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―――残り三日をきった・・・。
「ジュリアス様、ここにはいませんでした。」
「うむ、そうか。」
「ルヴァ様、あの惑星にもアンジェ、いません。」
「そうですかー・・・。ゼフェル、そっちはいかがですかー。」
「・・・だめだ。いねー。」
「わたくしの探したところにはいません。」
などという会話が、ランディの執務室で繰り広げられていた。何故彼の部屋なのか、というと、
「重要書類とか、何にもないもんね。」
・・・・恐るべきお子様、マルセル。皆が思ってても口にはしないことを、なんとあっさり・・・。
とにもかくにも、ランディの厚意(?)により、彼の執務室が提供されたのである。そして、全宇宙の地図が広げられ、補佐官がいなかった惑星は一斉に黒く塗りつぶされているのであった。
「後は、ここらあたりか・・・。」
オスカーが指差した惑星群を見て、全員ごくっと息を飲んだ。もうすぐ可愛いアンジェとすうぃ〜〜〜〜〜となバカンスを送れるのだ・・・。
「時間との勝負だね・・・。」
「ああ。」
地図を見ながら真剣に考えるオスカーとオリヴィエ。
「皆、ここが運命の分かれ道だ。気を引き締めてかかるように。」
「「「「「「「「ラジャー。」」」」」」」」」」
ジュリアスの言葉に、一同、行動を開始。
「・・・・普段もこれくらい団結して欲しいわ・・・。」
この様子をモニターで拝見しておられた女王陛下が、疲れたように仰った。
「スッゴクムズカシイと思います・・・。」
「レイチェルったら!!・・・でも、そうかも・・・。」
「あの子が絡むと、団結力も拍車がかかるわね・・・。」
モニターを見ながら壮絶に優雅な微笑を浮かべた女王陛下。どうやら何か思いついたらしい。それを横目で見ながら、レイチェルとコレットは思った。
(いい?ぜっっっっったいに陛下を怒らせちゃ駄目よ。)
(ワタシだって、命は惜しいヨ。安心して。)
―――新宇宙の女王陛下とその補佐官はまたひとつ、人生を知ったようだ。
最終日。
「この日、ゲームが終わります。」
朝の定例議会で、女王陛下はとても優雅に言い放った。
「この日の就業終了の鐘が、ゲーム終了になります。皆さん、頑張ってちょうだい。」
「「「「「「「「「・・・御意。」」」」」」」」」
全員が疲れ果てた顔で、謁見の間を後にした。
「皆さん、お疲れでしたね。」
「それでも、誰もリタイアしないんですね・・・。」
「ある意味、タフね・・・。」
残った3人は、感心しながら後姿を見送った。
「さて、楽しみね・・・。」
おほほほ・・・と笑いながら執務を始めたロザリアに付き従って移動する、レイチェルとコレット。
―――新宇宙、ほったらかしで、大丈夫なんだろうか・・・?
「後3時間・・・。」
「残った惑星は・・・。」
彼らの前にある地図で、黒く塗りつぶされてないのは後3箇所。
「1時間に1つの惑星を探す、か・・・。」
「本当に、時間との勝負ですね・・・。」
オスカーが眉間にしわを寄せ、ランディが今までにないくらい真剣な顔をしている。
バン!!!!!
乱暴にドアが開いたかと思うと、
「ジュリアス様!!アンジェは第三惑星γ−6にはいませんでした!!」
マルセルが息せき切って走りこんできた。
「そうか!!でかしたぞ、マルセル!!」
倒れこんだマルセルを抱き起こし、ジュリアスは威厳たっぷりに言った。
「皆、聞いたとおり、後残りは2つだ。時間は2時間39分。・・・なんとしても補佐官を探し出し、すうぃ〜〜〜〜となバカンスを陛下より賜るのだ。」
「「「「「「「「「「オー!!!!!!」」」」」」」」」」」」
しかし、全員の努力も空しく、時は無情に流れ、執務終了の鐘が鳴り響いた・・・。
「ゲーム、終了。」
ロザリアの無慈悲な一言。そして、
「皆さん、アンジェを見つけられなかったわね。」
とどめが射された。守護聖たちはまるで死刑宣告を受けたかのように項垂れている。
「・・・アンジェ、入ってらっしゃい。」
全員が顔をあげると、そこには探し続けていた補佐官アンジェの姿。
「え?」
「オメー・・・。」
一瞬、絶句した面々であったが、
「「「「「「「「「どこにいたの?」」」」」」」」」
と、ハモリーズ、復活。
「え?ずっとロザリアのところにいましたけど・・・?」
「陛下のもと・・・?」
「はい、聖殿の女王宮の間です。」
一同ががっくりと膝をついたのは言うまでもない。女王宮は男子禁制である。
「入れないじゃん・・・。」
オリヴィエが呟いたが、
「誰もわたくしの所へ来て、女王宮への立ち入りを申請しなかっただけでしょ?」
と、一喝された。
「どこを探してもいいと、わたくしは言ったはずです。皆さんが行動を起こさなかっただけです。」
守護聖全員が思った。 ―――ヤラレタ!!!――― と。
ロザリア、心の一句。
(わたくしが手抜かりをすると思って?可愛いアンジェを護衛もなしに下界へ出すはずがないでしょう?わたくしの手元でゆっくりのんびり過ごす事が一番リラックスできるのよ、あの子は。・・・それにしても楽しかったわね、あの馬鹿軍団が必死にあの子を探している間、お茶会を楽しんだり、一緒に入浴したり。・・・晩餐も、あの子がいるだけで、何であんなに楽しいのかしら?また、こういった機会を設けるのもいいわね・・・。)
おほほほほほほほほほほほほほほほほほほほ・・・・と、いつもにも増して高笑いが響き渡る執務室で、今日も陛下は麗しく過ごされているのであった・・・。
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