ざーるぶるぐ学園

 

その3

 

    どの位・・・時間が経ったのだろう・・・。
    多分・・・ホンの少しの時間だと思うけど・・・あたしにとっては、とても長く感じた。


    すぐに伸ばされてくると思った手は、いつまで経ってもあたしに触れてこなかった。


    「・・・どうして・・・他人の携帯電話に、出たのですか?」
    物静かな声が、聞こえた。
    ゆっくりと目を開けると、穏やかな顔をしたあの男の子が居た。
    あたしの顔のすぐ側の壁に付かれていた、彼の両手も離れていた。


    「・・・だから・・・あたしの携帯の着メロと同じだったのよ・・・」
    「本当・・・ですか?」
    優しい口調で聞き返した彼の問いに対して、あたしは、ゆっくりと頷いた。


    「では・・・あの時・・・何故・・・兄は・・・貴女のすぐ近くに居たのですか?」
    「えっ?・・・兄?・・・アンタ・・・フェーザさんの弟なの?」
    あたしは、彼の顔をじ〜っと見た。
    似てない・・・ううん・・・髪の色と瞳の色が違うから、そう感じるのかな・・・。
    フェーザさんは、焦げ茶色の髪に、緑色の瞳の男性だった。
    目の前に立っている男の子は、青銀色の髪に、青紫色の瞳の持ち主。


    「・・・似てないと言いたいのでしょうが・・・血の繋がった兄弟ですよ・・・」
    「あはは・・・そう・・・ね・・・声は・・・似てる・・・かな?・・・」
    「・・・」
    しどろもどろに、言葉を繋ぐあたしを、彼は、少々睨み気味に見ていた。
    ・・・せっかく、穏やかな雰囲気になっていたのに・・・。


    「え〜と・・・ね。
     あたしの兄貴と、アンタの兄さん〜フェーザさんが、顔見知りらしいのよ。
     高校も一緒だって言ってたよ」
    「では・・・貴女のお兄さんも、この学校の出身なのですか?」
    「うん・・・。
     2人が、どの程度親しいのかは・・・判らないんだけど・・・。
     あの日は、飲み会で一緒だったらしいわよ。
     で、酔いつぶれちゃったフェーザさんを、兄貴が、あたし達の家に連れて来て・・・」


    あたしは、あの日の事を、全部話した。
    ・・・彼も、最初から、穏やかに聞いてくれたら良いのに・・・。
    まあ・・・誤解しても仕方が無い発言をしたあたしも・・・悪いんだけどさ・・・。


    「だから、あたしとフェーザさんとの間には、何も無かったの。
     信じてくれる?」
    あたしは、目の前の彼を見た。
    彼は、あたしの全身を上から下までじ〜っと見ていた。
    その、視線がちょっと恥ずかしくて、あたしは、下を向いた。


    「・・・少なくとも・・・貴女が、男性の扱いに慣れていない事は、判りました・・・。
     外見に似合わず・・・」
    「・・・外見・・・ね・・・」
    あたしは、溜め息混じりに呟いた。


    あたしは、自分の外見が、少々遊び人風に見えるのは、良く判っていた。
    でも、実際のあたしは、男の子と付き合った事も無い。
    ・・・友達以上に・・・為れなかった・・・。
    あたしの、男っぽい性格に原因があるのかもしれない・・・それと・・・。


    「何か・・・証明できるものは、無いですか?
     貴女のお兄さんと、僕の兄が、同級生だという証明が・・・」
    彼の穏やかな声で、我に返ったあたしは、暫らく考え込んだ。
    ・・・2人が一緒に映っている写真とか在れば、証明になるんだけど・・・。
    写真?・・・アルバム・・・そうだ!


    「・・・アルバム・・・卒業アルバムよ・・・。
     あたしの兄貴とアンタのお兄さんが、同じ年の卒業アルバムに載っていたら、同級生っ
     て証明になるじゃない」
    「・・・そうですね。
     では・・・行きましょうか?」
    そう言って、彼は、あたしの手を掴んで、歩き出した。


    「どこ・・・行くのよ?」
    彼に、引き摺られながら、あたしは、尋ねた。
    「職員室です。
     2年前の卒業アルバムを見せてもらうのです・・・」
    こうして、あたし達は、職員室に向かった。
    

 

 

つづく


中書き

        誤解は、解けたようです。
        でも、まだ、話は続きます。

 

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