と思いきや、
「オスカー・・・そなた本気でサクリアを放ったな・・・。」
 なんとジュリアス復活。
「ええ。」
 至極あっさり答えるオスカー。
「川が流れていた・・・。その反対側に私が幼少のころ可愛がっていたペンギンのペンちゃんがいた・・・。私はそこへ渡ろうとしたが、後ろからアーケイディアが私の服の裾をつまんでいたのだ。それで私は退き返した・・・。」
「それって・・・。」
「三途の川、でしょうかねぇ・・・。」
 リュミエールとオリヴィエの呟きが重なる。
「そうだ!!私は三途の川を渡りかけたのだぞ!!」
「そもそもジュリアス様が俺のお嬢ちゃんといちゃつきたいなんて仰るからです!!お嬢ちゃんは未来永劫俺のお嬢ちゃんであって、たとえ敬愛するジュリアス様でもこれだけは譲れません!!」
 ぜーはーと一気にまくし立てたオスカー、呼吸を整えている。
「敬愛する首座様にサクリアぶっ放すってのもすげーよな・・・。」
「だってゼフェル、オスカー様だよ?アンジェのためだったら宇宙を敵にまわしたって構わないって人なんだよ?サクリア攻撃をジュリアス様になさることに躊躇いなんかないって。」
 あっさりとマルセルは言い放ち、残りの守護聖もうんうんと頷いた。

「・・・オリヴィエ。私は御役御免だな・・・。」
 そういいながらその場で衣装を脱ぎだすクラヴィス。
「クラヴィス、そなた女装の気があったのか・・・?」
 オスカーから矛先をクラヴィスに変えたジュリアス。
「フッ・・・。これは私ではなくお前が着るものだ・・・。」
「何だと・・・?私が何故このようなものを着なければならんのだ!!このジュリアスが、何故ちゃらちゃらした格好をせねばならぬ!!私に女装趣味はない!!」
「あのねぇ・・・。マルセルやリュミエールにだってそんな趣味はないよ。でも文句一つ言わないできてんのよ?陛下の御為に。」
 オリヴィエの言葉にジュリアスが辺りを見回すと、マルセルもリュミエールもドレスを身に纏っていた。
「そうか・・・。そなたたちもそのような目にあっていたのか・・・。そなたたちのことも考えず、我を忘れてしまった・・・。」
  許せ、と項垂れるジュリアス。
「そんな!!ジュリアス様!!僕、ジュリアス様が分かってくださったんならいいんです。」
「マルセルの言うとおりです。ジュリアス様、お顔を上げてください。私も陛下の御為に、と恥ずかしさをこらえております。」
  駆け寄った二人の手をとり、ジュリアスは言った。
「リュミエール・・・マルセル・・・。そなたたちにばかり辛い目にはあわせぬ。このジュリアス、意地悪継母、見事演じてみせよう。そなたたちも力を貸してくれるか?」
「「ジュリアス様・・・。」」
 ひしと抱き合う三人。見事な思いやりです。

「じゃあ、第一幕。継母がシンデレラをいじめるシーン。」
 オリヴィエが、監督らしくカチンコを持って椅子の前に陣取る。
「はい、スタート!」
「待て!」
 ずるっとずっこけるオリヴィエ。
「な、なんなのさ。まだなんかある訳?」
「アンジェリークに一言あるのだ。」
 それだけ言うとジュリアスはすたすたとアンジェリークのもとへ。
「どうかなさったんですか?」
 可愛く小首を傾げて答えるアンジェリークの愛らしさに思わず抱きしめてしまいたい衝動にかられたジュリアスであったが、オスカーの殺気に気付き、何とか堪えた。アンジェリークの前で白目はむきたくなかった故に。
「これから私は台詞を言う。だが決して本心ではない。これは芝居であって私がそなたを厭うことなどないことを肝に銘じていて欲しい。」
「僕もアンジェに酷いこと言わなきゃいけない役だけど、でもこんなこと思った事だってないからね?僕アンジェが大好きなんだからね?」
「わたくしも同じです。愛らしく可憐な貴方を傷つけたくなどありません。ですがこれもひとえに陛下の御為。ただそれだけだということをご理解ください。」
 ジュリアスに続き、マルセルとリュミエールも彼女の側へ行った。
「当たり前じゃないですか。皆様、本当に大好きですもの。ジュリアス様もリュミエール様も、マルセル様もロザリアが楽しんでくれれば、って思ってなさってるだけですし、私本当に皆様が好きです。」
 まさしく天使の微笑だった・・・。


「・・・で、それでどうなったの?」
「三人がアンジェに抱きついて、切れたオスカーがサクリアぶっ放して、そんで終わった。そこんとこはテープに入んなかったんだ、わりぃ。」
 ここは女王執務室。
 大いなる慈愛の存在であらせられるロザリア陛下は、鋼の守護聖にあることを命じていた、それも密かに。
「まあ、いいわ。こんな可愛いあの子の笑顔が手に入ったんですもの。その辺の不手際はなしにしましょう。」
 至極満足げな女王に頭を下げ、ゼフェルは執務室を後にした。
 ゼフェルが去った後、女王の手にあったものは・・・。

お芝居をしよう!シンデレラ編のメイキング、と銘打った、一本のビデオテープであった。
「うふふふ・・・・。こんなことならいくらでも楽しめるわ。女王も悪くはないわね・・・。」

 

 

あとがき。
 メイキング、でした。要はロザリアがゼフェルに命じたんですね。彼女はわかっていたんでしょう、芝居より舞台裏のほうが楽しいということ。
 しかしまあ、皆さん壊しましたねぇ・・・。まともキャラのはずのオリヴィエを最後にずっこけさせました。
 こんなんですが、いかがでしたか?