◆ 三国志(PC88他・光栄・SLG)

「成功です、フフフ…」

 

 

<はじめに>

 PC88やFCの御世から今に至るまで、「三国志」を題材にしたゲームは、果たして幾つあるものか?
 無論その総数は知るべくもありませんが、私が題名をぱっと思い出せるSLGに限定しただけでも、「光栄三国志シリーズ」「天舞 〜三国志正史〜」「三国志 〜中原の覇者〜」「群雄三国志」「昇龍三国志」「皇龍三国志」「私説三国志」「魏呉蜀伝」「三国志列伝」「鄭問三国志」… と、結構な数がある程です。

 それらの作品はオーソドックスなものあり、とことん「正史」にこだわってみたものあり、武将や国データを極力簡素化し、戦闘メインでシンプルに仕上げたものあり、伝令や早馬などを駆使したリアルタイム進行に挑戦してみたものあり(但し、欠陥だらけ)と、まさに様々でしたが、それらの中でも色々な要素を詰め込んでいる事、力押し以外の戦略戦術の幅がかなり広かった事などで最も印象深いものの一つで、現在も出続けている「光栄三国志シリーズ」の始祖。それが本作です。

 

<概要>

 舞台は中国の後漢王朝末期。
 プレイヤーは「董卓打倒」(189年)から「三国の時代」(215年)までの5つのシナリオから任意の君主を選び(但し、選べない君主もあり)、全58国を平らげ天下を統一するのがゲームの最終目的です。
 なおシナリオによっては、全土統一に加え、君主が洛陽か長安に居るといった他の条件達成も必要な場合がありました。

 

<内容>

 基本は「内政を整えつつ軍備を増強し、他国を併呑していく」という典型的な国取り物ですが、人材の確保が最重要と言ってよい要素を占めている、外交や謀略、特に後者が使い方次第では兵力以上の効果を発揮するなど、後の「光栄三国志シリーズ」に引き継がれていく特徴が、後の作品以上に強い作品と言えました。
 以下、特徴的・印象的な事を述べてみますと…

●人材登用        〜人心を掴む事は、天下を掴む為に必要でしょう〜

 人材の質もさることながら、人数そのものも大きな力となる本作においては、月一回、君主にしか行えないこのコマンドを如何に上手く使っていくかが、戦争以上に自国の将来と勢力拡大の鍵を握るといっても過言ではありませんでした。
 相手の能力や忠誠心を考慮しつつ、ある時は手紙・名馬・美女・金らで歓心を買い、またある時は自ら直接出向くという誠意で転ばせる(但し他国の将引き抜きの場合、最悪捕まって殺される可能性あり)などの手管を駆使して挑むこの武器なき戦いは、優秀な軍師と適切な手法、そしてなにより軍師が登用成功のコメントを出すまで何十回でも試してやるといった執念深ささえあれば、相手の忠誠心が100で無い限り不可能ではないという事もあり、とてもやり甲斐があるものでした。

 大兵力を指揮している武将を引き抜けば、その兵力ごと。敵の属領の長たる太守を引き抜けば、その治める土地ごとこちらの陣営に引き抜ける。
 労は少なくして、相手の力を削ぎつつこちらの力を増せるというその効力の絶大さと快感は、まさに本作の肝の一つと言えました。

 また登用の範囲が隣国に限らない為、戦争で敗北し所属が強制的に変わった事で忠誠度が激減した武将を一本釣りしたり、他の君主が在野から登用したばかりの武将(即ちまだ忠誠度が低い)を横から掻っ攫ったりするというハイエナ行為が極めて効果的だったのも、本作の特徴と言えたでしょう。
 …まあ自分でやる時は愉快なものの、COM側君主も(特にゲームレベルが高い時は積極的に)仕掛けてくる事が少なくなかったので、手放しで喜べないものでもあったのですが。

 

●戦争         〜火と智を以て望めば、幾万の敵も恐るるに足らず〜

 SLGのある種キモであり、全土統一の為には避けて通れる筈が無いもの。それが「戦争」です。
 本作の戦争は極めてシンプルではあるものの、敵の全滅や兵糧・軍資金の枯渇以外にも、敵総大将を退却させる・兵糧庫を奪う(守備側のみ)、戦場内の城全てを占領する(攻撃側のみ)といった別途の勝利条件があった為、圧倒的な兵力差を跳ね除けたり、一兵も損ぜず領土を奪ったりする事も決して不可能ではないという、結構頭の使い甲斐のある楽しいものでした。
 それらを、多少個別に述べて見ますと…

