さっさっさっさ 原稿の上のゴミを払う。 そろえて……まとめて…… 「終わった……」 ドサッ 体が前に倒れる。手にした原稿が、和樹の手から離れて舞った。 「和樹さん? 和樹さん!」
『修羅場の果ての修羅場』 千堂K
「ん……ここは?」 白い病室。 清潔感あふれる白いシーツに包まれて、千堂和樹は目を覚ました。 「和樹さんっ! 気が、付いたんですね……」 長谷部彩は、握り締めていた和樹の手を、いとおしむように自分の顔に押し当てる。その甲を、 彩の涙が濡らしていく。 和樹ははっきりとしない頭を振って、身を起こした。 「俺は……どうしたんだ? 今月の原稿を仕上げたまでは覚えてるけど」 「その後、過労で倒れたんです。私……すぐに救急車を呼んで……」 「そうだったのか……ありがとう、彩。ほら、俺はもう元気だから、泣くなよ」 和樹は繊細な手に握られた自分の手を動かして、彩の涙を拭う。彩はピクリと顔を持ち上げると、 和樹を見、その胸に飛び込んだ。 彩の突然の行動に、和樹は戸惑う。 「あ、彩……?」 「怖かった……」 震える声で、彩はあえぐように言う。 「今まで元気だったのに……いつでも、すぐ側にいると思っていたのに……急に、倒れて……」 「……」 「……もう……嫌です」 彩の口から嗚咽が漏れ、抱きしめる手に力がこもる。 「お父さんみたいに……大切な人が、私の前からいなくなるのは……もう嫌です……」 「……彩」 彩は、和樹と自分の父とを重ねて見てしまっていた。 彩の父はある日突然倒れ、長期の入院の後に彩に看取られ、病院のベッドで息を引き取っている。 彼女が心から慕い、誰よりも大切な存在だった父親。 今でも彩の行動の大本になっているほど、彼女の心に占める父親の思い出は大きい。 そして、その父親と同じ比率で彩の心を和樹が占めている。 和樹は、すがりつく彩の小さな肩を力いっぱいに抱きしめた。 心配をかけた事を詫びる様に……。 自分がここにいると言う事を伝える様に……。 「大丈夫だ。俺は彩の前からいなくなるつもりはない。彩が嫌だって言うまではな」 「そんなこと言いませんっ。ずっと……ずっと……」 「わかってる。だから……な」 「……はい」 「ところで同士和樹よ、原稿の方はもちろん大丈夫だろうな?」 「……確か、完成したところまでは覚えてる」 彩の髪を撫でながら和樹は答えた。 「そうか、ならば結構。思う存分、まいしすたー彩といちゃつくが良い」 「ああ……って何時の間に!?」 「何時の間にって、さっき声かけて入ったやん」 「……ぽちきのクセに…彩Pまで……」 大志と一緒に入ってきたのだろう、由宇と詠美が口々に言う。 「体調を崩すなんて、自己管理がなってないわよ」 真紀子までもが厳しい口調で病室に現れた。しかし、すぐに表情を緩める。 「早く直しなさいね。あなたはもう、ウチの顔なんだから。次の原稿落としたら、ファンが泣くわよ?」 神出鬼没な由宇や大志、そしてこの二人に連れ去られてきただろう詠美はともかく、仕事で作家の 見舞いどころではないはずの編集長の来訪に、和樹と彩は目を丸くして頷くだけだった。 その様子に、由宇は悪戯が成功した子供のような笑みを浮かべた。 「まぁ、元気そうで何よりやな〜。なぁ、いつくらいに退院できそうなんや?」 「……今日一日ゆっくり休めば明日には、と……」 「そうかそうか〜。なら、見舞いに持ってきたコイツが無駄にならんで済みそうや」 ドンっ 由宇が一升ビンを持ち出す。 「地酒や。美味いで(笑)」 「……由宇さん」 「ウチの酒が飲めへんいうんか? 和樹は、しゃあないけどな、彩ちーは飲めるやろ?」 「彩、別に飲まなくても……」 「本来ならあんたに飲ます酒やけど、あんたがダメっちゅうから彩ちーに飲ますんや 文句あるかぁ!!」 「……飲みます」 「彩……」 この時、和樹は由宇の言葉を疑わなかった。 結局、本調子ではないのだ。 ちなみに、普段の和樹なら 「俺の酒なら、飲ませる相手も選べれるだろうがっ!!」 と叫んでいた所だろう。その後、由宇に理不尽な理由をつけられてマットに沈む事になるのだろうが。 彩の目の前に注がれた酒。 由宇と和樹が見守る中、彩はそれを口に運ぶ。 その時、由宇の口がニヤリとしたのを、誰も気付かなかった。 ドクン 「……飲み…ました……」 「おっしゃ、後は二人でじっくり飲み。ほいじゃな〜」 「お、おい」 バタン 音を立ててドアが閉まる。 