< 永禄三年初頭における天下の状勢
〜大国への収斂〜 >
松永久秀の挙兵からはや五年。天下は次第に幾つかの巨大勢力へと収斂されつつあった。
北条は関東を平らげ、東北へとその食指を伸ばし…
今川は東海を制し、さらに美濃・近江・信濃へとその勢力を広げ…
松永は畿内中枢を固め、さらに次の獲物を窺い…
毛利は中国から北九州、そして四国へと西国全体を覆うが如く兵を進める…
数多の大小名が滅亡・屈服を余儀なくされる中、自立を誇るのははや二十五家に過ぎない。
はたしてただ一人、天下に勝ち名乗りを挙げるものは果たして誰か?
今はまだ、それに答えられる者が居よう筈も無い。未だ乱世の終わりは見え無かった…
< 永禄三(1560)年・春 >
「果たしてこの天下、いかに転ぶものかな…」
乱破どものもたらした報告を纏めつつ、わしはそうひとりごちた。
北条(255)・今川(226)・武田(62)・上杉(76)・朝倉(124)・三好(56)・宇喜多(76)・毛利(245)・立花(53)・島津(83)、そして我が松永(148)…
強き者はさらに肥え太り、弱きものは次第に消え行く。何と解り易くも楽しい世ではないか。
釜の沸き立つ音を耳にしつつ、わしは何とも言えぬ愉快な気分に捉われていた。
なおこの春、浅井家の重臣・赤尾清綱が当家へと馳せ参じてきた。
今川への随身をめぐり、浅井家中も相当揺れ動いていたのであろう。
無論、わしがかの勇将を快く迎え入れた事は言うまでもない。
そして、わしはあらためて京へと全軍を集結させると、今度は一気に丹波・亀山へと雪崩れこんだ。
遂に朝倉家との戦いの始まりである…
(天下)
●秋月家滅亡。
< 永禄三年・夏 >
緒戦において、亀山城はあっさりと我が手に落ちた。
しかし同時に、本願寺領・尼崎を踏み潰した朝倉勢が、その勢いを駆って一気に高槻へと乱入して来た、との報ももたらされて来ていた。
「ほう、朝倉とは思えぬ機敏な動きですなあ」
「なに、単なる奴の勇み足であろうよ。景紀と言えば朝倉一族随一の猛将だからな」
そんな藤賢・氏綱の言を耳にしつつ、わしは次の一手を練っていた。
さて、いかに朝倉を料理すべきであろうか…
(天下)
●高梨家・大崎家・木曽家滅亡。
●延暦寺僧兵、敗亡。
●武田信玄討死。重臣飯富虎昌跡を襲い、飯富家となる。
< 永禄三年・秋〜冬 >
わしは亀山の守りを伊丹親興に委ねると、藤賢と共に九千余の軍を率いて、高槻を救援すべく兵を進めた。しかし一足違いで既に高槻は落ちており、敵将・朝倉景紀と四千の兵は手ぐすねを引き、わしを待ち構えていた。
「成り上がりものどもめ! 身の程知らずにも我が大国を襲うとは…
あの世で己の愚かさを悔やむのだな!」
そんな勇壮なる敵将の啖呵を合図にしたかの如く、合戦は始まった。
そして合戦は、景紀隊の壊滅によりあっけなく幕を閉じた。自信に満ち溢れた奴の言葉を思い返しつつ、わしは藤賢の挙げしその首を見据える。
「で、景紀よ。お前は今何を悔やんでおるのだ?」
無念と驚愕に満ちた首が勿論何を語ろう筈も無い。
ともかく朝倉家随一を謳われた猛将は、緒戦にてあっさりとわしに首を授ける事となったのである。
なおわしが余勢を駆り、さらに尼崎へと雪崩れ込んだ事は言うまでも無い事であろう。
(天下)
●伊予宇都宮家・飯富家・立花家滅亡。
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