 ・火計の妙      〜もたらすは奇跡か、悪夢か、はたまた時か〜

  本作の戦争を特徴づけるものと言えば、まずはこの「火計」が挙げられる事でしょう。
  その直接的な効力自体は、戦場の一角に火を付ける事で一時的にその場を通行止めにしたり、敵陣に付ける事でその場から追い払ったりするというだけで、相手の兵力や物資に直に被害を与えるようなものではありません。 ですが「武将ならば誰でも使え、誰も居ない場所になら100%成功する」この計をうまく使いこなし、「風向きによってどんどん燃え広がる上能動的な消火は出来ず、自陣についた場合はすぐ逃げないと焼死」という特性を持つ火を操る事が出来れば、敵を炎の壁で封じ込めて退却を余儀なくさせたり、援軍到着まで時間を稼いだりと、まさに数万の軍に匹敵する活躍も可能な最強の計でした。
  …但し、殆どやけくそで辺り一面に火を付けまくった結果、数十倍の敵を撃退出来る事がある反面、敵の火計で自分が同じ目に遭わされたり、風向きが突如変わって自軍が手痛い目に会うことも少なくないという、諸刃の剣である事を常に忘れられない計でもありました。

 また実行者が知略の士の場合、隣り合う敵陣へ直接火を付ける事すらかなりの確率で成功した為、そういった人物が守りをがっちり固めて篭っている城を攻める時の厄介さなど、相当なものでした。

 

 ・猛将と突撃の妙   〜一撃必殺! 一発逆転!〜

  本作で敵陣に直接的な被害を与える戦法としては、「直接攻撃」(自軍のみで敵陣を攻撃)・「一斉攻撃」(敵陣の周囲にいる自軍と連携しての包囲攻撃)・「突撃」の三種がありましたが、これらの中でも特に「突撃」の効果と凶悪さには、特筆すべきものがありました。
  なにせ前二者が、言うなれば比較的緩やかに兵力を殺ぎあうものであるのに対し、「どちらかが全滅するまで続き、敗者はかなりの高率で戦死する」という、苛烈極まるものであったからです。

  無論こちらの被害も半端では無い上、敵の優秀な人材を悉く葬ってしまう可能性も高い為、濫用すれば究極的には自軍の首を絞める事になりかねぬ戦法なのですが、敵陣へ雪崩れ込み君主や総大将に仕掛けて一発逆転を狙ったり、火を付けまくってくる厄介な軍師に喰らわせて強引に粉砕したりとその効用は幅広く、まさに猛将の腕の見せ所という戦法でした。

  但し、「武力が低い雑魚」と思い突撃を仕掛けてみれば、相手の武装度が異常に高く大損害を喰らった、などという事も結構起こり得ましたので、その辺りは要注意だったものです。  

 

 ・智将と計略の妙    〜猪武者を掌で弄べ〜 

  「戦場でものを言うはやはり武力」。多くのSLGと同様に、それはこのゲームにおいても決して間違いではありません。 しかし前述の「火計」と此処で取り上げる「計略」というコマンドの存在により、知略の士(大抵武力は極低い)達の存在感と威力が戦場往来の猛者達をも凌駕する事が少なく無かった事も、また本作の特徴の一つと言えたでしょう。

   「計略」。それは隣接する敵陣にのみ実行出来る戦法で、相手との知力差が無いとなかなか成功しないものの、成功すれば軽度(せいぜい数百)の損害を与えつつ全ての機動力を奪え、敵を一時的な行動不能状態に陥れる事が出来る計。
それ単品では左程のものでは無いのですが、二人以上の智将が火計とうまく組み合わせて相手に仕掛けた場合、敵にとっては悪夢の如き状況をもたらしかねぬ、まさに最凶の戦法となり得るものでした。
 「計で動きを封じた上、確実な死をもたらす火を浴びせる」。なにせそれは天下無双の豪傑でも武装度MAXの厄介な敵でも、決まれば一発で退却か焼死に追い込むことが出来るという、一度成功すると癖になる程爽快なものでしたから。

  但し、運悪く片方が失敗してしまった時など、手負いの敵に猛烈な反撃を受けたりする事もままあったので、過信と濫用はくれぐれも要注意、と。

 

 ・長期戦の妙    〜変幻自在なその効用〜 

  本作の戦闘は三日で1ターンの為、一月は僅か10ターンに過ぎません。故に余程戦力差・将兵の質・地形等の条件が揃わなければ、大抵戦いは月を越し、長期戦へと縺れ込む事になります。
  そして本作では「長期戦になる」事も無論多いのですが、積極的な戦術として「長期戦に持ち込む」事も、状況によっては非常に有効な戦術である事が少なくありませんでした。

