「これが・・・エリキシル剤か・・・」
フェーザは出来上がった薬を見て呟いた。
1人で調合すると、12日掛かる薬は、2人で調合した事で6日で出来た。
「早速、あの子に飲ませなきゃ・・・」
フェーザと共に調合にあたっていたマリーは、出来たての薬を持って駆け出していった。
残されたフェーザは、調合器具を片付けた後で、最後に残った患者の家に向かった。
「薬は・・・成功したのかなあ・・・」
臨時の工房として使っていた空き家で、フェーザは自信なさそうに言った。
手にはワインの入ったグラスを持っている。
「多分・・・成功・・・と思う・・・シアに使ったモノと同じ色だったし・・・」
マリーも少々自信なさげだった。
とりあえず薬が完成した事のお祝いと、エリーの快方を願うという事で、2人は村特産の
ワインを飲んでいた。
「効果は、暫らくしないと判らないのよね・・・」
少しづつ、ワイン飲みながらマリーは言った。
「本当は、エリーちゃんの様子を見届けたいんだけど・・・ドナスタークの小父さんの仕事
の都合で明日には出発しないといけないのよねぇ・・・」
「まあ・・・あの子の事は、俺に任せておいてよ。
もし、駄目だったら・・・よく謝っておくからさ・・・」
そう言って、フェーザはマリーに向かってウインクした。
フェーザはマリーより2つ年上の青年で、こげ茶色の髪に、緑黄石を埋め込んだ様な緑
色の瞳の持ち主だった。
調合に必死で、マリーは彼の顔をじっくり見たのは、今が初めてであった。
整った顔立ちで、見方によっては冷たそうな印象をうける。
だが、話すと人懐っこくて暖かな雰囲気を持っていた。
『お医者さんって言ってたっけ・・・いいお医者さんになりそうだわね・・・』
そうマリーは、思いつつ目の前の青年を見ていた。
「エリキシル剤って・・・綺麗な色だって聞いてたけど・・・本当だなあ・・・」
「そうね・・・」
二人が完成させた奇跡の薬は、青紫の神秘的な色を持つ薬だった。
「母親の瞳を思い出すなあ・・・」
「お母さん?フェーザさんの?」
「ああ・・・俺が6つの時亡くなったから、顔はあまり覚えてない。でも、瞳の色だけは
はっきりと覚えているんだ・・・」
遠い目をしてフェーザは言った。
「あっ・・・悪い・・・湿気た話して・・・」
フェーザはマリーに対し笑顔で言った。
「ううん。フェーザさんは・・・お母さん似なの?」
「いや・・・外見は父親の方に似てる。性格は母親似らしいけど・・・」
フェーザに似てるなら、人懐っこい女性だったのだろう。
「マリーには・・・ザールブルグで会えそうだな・・・」
「フェーザさんも最終的には、ザールブルグに?」
「ああ。実家はあの街にあるし・・・待たせてる娘(こ)も居るし・・・」
終わりに付け加えた言葉でフェーザは、途端に嬉しそうな顔をした。
「恋人・・・居るんだ・・・」
「残念だった?」
フェーザは含み笑いをした。
マリーは最高の笑顔で言った。
「全然!あたしも待くれているというか・・・そう・・・近くに居たいヤツが居るもん!」
「そう・・・そいつは果報者だな・・・マリーと居たら一生退屈しなさそうだもんな・・・」
「それって・・・褒めてるの?」
「さあね・・・」
次の日、マリーとドナスターク氏は、村の人々とフェーザに見送られ、ロブソン村を後に
した。
マリーとフェーザは、2人が予想した通り、ザールブルグで再会する。
しかし2人には、自分達を繋ぐ運命の糸が、まだ見えていなかった。
終わり
後書き
何と!初めて完成させた話です。
続きが在りそうな終わり方ですが、一応これで終了です。
この2人が再会する話は別のタイトルで書きます。
「エルテスタ・ゾーン」というタイトルです。
「エアステ・リーベ」が完成後に書く予定。
それまで、隠しの方にも載せません。
どうか、気長に待ってて下さいね。