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彼の声が好き。
少し低い、甘い声。
彼の瞳が好き。 薄い氷青の瞳。
彼の腕の中が好き。 温かくて安心する。トクトクと聞こえる鼓動が、私と同じ。
彼の全部が好き。
私は、彼が好き・・・。
「何考えてるんだ?お嬢ちゃん。」
いけない、オスカー様とデート中だったんだ。
アンジェリークは慌てた。オスカーは何故か彼女の感情の変化に聡い。とアンジェリークは思っている。
が、実際は。
オスカーからしてみれば、今まで数々の女性遍歴を重ね(笑)、プレイボーイの名を欲しいままにしていた上、駆け引きに関しては凄腕の伝説の持ち主だ。アンジェリークという真実の愛を手に入れたので尚更磨きがかかったのである。
ましてアンジェリークは感情が表情にかなり出るので、オスカーからしてみればアンジェリークの変化を感じ取るのはまさに朝飯前なのだ。
「え、えっと・・・。」
「俺に言えないようなことか?」
オスカーは表情を曇らせた(ようにアンジェリークには見える。こういう表情がアンジェリークの気をひくことを分かった上でのことなのだ。オスカー、悪)。
「ち、違うんです。ただ・・・。」
恥ずかしくて言えないだけなのだ。
「ただ?」
重ねてオスカーが聞いてくる。アンジェリークは意を結して話した。
話し終わった後もオスカーはしばらく口を開かなかった。
「・・・やっぱり、いつまでも子供ですよね、私・・・。」
言い終えるとアンジェリークは自己嫌悪に陥って、泣きそうになってその場を立ち去ろうとした。
「いや、違うんだ。」
「だって・・・。」
「あんまり可愛い事を言うから・・・。」
「ほら、オスカー様、子供扱いしてる。」
アンジェリークは拗ねて、ぷいっと横を向いてしまった。
「・・・ずっと思ってたんだが、お嬢ちゃん、可愛いっていうのを勘違いしてないか?」
「え?」
横を向いていたアンジェリークだったが、オスカーの意外な一言に思わず彼のほうを向いた。
「可愛いって、子供扱い以外の何があるっていうんですか?」
「普通の可愛い、はそうだろうな。だが、俺がお嬢ちゃんに言う可愛い、は全く別のものだ。」
オスカーはアンジェリークをその腕に抱きしめると、言った。
「俺がお嬢ちゃんに言う可愛い、は、『俺が出来る可能な限りで君を愛しく想う』という意味の可愛い、だ。分かるか?お嬢ちゃんが可愛くて可愛くて仕方ないから言うんだ。」
アンジェリークは感激のあまりオスカーに抱きついた。
「私、オスカー様が好きです。好きなの、大好きなの。もう、どうしていいのか分からない・・・。」
「俺もだ・・・。愛しすぎて気が狂いそうだ・・・。」
2人は見つめあうと、唇を重ねた。
世界には、今、2人しかいない・・・。
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