102号1月分供述
平田君だ。
ヴォォォォォォォォォォン!
私はいま高速道路を減速することなく走っているのであります。
助手席には極上の同い歳イコール小汚いフェイスカモナおっさん・・・・・・
ヌォォォォォォォォォォォォォォォ!!
なんでナオンじゃねえんだ!?
殺す。
殺したるいますぐコイツ殺したる!
はい、落ち着きました。
まあ、寝てるか死んでるかもよくわからないですし。
希望といたしましては死んでいて――
殺したる!!
はい、落ち着きました。
しばし進みますと、さまざまな思い出が脳髄を駆け抜けては尾てい骨からぬけていきおります。
かんたんに申し上げますと
「なぜ?」
「Why?」
「シェゲナベイベー!」
ヌォォォォォォォォォォォォォ!
もうすぐ死ぬのかな。
死ぬほど暇なのかな。
ブホホホホホ。
いままで生きてきて、じぶんはどう変わり、そしてどう生きて――
生きてが重複――特にたいしたことないよね。
周りの人たちはどのように毎日を過ごしているのでせうか。
なにもしていないと、知らぬあいだに取り残されているような気分がカミングアップ。
まあそんなことはどうでもいいのです。
私は頭がだいぶ悪い。いやだいぶ悪い――
重複――ので、これまで出会った人たちに迷惑をかけてきたと思い
ます。
もちろん、それらの人たちには感謝の気持ちを禁じえない。
しかし「ありがとう」といういうことができないのは素直じゃないかわいげが素敵な感じでマイダーリン。
これからも迷惑かけるわよシャランラ。
だから周りの人も笑ってシャランラ。
もちろん感謝してるからって食事なんておごりません。
そんな気ないもん。
うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!
人がせっかく電話したのに「ウザイ」とか「ダルイ」とか「好き(これはいい)」とかいいやがって!
もっとやさしくしなよオレにさ。
それがいいと思うよ。
こんな感じで、私の人生ホップステップジャーンプ!
でも、けっこうじぶんのことが好き。そして好き。だって好き。すきすきすきだ〜い好き。
私は人として這い上がれますか?
これからの人生、そして出会い・・・それらすべてがぐっすんおよよ。
しかし、2月前半に行く予定のスキーがこれまたオッサン2人でなのであります。
だだだだだだだだだだれか、いっしょに行ってくれる婦女子はいませんか?
なんだか序盤で張っておいた隣のオッサンという伏線が消化できないまま終了します。
私の名は平田君。
だれよりも速い漢。
これどっかいれといて。
↓
だれかに想われだれかのためになにかがしたい・・・・・・。
TOP
平田君だ。
私はいま”モーニング娘。”ドンジャラをしているのであります。
メンツは
浩二(松浦寄り)
洋(保田マニア)
俊明(ゴマキくずれ)
平田君(ヨッスィ ピュアLove)
の4人。
いずれも一騎当千の鬼夜叉。今宵「リアルバウト脱衣ドンジャラ」をおこなうために集まった死の商人たちだ。
私の見解によると、彼奴らの脱衣順など透けてみえるのでおもしろくもないのだが
勝つためには敵の正体を知ることも必須。
私は今夜に向けて、こいつらの特徴を分析しておいた。
まず
浩二――29歳独身。ナオン遊びが激しく、モノの不気味なほどの巨大さが不敵な印象をかもし出してはいるが、し
ょせんは素人童貞。どうせズボンから脱ぎだすのは目に見えている。敵ではない。
洋――29歳独身。足の匂いを武器に、いきなりソックス遠心分離で攻めてくるだろうがこれも論外。わたしは今日
鼻がつまっているのだ。敵ではない。
俊明――30歳独身。画廊勤務。しかし口のうまさもドンジャラには効果があるまい。年金に対する不安でこころが
満たされている男にゴマキは切れまい。敵ではない。
以上の冷静かつ周到な準備および分析によって、わたしの勝利は確定したようなものだ。
それでははじめよう。
局面は緊迫の一途をたどっていた。
もうすでに、全員の着衣が1枚になっていたのだ。
すなわち、つぎに振り込んだ男がDEAD。
勝負はこの1局にかかっていた。
そしていま、私に絶好の手が舞い降りた。
「乙女パスタに感動」1シャンテン。不要牌は2つ。吉澤ひとみと松浦亜弥。どちらかを捨てなければならない。
吉澤は単純に私の好みだ。好みのナオンを捨てるなんて私にはできない。
松浦は単純に私の妹だ。妹を捨ててもいいのか?
