The tale of beginning

リベールの丘に

リベールの丘に心地よい風が大地を包み、雲の切れ目からは柔らかな光が降り注ぐ。
その大空を埋め尽くさんちばかりに無数の天使達が羽ばたいている。
半壊した塔を中心として…。

遥か昔、下界に落とされた人々は再び楽園に帰る事を望むんで罪を犯した。
そう、天に届くような高い塔を造った。
しかしその塔が楽園に届く事はなかった。
神々がそれを許さなかったのだ。
神々はその塔を破壊し、その制裁としてに無数の言霊人々にを与えた。
そのことにより、これまでの生活を奪われた人々は同じ言霊を持つものどうしが身を寄せ合って生活し、そして世界へ散って行った。
それから人々は、また数え切れない程の罪を犯し、償いを繰り返してきた。
それからどれほどの時が過ぎたのだろう。
人々は神々の声を聞いた。
最後の聖戦は近い、共に戦え…と。
もしこの声を聞いたのが、ごく一部の特定の人物であったら、誰もがそれを疑ったに違いない。
しかしその声を聞いたのは一人や二人ではなかった。
だれもが、大多数の人々が、その声を聞いてしまった。
罪深き塔の事実を誰もがわすれかけた時、人々は過去に失われた共通の言霊を再び神々から与えられていた。
誰もが神々に従い、戦う事が正しい事と信じて疑わなかった。。
いつのまにか人々はこの聖戦が終われば、楽園に戻れるのではないか?
この世の全ての災いから救われるのではだろうか?
そんな期待も後押しして、人々は神々の聖戦を手伝った。
創世記より繰り返されてきた神族と魔族の戦い。
それが今ようやく終わろうとしていた。

半壊した塔の周りを遠巻きにして信者達が祈りを捧げている。
その内側を屈強の聖騎士団が取り囲み、塔を睨んでいた。
塔の中は美しい賛美歌で満たされている。
聖都エミリアから使わされて聖歌隊が内壁と階段を埋め尽くしていた。
年齢は12、3の少年少女、若くして神技に長けたエリート達の集団である。
彼等は塔の内壁と階段を埋め尽くしていた
変声期の彼等の声はこの世のものとは思えない程美かった。

壊されて吹き吹けとなった天井からは空が望め、旋回する天使達が見える。
そして時より射しこんでくるやさしい光が塔の中心部を照らす。
光は一人の天使を照らした。
片まで届く金色の長髪、顔立ちは美しく中性的な魅力を感じさせる。
しかしその姿は周りの天使達と明らかに違うものだった。
天使の最大の特徴ともいえる光の輪がないのである。
そして右腕を失い、大きな左翼はあらぬ方向を向いている。
細い身体からは大量の血を流し白い衣を真紅に染めていた。
黒翼の天使。
その黒翼の天使を遠巻きにして幾重にも天使達が取囲んでいる。
その視線は決して仲間を見つめている様な、暖かな視線ではなかった。
冷たい、まるで仇を見るような…明らかに敵意を感じさせる、そんな視線である。

大きな瞳からは大粒の涙をこぼしてた。
「まだ死ねない…。」
黒翼の天使は心の中でつぶやいた。
最後の力を振り絞り立ち上がろうとする。
全身に激痛が走り、苦痛に顔が歪む。
片膝で立ち上がろうとするが、それさえも叶うことはなかった。
自分の命があとわずかである事を、この状況からは否定できなかった。

聖歌隊の賛美歌が絶頂を迎えた時、上空を旋回していた一人の天使が舞い降りてきた。
背中には他の天使には見られない大きな翼6枚の白翼。
背丈も他の天使より一回り大きい。
全身に頑丈な鎧をまとい、手には多くの装飾が施された一振りの大剣をもっている。
一目で他の天使と格が違うのがわかる。
白翼の大天使。
大天使はゆっくりと黒翼の天使の前に降り立った。
黒翼の天使は苦痛に歪んだ顔で大天使を睨んだ。
そんな黒翼の天使の視線を大天使は笑顔で返した。
そしてゆっくりと口を開いた。
「最後の裁きの時はきました。魔王サタン、貴方はの犯してきた罪は誰も許す事はないでしょう。もう、こうするしかないのです。罪と共に無に帰りなさい…。」
大天使はそう言うと手に持った大剣を高々と、黒翼の天使に向けて振り下ろした。
黒翼の天使の身体は、光粒となって弾けた。
一瞬、静寂が塔を包む。
この世に存在した最後の悪魔が死んだ。