  例えば手薄な自国が攻められた場合、とにかく長期戦にさえ持ちこめれば、その間に隣国から援軍を送り込んで敵の総大将と兵糧庫を一気に狙ったり、別の国から敵の出撃拠点を攻めて退路を断ち、侵攻軍を一網打尽にする態勢を整えてから反撃に転じてみたり、更には本国から手を廻して侵攻側の敵将を寝返らせ、相対的な兵力差を戦わずしてひっくり返してみたりと、状況に応じて様々な事が出来たものでした。
  なお、特に敵総大将を寝返らせる事が出来た場合は、戦闘がその場で終結するのは勿論、他の指揮下の将達は国に戻る事も出来ず在野へと下る羽目になるという二重三重の効果があり、困難ではあっても非常に有効な方策でありました。

  他にも敵の物資枯渇を狙う兵糧攻めとして、税収期を巻き込む事で敵の徴税をパーにするという経済的な締め上げ行為として、敵軍を足止め・霍乱する為の嫌がらせ行為としてなど、その用途と効能はまさに工夫次第、様々だったものです。  

 

●謀略      〜戦わずして勝つが兵法なり〜

 戦わずして敵を疲弊させ、あわよくば無血で土地を奪う。それは理想的ではありますが、実行はなかなか困難なものです。
 ですが本作では「密計」というコマンドで、敵に対し「君主の悪い噂を流す」「民衆を翻弄する」「米を焼く」という3種の謀略を仕掛ける事により、それを絵空事に終わらせない事も十分可能でした。

 これらのうち、武将の忠誠度や民忠を下げる前二者も、数を浴びせれば結構効果を発揮したのですが、やはり最後の「米を焼く」が、一番即効性も高く、使い勝手の良い計略でした。
 「一度に兵糧の三分の一を焼き払える」という、敵の兵が多い程その効果が発揮されるこの計は、特に自勢力の属領で一斉に仕掛けた時など、凄まじい威力を発揮してくれたものです。

 「敵の名将ががっちりと固めている国を、謀略と長期戦による兵糧攻めを連動させて無血で落とす」。それが可能だった事は、間違い無く本作独自の快感の一つであったろうと思います。

 

●天災      〜悪夢は突然、敵味方を問わず襲い来たり〜

 本作では季節の変わり目に「洪水」「疫病」「いなご」「地震」「住民反乱」という5種の災害が起こる可能性がありましたが、何れも他のゲームとは比較にならぬ、悪夢のような被害をもたらす恐ろしいものばかりでした。
 「洪水」「疫病」では土地が荒れて民忠は下がるのは勿論、住民は数万単位、兵士も3〜7割も減少、「いなご」はそれらに加え季節ごとに近隣へと広がりを見せ、「地震」では最悪武将が圧死、「反乱」は行政府が崩壊して空白地になる上、そこに居た武将があるいは殺され、あるいは在野へ逃れる等など…  その猛威ぶりは大国の根底を揺るがし、準備を進めていた侵攻を頓挫させ、睨みあう勢力間の均衡を破りかねない、まさに「天災」以外の何物でもなかった程です。

 とはいえこれほど凄まじいにも関わらず、「いなご」と「地震」は発生率が左程高くなく、他の3種は洪水対策や民衆への施しといった内政に力を注ぐという自助努力でほぼ防げる事が出来た為、案外理不尽には感じなかったものでした。 

 

●その他 

 他にも本作では、とにかく書く事には事欠きません。 

 ・略奪     

  民から財物を集める方法といえば、毎年七月の定期税収と年一回だけ実行可能の「臨時徴収」、そしてこの「略奪」が挙げられます。 とはいえ、実行すれば国内はガタガタに疲弊し、多くの武将達の忠誠度は低下し、君主のカリスマも低下と… それなりの財物と「人材登用」に最大の効果を発揮する美女が手に入る(事がある)唯一の方法という事を考慮しても、到底割に合うコマンドではありませんでした。
  しかしやはり「三国志」と言うからには、そして誰ぞに成りきってプレイしたりする為にも、選択肢としてあるのが望ましいコマンドだったかと思います。
  …なお、武力が高くて知力の低い武将達は逆に忠誠度が上がると言う細かい仕様も、実に良し、と。

 

 ・築城

  本作での勝利条件の一つに「マップ内の城を全て占領」という条件がありますが、莫大な資金と時間さえあれば、その城を最大10まで増やす事が可能でした。
  まあ税収が増える・国が若干落ちにくくなる、といった効能は確かにあるものの、数千〜万余に及ぶ資金と一年の歳月を掛けるだけの効果があるかと言えば… また別問題ではありましたが。

