胸にこみ上げ出た 熱く激しい我が思い
我等は起つ 内府に対し
手を取り合い 誓い合って
将来(あす)の行方賭けて 反徳川語らうのさ
(相手は)我等の力それだけでは とても敵しえない巨人ぞ
利に向くな 恩顧を忘るな
一対蝶ノ丸 刑部
豊家守り抜くんだ
「その非鳴らせ!」
今こそ立ち上がれ 豊臣恩顧よ
輝元公擁した 我等(に)従え
(自家の)安らぎを夢見る 西方諸侯よ
厭うべき孤立と大義案じて
集え! 集え!
<檄に応じ、続々と大坂に参集する諸大名。
美濃の要衝・岐阜城主織田秀信の抱き込み。
畿内の家康側最大拠点・伏見城の攻略。
丹後田辺の攻囲、伊勢路の東軍諸城の攻略も予定通り進行。
吉継自身も北陸道に赴き、丹羽・山口ら諸侯を味方に引き入れると共に、南下を図った前田軍二万五千を、謀略をもって金沢に撤退させる事に成功するなど、全ては順調に見えた。
だが… 綻びは、水面下で密かに、そして主戦場たる美濃方面にて顕れていく。
八月二十三日、要衝岐阜城が一日であっけなく陥落。
九月三日、京極高次が東軍の旗を掲げ、交通の要衝大津城に篭城開始。
…そして、九月十四日>
内府 動けまいと 我等の希望的観測(よそう)砕け散り
(金色の)扇は高く翻る 最早覚悟の時ぞ治部少
懼れるな 地の利は我等ぞ
一対蝶ノ丸 刑部
さあ 迷わず行くんだ!
「天下分け目!」
雄々しく舞い踊れ 我等が将士よ
蝶ノ丸ひらめけ 天に轟け
日和見を決め込む 東よ南よ
動かぬは怯懦か それとも(獅子身中の)虫か
如何に! 如何に!
「金吾 金吾 やはり敵か!」
今こそ立ち向かえ 死憤の将士よ
憤激の剣で 小僧蹴散らせ
火事場泥夢見る 与力の四将よ
武士(もののふ)の死に様 しかと見さらせ!
死ねや! 死ねや!
<…終わったのう、何もかも。>
<五助、わしの顔は醜い。
決して、頸を敵の手に渡すでないぞ!>
<(じゃが… それにしても口惜しきはあの小僧かな!)>
<人面獣心なり…
三年の間に祟りをなさん!>
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