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「どうして・・・?」
「僕は絶対これって決めてるんだもん!!」
朝からなにやらもめているようですね。
あ、失礼しました。ここは緑の守護聖、マルセルの私邸です。言い争っているのはここの若き主と、彼の恋人であるアンジェリークです。2人ははれて一緒に暮らすことが出来るようになりました。
「私はこれじゃないと、朝っていう気がしないもん!!」
ほおをぷうっと膨らませて抗議するアンジェリークでしたが、そんなことでひるむ彼ではありません。
「僕だって!!」
同じようにほおを膨らませて言い返しています。なんだか子供の喧嘩みたいですね(あ、子供でした。)
「おやおや、朝から喧嘩でいらっしゃいますか?」
穏やかな笑顔で二人の中に割って入ってきたのは、女王候補時代からアンジェリークの世話係をしてきた、マーサさんです。
「あ、マーサ。聞いてよ、アンジェったら・・・。」
事の顛末はこうでした。
「・・・たまごやき、ですか・・・?」
「そう。マーサはどっちがいい?」
つまり、こういうことでした。
アンジェリークは朝のたまごやきが大好きです。これがないと朝を迎えた気がしません。その点ではマルセルも大賛成です
、が。
問題は味付けでした。
アンジェはおしょうゆ派。マルセルはお砂糖派、だったのです。
「甘いのなんて、ナンセンスです!」
ナンセンスといわれたマルセル様。かなりご立腹のご様子。
「お砂糖の深い甘さが卵を包み込む。これが分かんないアンジェのほうがナンセンスだよ!!」
菫色の瞳を見開いて恋人に詰め寄っています。彼は、普段あまり怒りをあらわにしない方なので、これはかなり迫力があります。
「・・・で、マーサはどっち?」
おおっと。マルセルの怒りにたじろいだアンジェリーク、どうやら世話係さんを巻き込んだ模様。
突然の出来事に慌てたマーサ。が、しかし長年の宮仕えがなせる技なのか、にっこり微笑んで言いました。
「・・・私の考えでよろしゅうございますか?」
「「うん!!」」
瞳をきらきらと輝かせ、手を胸のあたりで組む二人。可愛らしさ大炸裂です。
(・・・お許しくださいませ)
マーサさんは天を一瞬仰ぐと、言いました。
「・・・おしょうゆ、でございましょうか?・・・」
「やっぱり、そうよねー!!」
と、喜ぶアンジェリークと、
「・・・嘘−!!」
と叫ぶマルセル様。
「どうして、おしょうゆなの?甘いのはどうしてダメなの?!」
マーサさんに詰め寄るマルセル様。こ・・・怖い・・・。
「あ・・・。私は、たまごやきは、ご飯で頂きたいのです。ですから・・・。」
動揺しつつ、真面目に答えたマーサさん。あんたは偉い!!
「ルヴァ様もおしょうゆ派になるのかぁ・・・。」
うなだれるマルセル様。
さすがにこのままではかわいそうに思ったマーサさん。
「・・・で、ですがサンドウィッチなどでしたら、甘くてもよろしいのでは・・・?」
言った一言がマズかった!!
「そっかー!サンドウィッチとかだったら・・・。」
「マーサ!変な事言わないでよー。せっかくうまくいきかけたのにぃぃぃ・・・。」
すったもんだの挙句、たまごやきを二つ、作ることにしたそうです。
マーサは思いました。
(でしたら、はじめからそうしてください。)
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