あるとき、ふと気がついた。

「そういえば、私、オスカー様の背中って見たことない・・・。」
 家に帰ってきたあの人に、思い切って言ってみた。
「私、オスカー様の背中、見たことないんです。」
 いきなりの私の言葉に、アイスブルーの瞳を大きく見開いたあの人は、しばらくそのままだったけど、やがて笑いながら私を抱きしめてくれた。
「お嬢ちゃんは俺の背中が見たいのか・・・?」
 頷いた私の耳元で囁かれる甘い声。
「君が見たいって言うんなら、いつだって構わないぜ・・・?」
 言いながら、ボタンに手をかける。
 慌ててとめると怪訝そうな声で尋ねてくる。
「見たいんじゃなかったのか・・・?」
「今すぐここで、じゃないですぅ。」
 うろたえる私に更に彼は囁きかけてくる。
「・・・大胆なお嬢ちゃんだな・・・。」
「え・・・?」
 意味がわからない私。
 一生懸命考えていると、いつの間にかソファに座った彼は言う。
「・・・ベッドの中でなんて、な。」
「なっ・・・!!」
 一気に体温が上昇する。
 かあーっと顔が赤くなっていくのが自分でも分かる。

 くっくっく・・・。

 苦笑しているらしい。
(悔しい・・・!!)
 そんな私の気持ちにはお構いもせず、おいでおいでをする彼。
 心は、行かない!ってがんばっているのに、体は、勝手にそっちへ動いてく。
 隣に座ると肩を抱かれた。
「ベッドの中、ってのは置いといて、だ。さっきの言葉は本当だぜ。君の望むことなら、何だって叶えてやる。」
 頭の上から聞こえてくる心地よい響きに、温かい胸に、いつしか私は眠ってしまう。
―今日も彼の背中を見れなかった―

 

 

 

あとがきという名のいい訳。

 アンジェってほんとにオスカーが好きなんだあああってことを書きたかったんです。ただそれだけ。