筆頭守護聖ジュリアスは、今自分の置かれている状況が信じられなかった。


 うららかなある午後のお茶会。それはいつもと同じ、女王アンジェリークお手製のお菓子を食べ、お茶を飲み、談笑する、はずだったのだが・・・。

「・・・?」
 彼は違和感を覚えた。体が動かない。正確に言えば声は出せるが体が思うように動かないのだ。
「うふふふ・・・。」
 そんなジュリアスを見たアンジェリークが嬉しそうに笑った。
「なぁんだ、陛下ってば、ジュリアスなワケ?」
「みたいですねぇ・・・。」
「まあ、陛下の望みなら、叶えない訳にはいかないがな・・・。」
 オリヴィエ、ルヴァ、オスカーはどうやら何が起こるのか分かっているようだが、ジュリアスにはさっぱり分からない。

「オスカー。これは一体何事だ?」
 取りあえず一番話が出来そうなオスカーに声をかけてみた。が、
「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
 返ってきたのは沈黙ばかり。
「オスカー、答えぬか。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・申し訳ありません、ですがこればかりは陛下のお考えです。このオスカー、陛下に逆らう事は出来ません。」
 詰問口調のジュリアスに、普段ならあっさり答えるオスカーだったが、今回は苦しそうだ。

 オスカーにも今のジュリアスの気持ちが痛いほど分かる。かつての自分もそうだったからだ。しかし彼とジュリアスの違いは、アレを知っているか否か。知らないジュリアスが眉間にしわを寄せて(これは不快を示すものだとオスカーは知っている。)詰問するのは当たり前だ。だが・・・。

(申し訳ありませんジュリアス様。俺は、アレがない日々はもう、耐えられないんです・・・。)
 心の中で懺悔するオスカーだった。
(ですが、ジュリアス様もアレを味わわれたら、きっと俺の今の気持ちを理解してくださるでしょう。)
 そうも思うオスカーだった。

 

つづく