<名も無き将兵の言葉>

 

1.「市民たちよ、女房を隠せ。禿の女たらしのお出ましだ!」 (カエサル軍の兵士達 / 「ローマ人の物語」)

 カエサルの凱旋式における、兵士達のシュプレヒコールより。
 神々が司令官に嫉妬せぬよう、将軍の威光に水をかけるようなコールをするのが凱旋式の伝統だと言う事ですが… 何とも素晴らしい台詞です。
 なにより、諧謔の中に兵士達とカエサルの強い信頼関係が感じられる様で、何とも趣き深く感じます。

 

2.「ここを守るが我等の務め! 最後の一兵までも戦い抜くぞ!」 (魔軍衛兵隊 ファランクスナイツ / 「エメラルドドラゴン」)

 魔王城の通路を固めている彼らに、戦闘を仕掛けた時の台詞より。
 当時「魔族」という存在には、何となく「強力だが無秩序」というイメージを持っていたのですが、彼らをはじめとしたガルシア軍の面々の言動を見る事で、随分と印象が変わったものでした。
 という訳で、台詞自体は平凡なのですが、私にとっては(思わず小話を紡いでしまうほど)忘れがたい一言です。

 

3.「陛下の行動が何に誘発されどういう動機からだったかは存じません。ただ私にわかるのは陛下のなさったことが、自分の右手を左手で切り落とすような所業だったということです」
  
(とあるローマ人 / 「ローマ帝国衰亡史」)

 ウァレンティニアヌス三世が権臣アエティウスとその一党を粛清した際の、とある人物の直言より。
 この痛烈な言そのものもですが、事変の翌年には自らも暗殺されて帝系が絶え、その後20年余で9帝が入れ替わり立ち代りした挙句に西ローマ帝国そのものが潰えてしまったという事も、元より衰退期だったという事を加味しても、中々に印象深いものがあります。

 

4.「我ら忍びは---主のために死するも、役目のうち。時代遅れと嗤われようとも、これが我らの”意地”にござる」
  
(焔鉄衆 / 「パラサイトムーン」)  

 アラクナに対し決死の攻撃を仕掛けた際、背後から掛けられた「もうよせ、殺されるだけだ」という声に、振り向きもせず応じて。
 作中では個々の名前さえ出てこず、徹頭徹尾座王の手足としての役割を果たし続けた彼らですが、「どんな状況であろうと、相手がどんなに強力な敵であろうと、我らが我らである限り!」そんな自嘲と確かな誇りが感じられるこの台詞は、最期の言葉と共に印象深いものがありました。

 

5.「そうね。将軍の子がハゲかどうか見定める前に、死ぬわけにはいかないものね」
  
(炎竜兵団 女指揮官 / 「デアラングリッサー」)

 バルガス将軍不在時に敵が襲来した際、何としても守り抜こうと檄を飛ばした代理司令官に応じて。
 勇猛で情誼に厚いものの、何故か40前にして見事に禿げ上がってしまっている将軍。 そんな上官に対する諧謔、そして敬愛の念が滲み出た台詞として、直截に誉め言葉を羅列される場合より遥かに強く深く、印象に残っています。

 

 

 

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