◆ ライヒスリッター(PC88・エニックス・SLG+RPG)

「ごちゃごちゃぬかすと焼き殺すぞ!」

 

 

<はじめに>

 エニックス。 「ドラゴンクエスト」シリーズ等で名高いこのメーカーを知らぬ方は少ないと思いますが、同社が昔作ったこの「ライヒスリッター」を御存知の方も、負けず劣らず少ないのではと思います。

 確かに本作は、ゲームとして、物語として、それ程凄い作品ではなかったでしょう。 しかし軍備や出兵といった毎月の政略(SLG部)と、平常の行動(RPG部)がうまく意味を持って連携していたシステムや、ある意味白眉とも言える外交モード等、少なくとも私にとっては部分的ながら未だに忘れ難い印象がある、古の佳作と言えます。

 

<バックストーリー>

 「中世ヨーロッパ風の世界で、魔法・騎士・モンスター等が登場した」
 「最終的に、主人公が世界に仇なす強大な存在(魔王?魔獣?)と戦う」

 …他にも不思議な人物などが出てきたような気がするのですが、殆どは忘却の彼方。今となってはこの程度しか覚えておりません。

 

<内容>

 本作は、とある国の君主である主人公が、月始めの政略モードで自国の軍備増強・領土拡大を図りつつ、メインとも言うべきRPGモードで情報収集・外交交渉・イベントなどをこなしていくといった、そんなタイプのゲームでした。
 とりあえず、非常に断片的ではありますが記憶を辿りつつ印象的な事を述べてみますと…



●対人交渉    〜脚で稼いで智で陥とせ!〜

 戦闘や政略面が極めてシンプル(例えればボードゲーム的)だった本作で最も印象深かったもの、それがこの対人交渉です。 RPG部において、主人公が他国の城等を訪ねて君主・武将といった要人に会った際にこのモードに切り替わるのですが、 

 挨拶→土産物贈答(自国特産の青い石等)→歓談(雑談等で場の雰囲気と相手の感情値を高める)→本交渉(同盟交渉・仕官勧誘等)

 といった流れを基本にしつつも、相手によって話題の効果がかなり異なる為、この人にはどんな話を振って話を盛り上げていくべきかとか、限られた時間内において、どのタイミングで雑談から本交渉へもっていこうか等の思案が必要だったりと、なかなかに面白いシステムでした。
 まあそれだけに慣れないうちや初対面の相手には、場の雰囲気を和やかにするだけで時間を使い果たしてしまったり、不用意な話題をふって相手を怒らせ、退席されてそれまでの成果をパーにしてしまったりといった失敗も、往々にしてあったのですが…

 なお最初に持っている僅かな「話題」以外はRPG部で入手していくのですが、町の人から入手出来るもの・他の要人との会談の際に得られるもの・イベント絡みのもの等入手方法が様々な上、その内容も悪口・自慢話の類から古代遺跡などの謎めいた話、果てはある人物の死命を制する程の秘密だったりとなかなか多岐に渡っており、「どこで新しいネタが手に入るか」とか「この話をあの人に振ったらどんな反応が返ってくるか」などと、色々と思いを巡らすのも楽しいものでした。 


●イベント     

 本作の主人公は「一国の君主」という政治的に力のある存在の為、何か問題が起こった際のアクションも自ずから、普通のRPGでの「一介の私人」という主人公とはまた違った感じでありました。
 例えば、「橋が老朽化して落ちてしまっており、向こう側へ渡れない」「近くの洞窟に山賊が居を構えた」といった際も、「国費を投入して壊れた橋を補修する」とか、「自国の兵を送って洞窟を攻める」といった具合であり、なんとなく新鮮な感じを受けたものでした(なおこれらの行為は大抵「自国領土」でのみ行えた為、イベントを進展させるにはSLG部での勢力拡大が必須、という具合にもなっておりました)。


●様々な登場人物

 本作の登場人物は決して多くはありませんでしたが、「きざでおしゃれ好きな王」「豪傑肌で粗野な武人」「目つきも言動もいかれ気味な、自称世界一の大魔道師」「才はあるが、妙に気弱な重臣」「気品溢れる女将軍」などなかなか個性があり、色々と制約はあれど会話の妙を楽しめたものでした。

 なおこれら人々の中でも、特に敵国の将であった「いかれ気味な魔道師」には、強烈な印象がありました。 なにせ情報収集をすれば「過去に戦場で敵味方まとめて焼き払った事がある」といった碌でもない話ばかり集まるは、実際に話をしてみれば普通の話題には殆ど興味を示さない上、二言目には「ごちゃごちゃ言うと焼き殺すぞ!」「下らん事を言うと焼き殺すぞ!」などといきり立つはと、取り付く島すら無い難儀な人物だったのが、ひょんな事から知った彼の「魔法の秘密」を、何気なく会談の場で振ってみた後には…

 振った時の凄まじい狼狽振り、以降の言動の激変振りは、個人的には本作随一の見所でありました。



<余話>

 主人公が最後の敵と渡り合った際に一時撤退すると、同盟国の王と将軍達が急遽馳せ参じて来て、「世界の危機」へ対処する為一時的ながら自分達への指揮権を委ねてくれるというイベントがあったのが、なんとも印象的でした。



<総評>

 「一級品ではないものの、どこか忘れ難い佳作」。評価としては、結局そんな所に落ち着くかと思います。
 ですがこの手のゲームで「会話」を重視していたものがあまり無かった事もあり、個人的にはなかなか印象深く(まあ記憶はかなり欠落しておりますが)、機会があれば今一度やってみたいな、という作品ではあります。
 

 総合評価 … B(それなりにバランスの取れた、味のある佳作) 

 

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