|
女王候補生だったアンジェリークは、感性の教官として聖地に召還されていたセイランと恋に落ちました。女王か恋かと悩んでいたのですが、同じ名前の金の髪の女王に、
『どっちかなんて決めなくていいと思うの』
と、一挙両得を勧められ(?)見事どっちも手にしたのです。
これは宇宙の女王と芸術家、という普通じゃない立場の2人の、ごく普通の日常のひとこまです。
「セイラン様、お願いですから・・・。」
「断る。」
アンジェリークは困っていた。恋人、セイランのことである 。
この宇宙は文字通りできたっばかりで人がいない。いたとしても別宇宙から派遣された研究員や、女官くらいである。だから人目も気にしないセイランが執務中にキスしまくってこよーが、それ以上を求めてこよーが(・・・)そんな事は一向に構わないのだが。
困っているのは、お風呂、なのである。
「私ひとりで大丈夫ですってば。溺れたりしません。」
「そんな事はわかりきってるさ。・・・僕が言いたいのはそんな事じゃない。」
そう言うとセイランは、有無を言わせずアンジェリークの服を剥ぎ取って彼女を抱え上げると、すたすたとバスルームへ入っていった。
「離してください!!」
強引すぎる恋人にさすがに彼女も怒りをあらわにして抗議した。
「私は物じゃないんです!!言うことも聞いてくれないで・・・。」
怒りと悲しみが込み上げてきたアンジェリークは、瞳に涙を浮かべて俯いてしまった。こうなった彼女は頑固である。宥めようが機嫌をとろうが口を利いてくれない。
(まずかったかな・・・?)
とは思ったものの、そこは天才芸術家。感情をおくびにも出さずに言い切った。
「君のほうが酷いんじゃない?」
「え?」
驚いたのはアンジェリークである。彼の行動からいって100%セイランが悪いのに、どうして自分が責められなければいけないのだろう?
思わず顔を上げてしまったアンジェリークにセイランは言い放った。
「君は僕から世界を奪おうとしてるんだからね。」
「????」
(世界を奪う?私がお風呂にひとりではいることと、何の関係があるの?)
頭上をはてなマークが飛んでいるアンジェリークにセイランはいきなり言った。
「僕の職業は?」
「え?・・・芸術家さんだと思うんですけど。」
さん、はいらないと思う。が、セイランの問答は続く。
「そう。じゃあ、芸術家にとって一番必要なものは?」
「センス、でしょうか・・・?」
答えながらアンジェリークはまるで試験を受けているみたいだと思っていた。
「それも必要だけど、一番は想像力。」
「はぁ・・・。」
彼が一体何を言いたいのかアンジェリークにはまったくわからない。
「僕にとっての君は、なんだったっけ?」
そこまで言うとセイランは悪戯っぽく笑った。
(えっと・・・。)
ぼん!!
『僕にとって君は、いわば創造の源なんだ。君が僕に世界を与えてくれたといっても過言じゃない。・・・分かるよね?これからの僕は君が創造していくんだ。』
どうやら思い出したらしい、アンジェリークは真っ赤になって俯いてしまった。
「あ、あの、でもそれとこれとどういった関係が・・・?」
未だ納得できないアンジェリークにセイランは笑いながら言った。
「君の裸体というすばらしい美を堪能できないなんて、芸術を愛する僕には耐えられないって事さ。」
|