  ただ、戦闘マップ上の好きな所に城を縄張り出来る事や、暇と熱意さえあればどんな辺境にでも洛陽の都以上の巨城を築けるというのは、なかなかに興趣をそそるシステムでした。

 

 ・外交交渉の充実

  本作において外交の必要性は左程でも無く、正直このコマンドを使用せずとも、天下を統一する事は十分可能でした。
  しかしながら、借金・兵糧借り・借財返済・土地交換(飛び地が出来てしまった際、それを纏めるのに便利)・婚姻・贈物・共同作戦(敵の君主間の関係を低下させ、戦争を誘発しやすくする)・停戦(現在行われている長期戦の収拾を図る)・土地要求(これまでさんざん恩を売ってきた君主に、それをネタに国を一つ譲らせる)など、後に比べてもかなり充実しているコマンド群は、いざという時利用するには十分な価値があったものです。

  但し、今まで散々攻めたり将を引っこ抜いたりしてきた敵国にいけしゃあしゃあと借金などを申し込んだ場合、激怒した敵君主に問答無用で使者を叩き斬られたりする事もままあったので、その辺りは要一考です。

 

 ・輸送の制限

  後方から前線に、穀倉から被災地へ、といった具合に、大抵のSLGにとって「輸送」というのは必要不可欠な行為と言えるでしょう。 ですが本作では、大量に物資を輸送しようとするとほぼ間違いなく山賊に襲わてしまうという仕様があり、小規模で、かつがさばりがちな食料は避けて何度かに分けてといった、独特の輸送法を取らざるを得なかったのが印象的でした。

  まあリアリティに拘っているな、と思えなくも無いのですが… 武将の移動に伴う物資搬送の場合は、どんな大量だろうと、例え武将が一人も兵士を連れていなかろうと絶対安全確実だった事を考え合わせると、些か理不尽な気がしたのも、また事実でした。

 

 ・商人の不在

  戦争や内政に不可欠で、税収だけでは絶対に不足する事間違いない物資・兵糧。 それを常に必要量確保出来るかは、国防上結構な死活問題であるのですが… 本作では商人から買わねばならないにも関わらず、常駐する国以外ではなかなか商人を捕まえられないというジレンマがあったものでした。

  旅の商人は、民の忠誠度の低い危険な場所、土地の荒れた国、冬の北部、夏の南部には殆ど訪れないというシステム。実に理には適っていると思うのですが、それは同時に災害を食らった直後や新たに獲得した空白地といった、物資を熱望している場所でなかなか物資を揃えられぬという事でもあり…  前述の輸送のしにくさも相俟って、必要な場所での兵糧供給体制の確立には、なかなかに頭をひねらせられたものです。

 

 ・冬季の移動は死の行軍

  10〜12月の冬期。この間に移動を図ろうとすれば、到着までに問答無用で三割強の兵士が凍死。それは本作における鉄の掟であり、ある意味最も理不尽なシステムであったかと思います。 
  「雪に閉ざされる」として、輸送も一切不可になる北部諸州はともかくとして、南方の方でも平等に凍死すると言うのは…

  また、移動以上に激しい行為であろう戦争を仕掛けた際は、何故か行軍中の損害は皆無と言うのも、また謎でした。

 

 ・「兵士武装度」の功罪

  高めれば確かに効果は高いものの、時間と手間と金が理不尽なまでにかかるもの。それが本作での「武装度を高める」という行為でした。
  「捜索」で領内の鉄山から鉄を集め(しかも集まる量がかなりランダムなので、必要量確保には何度も実行する必要あり)、しかるのちに鍛冶屋を呼んで武器の製作を依頼する(しかも費用は、概ね兵士の雇用費より高い)…  確かに武装度をMAXまで上げれば、武力の2、30の差を平気で跳ね返せるぐらいの強靭な軍を作る事が出来たのですが、その手間たるや…  

  どちらかと言えば自分が上げるよりも、暇に任せて上げまくった敵への対処に悩まされる。これはそんな要素でありました。

 

 ・経験

  武将の能力値はあくまで天性のもの。戦争や書物を施すといった行為で若干の変動は可能ですが、余程執念深く、年単位の時間を掛けでもしない限り、そう大きく変わるものではありません。 しかしながら本作では「経験」という要素の存在により、他の作品と違い「役立たず」と言える武将が生まれにくかった事は、極めて印象的でした。

