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「ロザリア〜〜!!どうなってるのぉぉぉ?」
それはある日の事。
女王陛下ロザリアが朝の執務を始めようかと思った矢先だった。補佐官アンジェリークが怒涛のように部屋に乱入してきたからだ。
「なんなのよ、一体。」
「それは私が聞きたいんだってば。」
「だから、何があったと言うのよ。」
このままでは埒があかないと判断したロザリアは、これまでの経緯を説明するようにアンジェリークを促した。
「あのね・・・。」
「昨日、ゼフェルが帰ってきたの。」
頬を赤らめて嬉しそうに話すアンジェリーク。彼女の恋人である鋼の守護聖ゼフェルは一週間前から視察に出ていた。
「そうね。」
「でね・・・。」
「お帰り、ゼフェル。」
いつものように出迎えたアンジェリークだったが・・・。
「ああ。」
ゼフェルは何故か素っ気ない。ぶっきらぼうなのは知っているが、何故か素っ気ない。
「どうかしたの・・・?」
もしかしたら視察先で何かあったのかな、とアンジェリークは思った。彼は乱暴な言葉づかいとは裏腹にかなり繊細な人で、そのため自分の感情を処理しきれずに周りに当たってしまうのだ、ということを彼女はちゃんと知っていたから。
「・・・・。」
しかしいつもなら何か返答をくれるゼフェルが、何も言わない。黙ったまま彼女の手をひいて、部屋へと向かう。
「ゼフェル・・・?」
部屋に入ったアンジェリークは心配になってゼフェルの名を呼んだ。
―――そうすると・・・。
「アンジェ・・・。」
ゼフェルの態度が変わった。彼女を熱っぽく見つめ、今まで聞いたこともないような声で、囁く。
「やっと、会えた・・・。」
「ゼフェル・・・?」
「おめぇに逢えねー時間がどんだけ長くてつまんねーか、分かるか?頭ん中全部おめーで一杯で、息もできねぇのに、おめーがいねぇ。」
それだけ言うと、ゼフェルはアンジェリークを抱きしめた。
「おめーを抱きしめてねぇと、頭ん中おかしくなってくみてーでよ、オレがオレでなくなってくんだ。」
「さっき、ゼフェル、何にも言わなかったのって・・・?」
彼女の問い掛けにゼフェルはくっと笑って言った。
「他の奴にオメーの可愛い顔なんか見せる必要、ねー。オレにだけ笑ってればいいんだ。時間が惜しいしな。オメーと二人っきりになりてぇと思ったしよぉ・・・。」
アンジェリークの唇に降ってくる柔らかな温もり。
「だから・・・ずっと傍にいろよな。」
そう言うとゼフェルはアンジェリークを抱き上げて、ベッドルームへと続く扉を開けた・・・。
「惚気てるのかしら・・・?」
ここまで聞いたロザリアの感想、第一声はこれだった。まあ、当然といえば当然の感想なのだが。
「何で私がロザリアに惚気なきゃいけないの?ちゃんと聞いてよ!!」
自覚がないらしい・・・。
が、アンジェリークは真剣だった。本気で、惚気てなんかいない、と思っている。だからロザリアもそのまま彼女の話を聞くことになった。
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