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今日も宇宙は滞りなく、平和だ。
「ねえ、ロザリア。」
「何よ。」
午前の執務も終わり、片付けの最中にいきなりアンジェリークが言い出した。
「もうすぐ学園祭の季節だね・・・。」
「学園祭って言ったって、あんた・・・。」
そこまで言いかけてロザリアは後に続くはずだった言葉をやめた。『私たちには関係ないでしょう?』と。そんな事を言えばこの天使が傷つく。至高の女王は自分の補佐官を溺愛していた。もう、これでもかってな具合にである。
「・・・あんた、学園祭に何かあったの?」
「え?ロザリア、知らないの?」
ロザリアは思い出そうとした。確かスモルニィの学園祭は・・・。
「・・・わたくしは、ヴァイオリンのリサイタルを観に行っていたわ。」
「学園祭、出てないの・・・?」
アンジェリークが悲しそうな顔をした。彼女にしてみれば当然親友もいたと思っていたからだ。
「ごめんなさいね。わたくし達はそういった行事には参加しないことになっていたのよ。」
「あ、そっか。ロザリア女王特待のコースだったもんね・・・。」
アンジェリークは考え込んだ。あんな楽しい出来事に参加できなかったロザリアに何とかして楽しさを教えてあげよう、と。
「で、何かあったの?」
「あ、そうそう。すっごくね、楽しかったの。模擬店とかあってね、かき氷とか食べたり、焼きそば食べたりヨーヨー釣りしたり。うちわ持ってね、最後には花火がどおおおん、って。」
大貴族出身のロザリアにはアンジェリークの言っている意味がほとんどわからない。
「かき氷?焼きそば?」
「え?ロザリア知らない?」
「食べ物だって事は判ったけど・・・。」
色々な意味で、さすが大貴族のお嬢様。
「かき氷はね、氷をけずって、その上にシロップかけて、食べるの。甘くって、すっごくおいしいんだから!それでね、焼きそばって言うのは、おそばをいためて、お野菜とかいっぱい入れて、で、食べるの。」
アンジェリークの説明そのまま考えると、おいしいとは思えない・・・。味付けはないのかぁぁぁぁ!!・・・ってな事はおいといて。
「それが楽しいの・・・?」
「それもなんだけど。あ、忘れるところだった。一番なのはお芝居!!」
アンジェリークの瞳がさらにきらきら輝きだす。
「これがもう、すっごいの!半年前からキャストの選考に入って、準備とかあって、学園祭のメインイベントなの!!」
「・・・そんな事があったの。ちっとも知らなかったわ。わたくし、損をしていましたわね。」
補佐官の大興奮ぶりにさすがの女王ものって来た。
「そうだわ!!模擬店とかは無理だと思うけど・・・。」
次の瞬間アンジェリークは天使の笑顔で、こう、言った。
「お芝居しよう!!」
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