  能力値そのものに変動は無いものの、内政や謀略を実行する際には知力の肩代わりをしてくれるデータ、「経験」。
  一回コマンドを実行させると3獲得。あくまでそんな程度のものなのですが、仕事をやらせればやらせるほど高まっていき、熟練した凡人が優秀だがまだ若い人物に一泡吹かせる事も出来るというその仕様は、老練さを表現する要素があるゲームが好きな私にとっては、実にツボなシステムでした。

 

 ・不可思議な武将能力・配置

  歴史SLGにおいて、プレイヤーが武将の能力値等に不満を抱く。それは各人の思い入れや考えがある以上、一種宿命的な事ではあろうと思います。 しかし本作ではそういうレベルをとうに超えた、壮絶なまでの違和感があちこちに見受けられたものです。

  まず能力値の面では、原典で明らかに参謀タイプの人物が武力90・知力45といった豪傑になっていたり、同じく無双の豪傑だった人物が知力80代・武力40代の生粋の文官タイプになっていたり、儒学の大家で口だけ八丁の人物が武力80台の猛者になっていたりと。
  また配置の面でも、後半のシナリオで実際はとうに死亡している筈の武将が平気で太守をしていたり、北方の武将が遥か南方の勢力に仕えていたり、南蛮王とも言うべき人物が、遥かに格下の勢力の家臣になっていたりと…  
  とにかくここまで来ると不満を抱くと言うよりは、何か不可思議な異空間に紛れ込んだ、そんな気さえしたものでした。

  なお、そんな状況ですので、「三国志」を知っている人ほど、「こいつは所詮文官、鎧袖一触だ!」とばかりに突撃を掛けてみたら、相手がとんでもない豪傑であっさり返り討ちに、といった様な「罠」に陥ってしまう事がありますので、戦争や人材登用の際は予断に頼らず、くれぐれも能力値の確認をお忘れなく…

 

<機種による違い>

 本作は発売以来現在に至るまで、FCなどの家庭用ゲーム機や、98・WIN95・XP版(コーエー25周年記念パックvol.2所収)などあちこちに移植されています。 それらのうちPC系については、画面を3D化したりと演出面で手を加えたものもあった様ですが、私の知る限りゲームの本質的には忠実な移植が図られていた様でした。
 …しかし家庭用については、かなりと言って良い改変が加えられていました。

 それは「臨時徴収」「略奪」「築城」「密計」といった一部コマンドの廃止であり、「外交」「捜索」などでのサブコマンドの削減であり、さらには長期戦の廃止(但し一ターン=一日に変更された為、一月が実質的にPC版の三倍の長さに)であり…
機能的に止む得ぬ面があったのかも知れませんが、何故か戦わずして勝つのに必要なものや趣味にはしれたコマンドを、軒並み狙い打ちの様に外してしまっているというのは、本作の魅力を半減させてしまった、何とも残念な「改悪」である様に感じたものです。

 私はFC版から本作に入った為、最初の頃はそんな改変の事も知らずに夢中になって楽しめていたのですが… 
初めてPC版をやり、その真の面白さに触れた時の愕然とした気持ちは、未だに忘れ難いものがあります。

 

<総評>

 本作は欠点を挙げていけば、地味・淡々としている・武将や国のデータが妙・理不尽なルールや縛りがある等々、少なくない項目が挙げられる事でしょう。 また後のシリーズのファンが今更やってみても、台詞の少なさ・アイテムや歴史イベントが無い・武将がコマ化しているなど、不満を感じる方も少なく無いだろうと思います。

 ですが、その全体的なバランス・数多いコマンド・テンポの良さ、そして何よりシンプルながらもプレイ中あちこちで頭の捻りがいのあるシステムは、今でも決して色褪せておらず…  例えば私などにはつい止め時を見失って耽溺してしまうほどの、たまらぬ逸品であると言えます。
 演出などは勝手に脳内でやるから無用、ただ三国志とSLGの世界に浸りたい。そんな方ならば、今でもやってみる価値は十分あるのではないでしょうか。

 なお、全くの余談ですが、私がはじめて読んだゲームリプレイが、この「三国志」を題材としたものでした。
 SLGを多数取り上げたガイド本に載っていた、劉備が主人公のごくオーソドックスなものではあったのですが、有名な人物達もさることながら、王粲・曹休・孫瑜といった地味目の人々もとにかく活き活きと描かれており、描写や台詞も味があり読んでいて実に楽しかったものです。
 

  総合評価 … A+(テンポの良さと自由度が魅力的な、未だ朽ちぬ逸品)

 

 

戻る