ドアが開き、入ってきたのは朝乃 霞(あさの かすみ)だ。
俺が電話したのは、この人だ。
最後の手段、とはこの事だ。まさか本人が、直接ここに来る、と言うとは思わなかったが。
「遅くなってごめん」
霞が言うと、俺は
「いや、結構早かったぞ」
と言った。電話してから10分ぐらいだったからな。
「やけに声かれてるね、水飲んだら?」
と霞に言われる。
功祐は驚きと困惑の表情で、俺と霞を見比べている。
「どうした?」と、俺が聞く前に功祐は霞の方に走っていった。
「もしかして、あの霞さんですか?」
功祐って、いつでも冷静なんだな・・・
そんな事を思いつつも、俺は水を飲みに行った、ついでにうがいもだ
「あの」と言うのも、霞は今現在メダロッターランキング一位なのだ、
ライバルのシデンとトップ争いをしている、二人の実力は五分五分だ。
どちらかが勝ち、一位になれば、負けたほうが勝ち、また一位になる、この繰り返しだ。
メダロット協会と、RR社は、特例として、「一位が二人いてもいいのでは」、というような話をしている、まだ決まってないけどな。
俺は、あまりそういうのには興味がない、メダマスターの称号を持っているが
「霞、まだ話し終わらないのか?」
俺がそう呼びかける。
霞は、功祐の質問攻めにあっていた、霞は嫌がらずに一つ一つ丁寧に答えていた。
話が終わったらしい、功祐は何気に満足そうだ。
「なあ霞、電話の話だけどさ」
俺がそう言うと、
「ああ、そうだったね」
功祐が話に割り込んでくる、
「ちょっと、店員さん!なんで霞さんと知り合いなの?」
「知り合いじゃない、友人て言わなかったっけ。」
俺がそう言うと、功祐は唖然とした。
「そう言う事か・・・」
功祐は気付いたみたいだな。勘が鋭いやつだ・・・
「一応聞くけど、店員さんの名前は?」
「俺の名前は、天領イッキだ。」
「やっぱりな・・・それにしても、なんでメダマスターのイッキさんがここで働いてるの・・・?」
功祐が言うと、俺は、はぁとため息をついた。
「今はそんな話してるときじゃないだろ、また今度話すから。それより、今はグランビートルじゃないのか?」
霞が口を開く、
「あのメダロットの事だけど、あれは君にあげるよ」
功祐の顔は喜びに満ち溢れていく。
「それに、あれはもともと、もらったものだし、いくら貴重品とは言え800万円で売ろうなんて思わないよ、俺はね。」
霞はさらっと言った。
「は・・」
「そんなにするのか!?」
俺の言葉をさえぎったのは、功祐だった。
俺は、とんだ勘違いをしていたようだ。
100万ぐらいだと思っていたからな・・・その8倍もあったとは・・・
「ついでにティンペットもあげるよ。」
と言って、霞は新しいティンペットを功祐に差し出す。
「メダルは?」
と俺が聞くと、
「持ってるよ」
と言って、カブトメダルを取り出す。
(カブト・・・・か、何事もなければいいが)
そして、功祐は最新式のメダロッチを腕にはめる、結構似合ってるなぁと俺は思った。
すると、功祐はいきなり、店の外へ飛び出そうとした。
「あっ、ちょっと、功祐!メダロッター登録済ませてないぞ」
俺が呼びかけると、功祐は急いで戻ってきた。
「・・・・・・メダロッター登録完了」
俺がそういった瞬間、功祐は勢いよく店を飛び出していった。
「俺にもあったなあ、あんな時」
ちなみにイッキこと俺は18歳である。霞は19歳、俺より一つ年上だ。
それでも呼び捨てにしたりするのは、霞がそうしろと言ったためだ。
「イッキ、何だか外が騒がしくないか?」
霞はそう言った。
俺と霞は、目で合図すると、外に飛び出していった。
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