だめっ!!
 ロザリアの横で黙って立っていたアンジェリークがすごい勢いで話を遮った。
「なんですの?」
「どうしたのさ?」
「どうしたんだ?」
 そんな彼女の反応に三人おなじ反応が返ってきた。それがアンジェリークにはなんだか面白い。つい、言ってしまった。
「だってロザリアには言って欲しくないもん。オリヴィエ様とオスカー様がホ○ですか、なんて質問、ロザリアには言って欲しくないもん!!
 その瞬間・・・。
 オリヴィエの執務室に最大級の沈黙が訪れた。

「ア・・・アンジェ・・・。」
 やっとのことで声をあげたのはオリヴィエ。オスカーはあまりのことに絶句し、ロザリアはどうしていいのか分からず、途方に暮れていたからだ。
「違うんですか?」
 小首を傾げて可愛らしく尋ねる姿は、オリヴィエにとっても超絶可愛い、のだが・・・。
「そもそも、何で、そんな風に、思っちゃった訳なのかな・・・?」
 オリヴィエの言葉にアンジェリークは理解を得られた、と勝手に感じ、一気にまくし立てた。
「昨日ロザリアがオスカー様とオリヴィエ様がここでそんな事してたのを聞いたんです。私、もうビックリしちゃって、確かめなきゃって思ったんです!!」
「何でビックリしたの?」
「だってオリヴィエ様のこと、ロザリア好きだし、私オスカー様・・・。」
 そこまで言うとアンジェリークは慌てて口を塞いだ。が。
「ほお、お嬢ちゃんは俺が何だって・・・?」
「ふぅん・・・。ロザリアが、ねぇ・・・。」
「あ・・・う・・・えっと・・・。」
 二人の体制にアンジェリークが抵抗できるはずもない。そしてロザリアも。
「アンジェリーク、あなたどさくさ紛れに何を言ったのかしら・・・?」
 すうっと半目で睨みつけられ、アンジェリークは縮こまった。
「まあ、そっちについてはあとでゆ〜っくりと聞くとして。ロザリア、あんた何を聞いたの?」
「そうだな、もともとは姫君の聞いたやつっていうのが原因らしいからな。」
 ロザリアは覚悟して事の次第を話し始めた。


「それはそれは・・・。」
「確かに、そういったことはあったな・・・。」
 オスカーの言葉にアンジェリークが反応した。
「じゃあやっぱりオスカー様は・・・。」
「だが、それとは違う。大体俺は同性を云々と言うのは否定はしないが、自分は無いな。俺は女性にしかそういった感情を抱かない。」
 女性と言っても今はお嬢ちゃんのみに抱く感情だ、ということは胸の中にしまい込んだ。とはいってももうすぐ吐き出せるっだろうという事は予測していたが。
「ロザリアが聞いたのは多分あれじゃないかな。」
「だろうな。」
「なんですの?私が聞いたあれとは・・・。」
 天使2人、興味津々。

焼肉。
「は・・・?」
「焼肉、ですか?」
 オリヴィエが悪戯っぽくウインクした後、ロザリアとアンジェリークは大きく溜め息を吐いた。
「そ。昨日の朝にわたしんとこにすんごい高級な肉が届いてさ。この赤気馬鹿はシュラスコ好きじゃん。んで、誘ったのよ。いいもん手に入ったからこっちにきな、ってさ。」
「俺はてっきりワインか何かと思ったんだが、肉も嫌いじゃない。で、すぐ食べたいと思ったんでな、硝煙コンロを持ってきて食ったんだ。姫君が聞いたのは焼ける直前の俺達の会話だろう。」
 だったら話は分かる。たまらないでしょう、焼ける直前のあの感動。
「じゃ、オスカー様とオリヴィエ様はここで焼肉されてたんですか?」
  アンジェリークの問いにオリヴィエは、
「そ。大正解。」
と、笑って答えた。
「いいなぁ・・・。アンジェも焼肉食べたいなぁ・・・。」
 アンジェリークの呟きに反応したのはオスカー。
「じゃあ、今から食べるか?」
「え?」
 ビックリして見上げたアンジェリークにオスカーは笑って答えた。
「オリヴィエとの残りがまだあるんだ。良かったらお嬢ちゃんも食べるか?」
「わあ、嬉しいです。」

 オスカーの後をいそいそついていったアンジェリークが果たして本当に焼肉を食べることができたかどうかは、二人のみぞ知ることだったが、次の日から二人が寄り添っている姿を飛空都市のそこここで見ることができるようになった。

 

 

あとがきという名の言い訳。
オチは焼肉です。オリヴィエ様が焼肉食うかと思ったんですが、まあ、高級でカロリー抑えるとすれば、タルタルステーキ辺りなら食するんでしょうか。あれは新鮮でないと全然駄目なシロモノですし。

 

 

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