ちなみに松下萌子には惚れている。うそじゃない。ほんとだ。
ヨッスィとアヤ・・・・・・ヨッスィとアヤ・・・・・・ヨッスィとアヤ。
私は涙とともに吉澤を切り捨てた!!
ゆるしてくれヨッスィ・・・。
同順、ついに浩二がリーチをかけてきた。
捨て牌は――加護がいない! 3人祭り系でまとめているのは明白だ。
ハッ! しょせんはサル知恵。河にも知性が感じられない。
だが・・・・・・もしそうなら、私の唯一の浮き牌「松浦亜弥」は危険牌。
廻せるか?
洋も俊明も安牌であるゴマキを手から打ち出した。
振り込めば死ぬのだから当然だろう。
浩二がそれをみてニヤついている。俗物が。
私のツモがきた。
ヨッスィ。
最悪だ。
たしかに前順、私は吉澤を切っている。
それは事実だ。
そして浩二の捨て牌には吉澤が存在している。
冷静に考えればツモ切りの一手だろう。
だが
私に2順も連続でヨッスィを切れというのか!?
そんな!
こんな靴下しかつけていないロリコン野郎に上がらせていいのか?
それでいいのか?
いいのか私わたしいいのか?
・・・・・・いやまて、冷静になってみろ。
このデカマラロリータが3人祭りを狙っているとは限らない。
ミニモニかもしれないし、タンポポかもしれないじゃないか。
・・・・・・うん、そうだ。
亜弥は通るよ!
私は迷いなく松浦を打ち出した・・・・・・。
その夜、ひとりの29歳独身ヨッスィ好きの男が裸で吼えた。
終わりなく。
叫び続けた。
TOP
平田君だ。
私は今日晩飯がないのであります
いつもの下僕と共に行くのもいいが、たまには一人で行くのもよかろう。
さあ何処へ行こうか。
高貴な私にふさわしい店ともなると、生半可な店でないことは確かだろう。
昼食は中ノ島だった・・・・・・よし、あそこにするか!
移動はバイクで行うこととする。
高貴な私にはバイクが良く似合う。
すこし走らせると1台の目障りな車が強引な車線変更を行い私の進路を妨げた。
――まあよい。愚民どもと違いその程度を許すことなど造作もない。
どちらかというと、私に見ていただきたくて(日本語高校中退©西原理恵子)前に入ってきたのだろう。
仕方の無いやつだ。みてやるとするか。
・・・・・・智美ではないか!?
ん、智美?
いや――
智美だ。
やむをえない。後をつけよう。
もちろんこれは、ストーキング行為ではない。
この瞬間から、智美と私の間にはいってみれば淡い愛が生まれたはすだ。
そうだ、生まれたのだ。
智美が左折なら私も左折。
智美が直進なら私も直進。
信号待ちでは後ろにつける。
智美がバックミラーで私を確認するのがわかる。かわいいやつだ。
二人の時間は、瞬く間に過ぎた。
大通りの交差点で、不意に智美が不自然な動きを見せた。
バレた!? 智美がこんなところで右折するなんて!?
どうしたん知美? なにがあったんだ!?
智美の車は、右折後薄暗い駐車場に滑り込んだ。
ここは・・・・・・
ヌハッ!!!!
『都そば』!!
智美――そば・・・なのか?
そういえば昔から、智美はそばばかり食べていたよな。
かまぼこが苦手なくせにそばばかり。
特に好きなのは
”かっちんそば”。
いちど、かっちんばかりで飽きないの、って訊いたら
「わたし餅好きだから」
って笑ったよね。
京橋でもかっちん、がもよんでもかっちん、放出でもかっちん、
梅コマ食堂でもかっちん・・・
――かっちん・・・・・・か。
でもな、智美。今日の晩飯はもう決まっていて、それは決してかっちんではないんだ。
許してくれ智美――こんな私を!!!!!!!
