「じゃあ、くじ引きしましょ。」
 アンジェリークが差し出したくじを、残った面子は食い入るように見入った。
「・・・念の為言っておくけど、そこに書いてあるのは数字だけよ・・・。」
 女王の一言に一同、がっくり。
「誰がどのくじを引いてもわからないように。公平が第一ですわ。」
 おほほほ・・・。と彼女の高笑いが部屋に響き渡る。
「・・・今思ったのですが。」
 今まで黙って事の次第を見守っていたリュミエールが言い出した。
「なんですか?リュミエール。」
「くじ引き、ということは誰がシンデレラになるか分からない、ということですね。」
・・・・・・・・・・ 。
  言われてみれば確かにそのとおりだ。何もアンジェリークがシンデレラと決まったわけではない。
「そうよ。だから面白いのではなくて?」
「陛下、畏れながら面白い、というのは・・・?」
 彼女の口から出てきたとは思えない発言に驚いた筆頭守護聖が思わず口を挟んでいた。
「そうね・・・。例えばあなたがシンデレラ、とか・・・。」
「ジュリアス様だったら、とっても綺麗ですね、陛下v
  そんなやり取りを聞きながら、ジュリアスは意識が遠くなるのを感じていた、が踏みとどまった。謁見室という彼にとっては最も恐れ多い場で、卒倒なんていう真似をすることはできなかったからである。さすが筆頭守護聖のプライド。
「後は、マルセルとか・・・。リュミエールも似合うわね。」
「いや〜んvそんなのアンジェ嬉しい〜〜。」
 女王の言葉に全く意味の通じていない発言で答える補佐官。

「あ〜。アンジェが王子になる、ということもあるんですねぇ・・・。」
 ルヴァの一言に全員の動きが止まった。
「そう言われてみれば、そうね・・・。まあ、でもいいんじゃなくて?ねえアンジェ。」
「あの格好もいいなぁ・・・。そうだよね!私王子様でもいい!!」
 ロザリアの頭の中では、騎士の格好をしたアンジェリークのそれはそれは愛らしい姿がシュミレートされていた。
(まあ、どちらでもいいわ。この子の愛らしい姿でしたら。)
 そう思う時点でロザリアは、いろんな意味で危ない人物なのかもしれない・・・。

「ねえねえ。てことはオスカー様やランディがシンデレラ演るっていうのもあるんですよね?」
 愛らしい補佐官の爆弾発言。
「うげ・・・。それは、それは・・・。」
「やべ・・・。想像したら気が狂うかもしんね―・・・。」
 オリヴィエとゼフェルとがワシントンクラブへ直行した。
「わたくしの、・・・ああ・・・。」
「想像したくはありません・・・。なんという、うっ・・・。」
  ロザリアとリュミエールが卒倒した。
「陛下!お気を確かに!!ルヴァ、薬湯を!!」
「あ〜。」
 倒れた女王を抱き起こし、慌てて指示を飛ばすジュリアス。でなければ彼も想像してしまうからだ。
(許せ、オスカー。いくら信頼するそなたといえど、私にも耐えられぬものがある・・・。)
 心の中で懺悔するジュリアスであった。

 

まえに            つづく