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「・・・一件落着、ですわね。」
ジュリアスからの報告を聞いたロザリアは、いたく満足げに微笑んでいた。
「しかしながら、陛下。本当はどちらが本物かなどと、分かっておいででは・・・?」
「当たり前でしょう?サクリアを発しているかいないかぐらい分からなくては、女王は務まりません。」
「では、何故・・・?」
納得のいかない筆頭守護聖に向かって、美貌の女王は嫣然とした笑みを浮かべて、答えた。
「あの子は、補佐官ですから、サクリアの有無に関してはあまり感知できませんわ。・・・いい機会だから、あの子がどれくらいオスカーを想っているのか、知りたくなったのよ。試験を途中で放棄するくらいだったんですもの。わたくしにはそれを知る権利があるはずですわ。」
「・・・陛下の御考えは、非常に素晴らしいものです。このジュリアス、これからも陛下にお使え出来ることを誇りに思います。」
こうして、怒涛のような日々は、幕を閉じたのであった。
「・・・ところでお嬢ちゃん。」
久しぶりの恋人との逢瀬に、しっかり満足したオスカーは、自分の腕の中でうっとりと瞳を閉じているアンジェに、ふと思い出したように話し掛けた。
「何ですか?」
「俺が本物だと分かるのに、どうして一週間もかかったんだ?」
オスカーの瞳がかすかに曇る。愛しい恋人が自分だと分かってくれないことほど彼にとって辛いことはない。
そんなオスカーの心情を察したアンジェは、彼を抱きしめながら微笑んで言った。
「すぐにわかったわ。あなたが私のオスカー様だってことは。」
「じゃあ、何故・・・?」
腑に落ちないオスカー。分かったのなら何故すぐに自分のところに来てくれなかったのか・・・。
「違うことを考えていたの。・・・あなたとであったときから、いろんなこと・・・。」
「出会った時から・・・?」 こっくりと頷くアンジェ。オスカーは、彼女が何かを言おうとしていると察し、何も言わない。
「はじめは、怖かったの。そのアイスブルーの瞳が。でも、試験がうまくいかなくて落ち込んでいた私を、黙って花畑に連れて行ってくれた。・・・あの時、はしゃいで転んだ私を抱き起こしてくれたあなたの瞳は、とっても優しかった。・・・気が付いたら、試験そっちのけであなたのことばかり考えている私がいたの。」
アンジェがオスカーを見上げると、そこには彼女が大好きなアイスブルーの瞳が優しい光をたたえていた。
「どこを好きになったのかな、って考えてた。・・・全部、って思った。そしたら、一番はじめに倒れちゃったこと、すっごく後悔したの。あなたを心配させてしまって・・・。」
「あの時は心臓が止まるかと思った。」
オスカーはその時のことを思い出し、身をすくめた。彼にとってはあの出来事は本当に恐ろしかったのだ。
「・・・私は、オスカー様が、すき・・・。オスカー様は・・・?」
首を傾げながら尋ねる恋人に、軽く口付ける。
「言わなくても分かってると思うが・・・?」
「・・・でも、言って欲しいの。」
この天使のお願いをオスカーが断る術はない。心の底からいとおしい、愛すべき人なのだから・・・。
「愛してる。・・・俺のアンジェ。」
こうして甘い恋人達の時間は過ぎていったのである
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