自分、不器用ですから。
私は涙を振り切るようにバイクを発進させた・・・。
数十分後
私はいつもの店にいた。
場所は中ノ島。
いつもの席。
常にここに私は存在する。
存在は常に安定を要求し、私はゆえにこの席に存在しなければならない。
注文はたぬきそば。
店員も心得ている。
いつもの店、いつもの席、いつものメニュー・・・・・・それが安定だ。
昼もそうだった。
昼もそうだった?
昼もかよ!?
ゴメンネ智美。
TOP
平田君だ。
私は今日晩飯がないのであります。
いつもの下僕と共に行くのもいいが、たまには1人で行くのもよかろう。
さあ何処へ行こうか。
高貴な私にふさわしい店ともなると、生半可な店でないことは確かだろう。
昼食は中ノ島だった・・・・・・よし、あそこにするか!
移動はバイクで行うこととする。
高貴な私にはバイクが良く似合う。
すこし走らせると1台の目障りな車が強引な車線変更を行い私の進路を妨げた。
――まあよい。愚民どもと違いその程度を許すことなど造作もない。
どちらかというと、私に見られることをよしとしながらも(日本語高校中退©西原理恵子)前に入ってきたのだろう。
仕方の無いやつだ。みてやるとするか。
見た目可哀想な男が運転しておる。
ふふふ可哀想な男。
いってみればまあ「山田よしお」だな。
山田よしおは妄想が激しく勝手な思い込みをするタイプだ。そうに違いない。敵ではない。
ホホウ、生意気にも山田よしおのくせに助手席にナオンを乗せているではないか。
まあ鉄板ブサイクだろうがな。
拝見してやるとするか。
・・・・・・智美!
ん、智美?
――いや智美ではない。
智美が私以外の人間と共にいるはずもない。
まあ似ている人間もいないとも限らなくもないような気がしないでもない。
いまは急いでいつもの店に向かっているのだ。
私はあの山田よしおが智美を連れているなどと妄想を抱くような愚か者ではない。
山田よしおのような妄想癖は私にはないのだと断定しよう。
私は直進する山田よしおをよそに左折した。
いつもの店。いつもの中ノ島。いつものメニュー。
存在は――
重複だ。
私はバイクを停めると、颯爽とにぎやか看板が目立つ入り口に向かった。
・・・・・・開かない。
「引く」。
引く?
まさかこの扉は私に「引く」などという行為を強要しようというのか?
ハッ!
まさかそんなはずはあるまい。
高貴な私が扉を「引く」?
わからせてやろう。私がどれだけ高貴な存在であるかを!
店の中は混雑を極めていた。この時間帯にはさまざまな階層の愚民がここに飯を食いにやってくる。
年齢・職業・国籍・性別――なにもかもが煩雑なこの店にくることにとって、わたしは自らの高貴さ確かめる。
ん、なんだあいつらは。
チ、チーマーじゃん!!
マジで!?
なんでこんな時間にチーマーおるん!?
嘘やん・・・・・・ミノフスキー粒子とは恐ろしいものだ。
こんな危険な愚民の存在を感知させないばかりか、私を取り乱させるとは。
冷静に判断すれば、彼奴らなど私になんの手出しもできないのは自明の理である。
よく見てみれば弱い立場の人間にしか威圧的になれない連中ではないか。
自分たちのルールの中でしか存在を許されない愚民なのだ。敵ではない。
さて、どの席にするか・・・・・・ん?
