俺が叫ぶと、ゼロは素早い動きで敵との間合いを詰めて行く。
沁のメダがどうしてるか、何て見ている余裕は無い。
本来、射撃なら間合いを取るのが普通だが・・・
「木端微塵にしてやるよ!ミサイル!」
ロボロボがそう言うと、相手のメダロットからミサイルが発射される。
ものすごい速さでミサイルが迫ってくる、とてもかわせる速度じゃない。
それに、数だって半端ではない。
「俺に任せておけ」
ゼロはそう言うと、空高く跳躍する。一瞬俺は、ゼロの左腕が光ったような気がした。
ミサイルが、ゼロの下からものすごい速さで、迫ってくる。ゼロはねらいを定め、ピポットシュートを連射する。
パワーはすさまじく、ミサイルは一瞬ですべて破壊されてしまった。
「くそっ、ブレイク!」
ゼロが着地すると同時に、ロボロボがそう言う。指令を受け、相手のメダの左腕から、ブレイクが発射される。
しかし、ゼロはまた、空高く跳んでかわした。
「なっ・・・すごい・・・」
俺はそんな事をつぶやきながら、ゼロを見ていた。
ゼロは、空中にいるまま、またピポットシュートを構える、今度は相手のメダロットを狙っている。
「木端微塵になるのはお前の方だったな」
ゼロはそう言うと、ガトリングを連射する。
1発1発が確実にあたり、相手の装甲に穴をあける。
しかも、空中でこの威力、命中精度、すでに常識を超えている。
それに、俺の指令なしでここまでやるなんて・・思っていなかった。
相手のメダは、すぐに機能停止した。パーツが粉々になっている。
ゼロは着地して、俺に歩み寄ってくる、
「終わったぞ、功祐」
ゼロにそう言われ、俺は沁のメダを見る。そのそばには、八つ裂きにされた相手のメダロットがある。
沁が、どういう戦い方をしたのかはわからないが、そのすごさは、相手のメダロットを見れば分かる。
ティンペット装甲がほとんど剥き出しになっていて、パーツは、細切れ状態になっている。両腕のソードの切れ味は抜群のようだ。
相手のロボロボはあっけに取られながら、沁のメダとゼロを見比べている。
「雑魚が、防衛メダを全滅させたぐらいで図にのるなよ。そんな力じゃ俺達に勝てないぜ」
沁がそう言う。なんて強気な発言なんだ・・俺の場合、ゼロが一人でやってたぞ・・・
「くそっ」
ロボロボがそう言うと同時に、メダロット社の窓を破り、人影が出てきた。
太陽の光がまぶしくて、顔は分からない。
その人影は、パラグライダーのような物を開きながら急降下してくる。
「つかまれ」
人影がそう言うと、ロボロボの二人は、パラグライダーの1部につかまり、そのまま上昇し、空の彼方に消えていった。
俺がふいに、パラグライダーの男が出てきた窓を見上げた時だった
「はぁ・・・はぁ・・・遅かったか・・・はぁ・・」
と、息を切らしながら、メダロット社から社員らしき人が出てきた。
俺達3人が学校に戻ったのは、六時間目が終わった時だった。
先生にこっ酷く叱られたのは当然のごとく、居残り課題までもさせられてしまった。
まあ、俺と真紀からすればそんな居残り課題など大した障害にはならない。
沁も頭がいいらしく、居残りの課題をさっさと終わらせて、帰る用意をしていた。
真紀とは途中で分かれ、俺と沁は、二人で帰っていた。
「なあ、俺に用事って何だったんだ?」
俺は沁にそう聞く。
「いや、今はいい・・・それより、明日、俺とメダロット研究所に行かないか?」
沁がそう答える。明日はちょうど休日だ。
「別に良いけど・・・真紀は?誘ってもいいか?」
俺がそう聞くと、沁は、ああ、と短く答えた。
俺は、自分のベッドに仰向けになって倒れこむと、「はぁ」と大きなため息をついた。
「なあ、ゼロ」
「ん?」
俺は、ベッドのそばに座っているゼロに語り掛けた。
ゼロは短く返事をする。
「お前、何でいきなりあんな動きが出きるようになったんだ?」
俺の問いかけに対し、ゼロは、
「何のことだ?」
と答える。再度俺は聞く、
「今日のロボトルだよ。昨日も、今日の朝もあんなに動きが遅かったのにさ・・・反応も鈍かったし。なんで、ロボロボとの・・・」
「ちょっと待て」
ゼロが俺の言葉をさえぎる。俺が「ん?」と返事をすると、ゼロは続きを話す。
「俺は一回しかロボトルしたことないぞ?今日の午後が初めてだよ」
「お前、何言ってるんだよ。昨日だってロボトルしただろ?」
俺はゼロに同意を求めるような感じで答えた。
「俺はそんな覚えはない」
ゼロの返答に対して、俺はもう聞く事をやめた。
そして、ゼロにこう聞く
「まあ、いいか。お前、メダロッチに入るか?それともそのままがいい?」
「このままでいい」
俺は、「そうか」と返事をし、窓の外を見た。
夜空は、雲で覆われていた。
今日の昼は快晴だったのにな・・・満月も見えない・・
俺は、そんな事を考えつつ、寝ようと思った。その直後に
「なあ、功祐」
ゼロが話しかけてくる
「なんだ?」と、空を見上げながら、俺はゼロに聞き返す。
「何で俺の名前は『ゼロ』なんだ?」
ゼロの質問を聞き、俺は起きあがり、ゼロに、こう答える。
「『ゼロ』って言うのはさ、『始まり』って言う事なんだよ」
「始まり?」
ゼロが聞き返す。
「そう、俺とゼロ、二人の始まりさ。何も無い状態からのスタート、『ゼロ』からのスタート、って言う事さ。俺の最初のメダロット、って言う事もあるしな」
「なるほどな・・・」
俺の答えに対し、ゼロがどう感じたかは知らないが、それはそれでいいだろう。
「おやすみ」
ゼロにそう言われ、俺は少し間を空けてこう言った。
「ああ、おやすみ」
しばらくして、俺は考え事をしていた。
(沁よりも、メダロッターの腕を磨いて・・もっと強くならなきゃ・・もっと・・・いつまでも、ゼロの力には頼っていられない。あの力が発動しないように・・)
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