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全員がその場を後にしようとしたとき、後ろから崇高なるお方の声がかかった。
「忘れるところでしたわ。ゼフェル、アンジェ追跡装置やそれに類するものの使用は禁止します。」
「げ!!マジかよ・・・。」
どうやら考えていたらしい・・・。
「クラヴィス、水晶球の使用は勿論禁止よ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・フッ・・・・・・・・(ただしとっても残念そう)。」
どうやらこちらもその考えだった模様。
「さすが陛下ですね・・・。」
「思考回路を把握してる、って感じだねぇ・・・。」
リュミエールが感心し、オリヴィエが相槌を打つ。そんな最中、
「下手な小細工は己の首を締めるだけ、ということか・・・。」
オスカーのこの一言が、守護聖たちの闘争本能に火をつけた。
「俺、正々堂々と戦って、アンジェと休日を過ごします!!」
何故か宣言する、ランディ。
「オメーとすごしたって、つまんねーに決まってるだろ?あいつは俺と過ごすんだぜ。」
やっぱり喧嘩を吹っかけるゼフェル。
「もう、二人ともやめてよ。僕、けんかの仲裁に入るほど暇じゃないんだよ?アンジェとお休みを過ごす場所を探さなくちゃいけないんだから。」
いつもと違って、マルセル、ブラック降臨です。
「とにかく・・・。」
「やっぱり・・・。」
「だから・・・。」
などと言いながら、どやどや出て行く守護聖達。
「ねえ、ロザリア?」
彼らを見送った後、アンジェリークが傍らの親友に尋ねた。
「何よ。」
「私とお休みを一緒に過ごすことが賞品だなんて、皆さんそれでいいのかしら?」
「へ・・・?」
ロザリアは今彼女が言った事が分からない。
「だって、そうでしょう?皆さんそれぞれ欲しいものなんかあったり、やりたい事があったりするじゃない。なのに私と過ごすお休みが賞品だなんて、嬉しくないんじゃないかしら?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ロザリアは絶句していた。
(アンタと過ごす休日、ほどあの軍団が欲しいものはないわよ、アンジェ。この子ってば自分がいかに可愛いか、いかに愛らしいか、全く分かってないんだから。・・・まあ、そこが可愛いんだけど。とにかく、あの我がまま集団を大人しくさせるには、補佐官アンジェと一緒に○○、というものは絶大な効果を生むのよ。わたくしの治世において、完璧な統制こそが絶対至上必須項目なのですわ。)
考えているうちにヒートアップしていく女王陛下。
(それにしても、本当に控えめで、慎み深い子だわ、この子。この私を高貴な百合としたら、この子はまさに可憐な小菊、いいえマーガレット・・・・。)
更に妄想は進んで行く。
(取り敢えずこの子をどこに隠すか、いいえゆっくりさせるところを捜すか、ね。あの馬鹿軍団には予想のつかない場所、だけどあの子がプレッシャーに感じないところ、が最優先事項ですものね。)
「あの・・・ロザリア?」
妄想中の彼女を引き止められる唯一の存在が、再び話を中断した。
「あら、ごめんなさいね。ちょっと考え事をしていたものだから・・・。」
「宇宙の事って、大変なんだもんね。でもロザリア、少しはお休みしたほうがいいわよ。でないとロザリア倒れちゃう。」
翡翠色の瞳を心配そうに潤ませ、彼女を覗きこむ補佐官。
「大丈夫よ、健康管理も万全にしているわ。」
「それもお仕事なんだ・・・。わたしも頑張らなくっちゃ。」
ガッツポーズを可愛くして、気合を入れるアンジェリークを、瞳をハートマークにしている女王陛下。
―――宇宙の平和が彼女らにかかっていることを、他の人間が知らない事は、本当に安泰である。
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