何時の間にか、部屋は和樹と彩の二人っきり。 「いやにあっさりしてるな。なぁ、彩?」 しばらくドアを眺めてた和樹がふいに言葉を洩らした。 そのまま隣に居る彩に視線を向け、言葉を待つ。 「彩?」 「……は…ぁ……」 彩の目が虚ろになっていた。 白い肌に赤見が増し、まるで……。 「……彩、どうしたんだ?」 「……はぁ……はぁ……和樹さん」 虚ろな瞳が和樹を捉える。 そして、瓶を傾け液体を注ぐと口に含む。 「……彩、いったい? !!!ん……んぐ……」 液体を口に含んだまま、彩は和樹と深い口付けをかわす。 一分ほど口付けは続いた。 ごくっごくっ 和樹の喉がなる。 液体を飲み干したようだ。 「ぷはぁ……彩、何を?」 どくん 「これ……なんだ?」 どくん 「……最近…忙しかったです」 彩が和樹の手を取る。そして自分の胸に当てる。 「もう……がまん……できないんです」 和樹の被っているシーツを剥ぎ、ズボンを引き下ろす。 力なく沈んでいる“それ”を彩は口に含んだ。 口に含んだ“それ”に舌を這わせ、裏筋など刺激する。 「彩……」 疲労により倒れた為か、和樹は思うように動けない。 それを知ってか知らずか、彩の手は“それ”をしごきあげる。 「……はぁ」 和樹がうめく。 「もう……だめだ……彩」 それを聞き動きを止める彩。 和樹の上着をはだけ、それなりに引き締まった胸を露出させる。 「はぁはぁ……彩?」 和樹の胸に舌を這わせ始める彩。 「うっ」 舌が和樹の乳首を舐る。そしてほっそりとした指が肌をなぞる。 空いた手で、和樹の“それ”をいかないように萎えないように微妙に調整をする。 「彩……彩……」 「彩……もう……」 和樹の声を聞き、再び動きを止める彩。 顔を和樹に重ね、口を犯す。 くちゅ……くちゅ…… その間に、もどかしげに服の前を開いた。 「……ん、はぁ」 口を離し、和樹の顔に胸を押しつける。 「ん、んんぐ……」 「……和樹さん……」 和樹の“それ”を掴み、下着をずらし自分の中へ導く。 「は……あうんっ」 「んく……駄目だっ……もうっ」 びゅっびゅっびゅっ 「はぁぁぁぁぁぁぁ」 限界まで硬直していた和樹の“それ”から白濁液が彩の中へほとばしる。 それを受けて、彩も極みに達する。 「……はぁはぁ」 上着を脱ぎ、スカートのホックを外す。 ぐったりとした和樹を他所に、彩は腰の動きを始めた。 中の律動はすぐさま和樹の“それ”に活力を与える。 もっとも、出した後というのにあまりサイズが変わってはいなかった。 「……彩……いったい……」 けだるい体をなんとか操り、ふと酒の方へ顔を向ける和樹。 「まさか、由宇のやつ……」 「……和樹さん……お願いします……」 彩の両手が和樹の顔を包み、胸に押しつける。 「彩……」 和樹は彩のそれを口に含む。 だるくてしょうがない体はほとんど動かない。 いや、全ての神経が頭と“それ”のみに働いている、そんな状態。 敏感な二人はすぐさま頂上に上り詰める。 びゅくっびゅくっ 和樹の“それ”から彩の中へ再び放たれる。 彩は和樹に持たれかかり、荒い息で囁く。 「……はぁはぁ……まだ…足らないんです……和樹さん」 「はぁはぁ……俺は、もう…………でも、収まってない」 疲弊した体で、和樹の意思に反していまだ硬直を保ちつづける“それ”。 なんとか手を動かし、彩の顔を自分に向け、口付けをする。 「……ふぁ……はふん……」 糸が引き、またくっつく。 動くのを忘れ、口を貪りつづける。 どれほどの時間が流れただろうか。 和樹も彩も疲れを知らず動きつづけた。 身に纏う物は既に無く、汗が二人の体を包んでいた。 そして、和樹と彩最後の放出により、二人はまどろみに包まれた。 「……本来なら、1日で退院できたはずなんだがね」 飽きれた口調で男の声がした。 「ん? 昨日はこんなもの無かったな」 男が一升ビンを掴んだ。 「……先生。それ、友達が持ってきた媚薬入りの酒です」 和樹が布団から頭だけ出して言う。 「君というやつは、どんな友達を持っているんだね?」 「は、はははは」 「すー」 大汗を掻く和樹の隣、彩は静かに寝息を立てていた。 「……和樹さん…大好きです……」
あとがき お初にお目にかかります。『千堂K』と申すSS書きです。 ちょっとした縁で、こちらに投稿させていただく事になりました。 内容について…… もっとエロくした方が良いですよね。 反省してます。 次回、頑張ります(笑) それでわ