#001「ルシア、17歳」
「ルシア、ルシア聞こえる?、起動試験を始めますよ。」
専属オペレーターの問いかけにルシアと呼ばれた少女が言う。
「ボクなら大丈夫、始めて。」
ルシアの返答を確かめるなり、オペレーターの女性は言う。
「では、起動と同時に出力リミッターを解除しますので、最初から
全速力で」
「よーし、ルシア=ルーンメイデン行きます!」
ルシアはテストACのシステムを起動する。
「オーバードブースト、ファイア!」
コアの後部に火が灯り、一気に加速する。
オーバードブースト、それは従来のACでは為し得なかった脅威のブ
ーストシステムである。
慣れないうちは、作戦領域を離脱してしまうレイヴンも少なくない。
今回の試験はその性能を計るためのものだ。
「ありゃ、時間切れ?」
「お疲れ様です、いいデータが採れました、今後の参考にさせていただき
ます。」
「どういたしまして。」
「報酬の10000CORMです、これからも我が社をよろしく。」
報酬を手にしたルシアは歓喜の表情だ。
「さあって、次の依頼を探すかな。」
依頼を探すべくACのコンピューターを立ち上げる。
「リクエスト・・・ニューメール」
ルシアがコンピューターに言う。
このコマンドは新着メールを確認するためのものだ。
「おっ、来てる来てる〜。」
メールには次のようなことが書かれている。
「依頼文にあった特徴と合致する男性を確認しました。
恐らくはフェイトでしょう。
詳しくは本日18時にエタル基地で。」
ルシアはかつて行動を共にしていたフェイトを探していた。
それが今日になって解ったらしいとのことだ。
「罠かもしれないけど、行くしかないんだ!」
ーエタル基地ー
壁によって囲まれた施設群、その中にそびえ立つ一つの塔。
ここも戦場の一つではあるが今はその気配はない。
先ほどのルシアの所在を考えるととても歩いてこれる場所ではない。
そして罠であった時の用心も兼ねて、ルシアはヘルゴートに乗っていた。
塔の側に1機のACが止まっている。
装備された武器は地を向いている。
彼の機体の搭乗者に闘う気はないらしい。
「メール、くれた人?」
ルシアは確認のため、彼の機体の搭乗者に問う。
「ルシア=ルーンメイデンさんですね?」
彼の機体の搭乗者は、何処か紳士的な20代の男である。
「自分はゼフィリス、フェイトに繋がる者。」
不思議な意味を秘めた言葉を放つ彼は、まるで呪術士のようだ。
「わからないから、もっとわかりやすく言ってよ!」
その曖昧な発言にルシアは立腹の様子だ。
「これは失礼、では要約していいましょう。自分はフェイト・・・と。」
「!!」
ルシアは声にならない声を発した。
「フェイト?そんな別人じゃないか!」
「正確にはフェイトであった記憶をもつ者でして。」
またしても訳のわからないことを言う。
「それって、どういう?」
「何等かの理由で記憶を失いましてね。ゼフィリスと言う名は記憶を失
った自分を今に至るまでにしてくれた少女がつけてくれた名です。しか
し、最近になって記憶が戻りかけているのです。」
{敵、接近・・・機数3。}
「こんな時に!フェイト、手伝って!」
「ええ、そのつもりです、闘いが本当の自分を取り戻すきっかけになる
・・・そんな気がします。」
(顔はフェイトの顔なんだけどねぇ・・・)
ルシアはそんなよそごとを考えながらACを動かした。
「よ〜っし、ルシア=ルーンメイデン、いっきま〜す!」
オーバードブーストで一気に目標との距離を詰める。
「食らえ、ムーンライト!」
左腕から一条の蒼い光が放たれる。
並のMTなら一撃だ。
{ターゲット消失、戦闘モード解除、通常モードに移行}
「やった〜!」
「ん、んん。」
フェイトが妙な声をあげた。
「頭がいてぇ・・・俺は何を?」
ルシアは歓喜に満ちた顔でフェイトに飛びついた。
「フェイト、元に戻ったんだね!?」
「あぁ?元に戻る?何のことだ、ルシア」
「いいの、いいの、元に戻ったならそれでいいの!」
こうして、波乱に満ちた二人の再会劇は幕を閉じた。
#002へ続く。
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