌道上に「パイオニア2」が到着し、いよいよ「セントラルドーム」と通信回線を開く直前、ラグオル表面上に大爆発が発生した。
 以後、「セントラルドーム」との通信は途絶えることとなる……

 ラグオルでの爆発をうけて、「パイオニア2」の統治局である総督府はある重大な決断を下す。それは「ハンターズ」と呼ばれる荒事専門家たちを使い「パイオニア1」の人々の安否を調査することであった。ラグオル地表に下りる専用転送装置が設けられ、ハンターズに使用許可が認められることとなる。
 そして「パイオニア2」軍部もまた、独自に調査を開始していた。「パイオニア1」の乗組員はほとんどが母星の軍人や政府高官であり、その生死を確認することは政治的にも重要な問題であったのだ。

 総督府。
 ハンターズ。
 軍部。
 三万の移民。
 本星政府。
 様々な思惑や気持ちが修復不可能なほど絡まってしまった「パイオニア2」と、彼らの希望の星「ラグオル」の狭間。
 そこで、ちょっとだけ懸命に生きている者たち。
 これはそんな者たちの小さな物語である。




草書