ざーるぶるぐ学園

 

その2

 

    「どうもありがとうございました〜」
    「・・・この間の授業の所までは、出来たのかしら?
     マルローネ?」
    「はい・・・何時も、お迷惑掛けます・・・。
     イングリド先生・・・」


    ここは、被服室。
    あたしって・・・どうも、裁縫は苦手なのよね・・・。
    だから、何時も、被服の授業中に仕上げる事が出来なくて、居残りしてやる羽目になる
    のよね・・・。
    遅れたまま、放っている子も居るけど、あたしはそういう訳にはいかない。
    だって、あたしが合格を目指している短大の学部って、食物科だから、家庭科の成績が
    悪いと、受験に響くのよ〜。

    「じゃあ・・・失礼しま〜す」
    そう言って、あたしは、被服室を後にした。


    しばらく、廊下を歩いていると、壁にもたれている男子生徒の姿が見えた。
    ・・・誰かを待っているのかな?


    その男子生徒の前を通り過ぎようとしたら、
    「3年生の・・・マルローネ先輩・・・ですよね?」
    と、声を掛けられた。
    あれ?・・・何処かで聞いた事がある声だなぁ・・・。


    「そうだけど・・・アンタは・・・1年生・・・よね?」
    あたしは、その男子生徒の校章を見て言った。
    ウチの学校は、学年によって校章の色が違う。


    「はい・・・」
    「・・・1年生が、あたしに何の用?」
    あたしは、首を傾げて言った。
    1年生に知り合いは居ないんだけど・・・。


    「聞いて欲しいモノが、在るのですが・・・」
    彼は、そう言って、携帯電話を取り出し、幾つかのボタンを押した。
    その携帯電話から聞こえてきたのは・・・


    『では・・・その電話の持ち主は、近くに居ますか?』
    『居るんですけど・・・電話に出れそうにないですね・・・』
    『どうしてですか?』
    『眠っているんです』


    あの晩・・・あたしが、うっかり出てしまった携帯電話で、電話の相手と交わした会話
    だった。
    その時の相手って・・・この子だったんだ・・・。


   「これは・・・貴女・・・ですよね?
    女性の声は・・・」
   「うん・・・」
   あたしが、そう言った途端、あたしは、肩を掴まれ、壁に身体を押し付けられた。
   気が付くと、あたしの顔の両側の壁に、彼の両手が付いていた。
   目の前には、彼の顔が在った。
   青紫の瞳が、あたしを睨んでいた。
   その視線が、凄く・・・恐かった・・・


   彼が、あの時の電話の相手の相手だとしたら・・・何を怒っているのだろう・・・。
   あたしには、サッパリ判らなかった。


   (兄貴ったら・・・問題無いなんて・・・問題在りじゃないのよ!!)
   あたしは、心の中で叫んだけれど・・・ココに居ない人を責めても仕方が無い。
   とにかく・・・この彼に、あの夜の事を、きちんと説明しないと・・・。


   「・・・男性を引っ掛けて、あの事を楽しむのは、あなたの勝手です。
    しかし・・・恋人の居る男性を、引っ掛けるのはどうかと思いますが・・・」


   (・・・違う・・・)
   あたしは、そう言おうとしたのだけど・・・恐怖のあまり声が出なかった。


   このまま・・・襲われる・・・そう思って、あたしは、ギュッと目を瞑った。

 

つづく


中書き

      え〜と・・・一応・・・『壁際追い詰め』?
      迫力不足でした・・・。
      次で、誤解は解ける筈・・・です。

 

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