喚声が大地を揺るがした。
喚起あまって泣く者、抱き合って喜ぶ者、人々表情はさまざまである。
これで、全ての苦しみから開放される、幸せになれる。
誰もがそう思った。
ここで人々は再び神の声を聞く事になる。
そう、あの時と同じ声だ。
その声の主は大天使であった。
その声は美しくそして優しかった。
「さあ、我等神々の子供達よ、これでこの世界に災いをもたらす災厄はこれで全て祓われました。人類誕生から続く大儀ご苦労であった。」
心の底に染入るような、やさしい口調だった。
誰もがその言葉に聞き入った。
大天使は言葉を続けた。
「悪魔のいなくなった今、全てが我々の元に返ってきました。もう、これ以上災いに苦しむ事はありません。汝らは生まれる以前から背負わされら役割を立派に果たしました。後はゆっくりと休むがいい。さらば、古き神の子等よ…。」
「え?」
誰もが耳を疑った。
大天使の言った言葉の意味が理解できなかったからだ。
しかし、まもなく人々はその意味を知る。

大天使わ囲んでいた天使達が人々の方に振り返った。
いつの間にか、手には鋭い爪が生えている
獲物を狙う肉食獣のような、つり上がった目。
耳まで届かんばかりの裂けた口からは唾液か滴りおちる。
誰もがその姿を見てあるモノを連想させた。
それは「悪魔」
次の瞬間それは現実となった。
「キャー」
誰が発っしたか分からない悲鳴を合図に一斉に天使達が人々に襲い掛かった。
首を引き千切られる者、肉を喰われる者、犯される者。
天使はまるで猫がネズミを襲うかのように、ごくあたりまえに、それを楽しんでいる様だった。
目の前に展開された光景はまさに地獄そのものであった。

塔の中にいた人々は一箇所しかない出口に殺到するが、狭い出口は詰まってしまい思う様に出られない。
出口に近い壁際にいた人は圧死する者もいた。
背後からはその状況を楽しんでいるかのような、甲高い笑い声と…悲鳴…。
なんとか外に逃れた者も外の光景を見て絶句する。
出口は既に天使達が取囲み、人が出てくるのを今や遅しと待ち構えていたのだあった。
それだけではない。
先ほどまで塔の上空を旋回していた天使達が既に塔の外を囲んでいた人々にむらがっていたう。
そう、上空て待機していた天使達はこの宴が始まるのを待っていたのであった。
上空にはまだおびただしい数の天使達が地上の獲物達を襲う為、着地の順番待ちをしている。
どこからともなく現れる天使達の数は時間をおうごとに増加をたどり、塔上空の大空を隠した。

人々は何が起きたのかわからなかった。
さっきまで自分達を守ってくれた天使がなぜ襲ってくるのか?
悪魔はたった今滅んだハズではなかったのか?
今自分達を襲っているのは本当に天使なのが?
悪魔なのではなかろうか?
しかし、その答えが出る前に人々は息絶えた。
もう、逃げ道はどこにもなかった…。

どれくらいの時間が経ったのだろう。
あれだけいた天使達は何処かえ去っていった。
残され      たのはおびただしい数の殉教者。
辺りには死臭と腐敗臭が漂っている。
塔の中に再び光が射しこんだ。
静まり返った塔内で何かが動いた。
覆い被さった仲間の亡骸を押しのけてその影は立ち上がった。
唯一の生還者がいた。

後に人々はこの惨事を「リベールの悲劇」と呼んで嘆いた。
〜 to be continued 〜

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