あの席なんかいいな。
偶然にも彼奴らと一番遠い席になったが意図したものではない。もう一度いっておく。
決
して意図したものではない。
それを証明する意味も込めて、少し彼奴らをビビらせてやるとするか。
「店員、オーダーはまだかね?」
慌てて店員が駆け寄ってきた。
「大盛り味噌汁おしんこ付きで頼むよ」
店内が私の毅然とした注文に震撼した。離れているので見えないが、チーマー達も震えおののいているだろう。
店員もあまりのことに注文を復唱する声が裏返っている。オイオイ、たしかに高貴な私の注文に緊張するのはわ
かるが、たかが牛丼じゃないか。
少し脅かしすぎたかなと反省していると背中に彼奴らの視線を感じた。
まあ仕方あるまい。彼奴らをものともせずに注文を行った私に対する畏怖を感じているのだろう。
失禁している者もいるであろうことは明らかだ。
その会話の内容も手に取るようにわかる。
「あ、あいつっていま大盛りっていったか!?」
「マジかよ! オレ大盛りなんていったことねえよ!」
「見てみろよ、アイツまだお茶も飲んでねえ」
「嘘だろ!? 心なしか背中がプルッてるの・・・・・・まさかオレたちのことが気にいらねえんじゃ!?」
「オイ、もう店出ようぜ! 殺られちまうよ」
「だ、大丈夫だよ。あの人はオレたちなんて歯牙にもかけねえ漢のはずだよ」
「こ、怖いよオレ・・・」
フッ、心配するなチーマー。私はお前たちをどうこうする気はまったくない。本当に無い。しない。
なぜなら
私の名は平田君。
どこまでも引かない漢。
TOP
平田君だ。
今日は私が通いあそばれた(日本語高校中退©西原理恵子)『人間更正学園』について話をしたいと思うのであ
ります。
なぜこの学園を選んだのか。
わかりやすくいうと
ナオンが多い
以上。
受付締切日に電車のなかで願書を書き、迷子になりながら提出したのを覚えている。
そのとき私はまだ、この人間更正学園が人間更正学園たる理由を知らずにいたのだ・・・・・・。
まずは授業について書こうか。
普通、高校の数学や英語というと2,3にわかれるものだ。
とうぜん、わが学園もわかれていた。
しかし、一般的なグラマーやリーダーではない。
”普通”と
”隔離”。これだ。
比率は65:35。そう隔離者は全体の35%。7クラス40人学級なら98人もの人間が隔離され
る。
まあ、隔離されるだけの理由はある。
たとえばこの振り分け試験の内容をみただけでも、それは明らかだ。
問い(1) 次の日本語を英語に直しなさい 「りんご」
どうだろう?
これは15歳の日本の青少年が問われるべきことがらだろうか?
今日、私のクラスの振り分けテストの結果がでる。もちろん私は隔離されるわけがない・・・・・・すこし、バカの生
態をのぞいてみるとしよう。
私はこの学園にくるまで触れることの無かった「隔離されるほどのバカ」の話を聞きに、先行して隔離クラスに振り
分けられた人間に会いに行った。
「キミキミ、調子はどうだね?」
――まずまずだね。
まずまず
隔離なわけだな。
「ほうほう。ところで今、どんな授業を受けているのかな(隔離でな)?」
――いまはひっきたいだね。
「筆記体って?」
――ひっきたいはひっきたいだろ。
ま、隔離だからな。
――そういえばきょうえいごのてすとがかえってきたよ。
「へぇ。どんなテストだったんだ?」
――そうだね・・・・・・たとえば、じしょってたんごをかけってもんだいがあってね
「それで?」
――でくしょなりぃってかたかなでかいたらさんかくだったね。
ま、隔離だからな。
始業ベルを耳にした私は教室に戻った。これ以上しゃべっていると私まで隔離されそうだ。
「このまえやったテストをかえします。このテストの結果でクラスの振り分けが決まりますからね」
ほう、ようやく我がクラスの火刑台行きが知らされるわけだな。
これで35%は火に包まれる。
爆ぜろ。
「今からかえす人は教室を移動してくださいね。MOVE君」
当然だな。
「HH君」
順当だな。
「俊明君」
燃え尽きろ。
その後も続々と隔離者が告げられる。
そろそろ最後の一人のようだな。
「え〜と最後は――」
ん、だれだ? 聞いてやるぞ。
「・・・・・・平田君。以上です」
燃えちゃったよ。
TOP