願いが叶う時

その1

 

     『神様・・・私が、彼を欲しいと思うのは・・・贅沢でしょうか?』

 

   「どうしたの?・・・何処かに・・・行くの?」
   私は、荷造りをセッセとしている男性に声を掛けた。


   私の名前は、アンジェリカ。
   『天使』と言う意味らしいけど・・・名前負け・・・。
   顔は、十人並みだし、今でこそ消えたけど、子供の頃、顔にソバカスが一杯在った。
   眼の色は、灰色が混じった青色で、綺麗じゃない。
   唯一自慢できるのは、真っ直ぐの栗色の髪の毛ぐらいしか無い。
   髪の毛も、天使様って、ふわふわの髪の毛ってイメージだから、私の髪の毛とは違う。


   だからかどうか解らないけど、皆、私の事を『アニー』って呼ぶ。
   別に・・・気にしていないけど・・・。


   『天使』と言うなら、目の前の男性の方が、『天使』って名乗れる容姿を持っている。


   彼の名前は、ビンセント。
   愛称『ビリー』。
   柔らかそうな金髪に、水色の瞳を持つ、なかなかの美青年。
   もし、髪を長くしたら、まさしく天使様だと思う。
   残念ながら、彼は髪を短めにしているけど・・・。


   「ああ・・・。
    ザールブルグに、行こうと思うんだ・・・」
   「首都に?」
   「・・・マリーの様子を、見に行こうと思ってさ・・・」


   マリーと言うのは、彼の妹で、本名は、マルローネ。
   10年前に、この村を出て行って、首都ザールブルグに住んでいる。
   村を出た理由は、初恋が叶わないと知ったから。
   数ヵ月前に、里帰りしてきたけど、すぐに帰ってしまった。


   「アイツが、あの街でどんな暮らしをしてるかとか気になってさ・・・。
    それに・・・アイツを守ってくれる奴が居るかどうかも気になるし・・・」
   複雑な表情で、彼は呟く。


   『もう・・・吹っ切れたから・・・』
   マリーは、そう言ったけど・・・淋しそうな笑顔を浮かべていた。
   本当の彼女は、太陽の様な笑顔を持つ明るい少女だったのに・・・
   その太陽の笑顔を消したのは、私達・・・。


   「私達は・・・正しかったわよね・・・」
   「もちろんだよ・・・。
    兄と妹が結ばれるなんて・・・闇に落ちる事だよ。
    俺は・・・2人には、堂々と光の中を歩いて欲しい・・・。
    特に・・・マリーには・・・」


   マリーは、従兄のルークと恋に落ちた。
   同じ両親から産まれた兄とは知らずに。
   2人の恋が始まろうとしていた時、私とビリーは、真実を2人に伝えた。
   そして、マリーは、村を出て行った。


   「・・・居ると良いわね・・・マリーの事を守ってくれる男性・・・」
   「居るだろ・・・この村より、沢山の人が居るんだから・・・。
    マリーが、気が付いていないだけって事もあるだろうし」


   私は、ぼんやりとビリーを見ていた。
   ねえ・・・貴方も・・・気が付いていないの?
   私が・・・ずっと、貴方を想っている事に・・・。
   

 

 つづく


中書き

      某サイトの男性版マリーを見て、急に思い付いた話です。
      この2人の話って書くつもり無かったんですけどね。


      果たして、天使の名を持つ娘の想いは、天使の容姿を持つ男に届くのか?
      多分、「その2」で終わると思います。

 

    

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