「女王陛下、おられました!!」
 10分後、その知らせが守護聖たちのもとに入った。
「何処におられたのだ?」
「スモルニィ海浜公園です!!」
  女官の言葉にジュリアスが反応する。

「それって・・・。」
「夏になったら陛下が家族と一緒に行ってた、っていう所だよね・・・。」
「何でそんなとこ・・・。」
 ロザリア、マルセル、オリヴィエの三人が考え込む。

「・・・行きたかったんじゃねーの・・・?」
 ゼフェルが呟いた。
「だからなんで・・・。」
  ランディが言い募ろうとしたのをゼフェルが遮り、
「・・・家族と、よ・・・。」
 と、続けた。

 その一言に、全員がシンとなった。

「陛下・・・。」
「そっか・・・。」
「そうだよね・・・。」
 それぞれ、アンジェリークの気持ちは痛いほどわかった。彼らも乗り越えてきた痛みの内のひとつだったからだ。
「・・・しかし、だからといって許されるものではない。即刻陛下にお戻りいただくよう、手配せよ。」
「「ジュリアス様!!」」
 ランディとマルセルが抗議の声をあげた。しかし、それをオスカーが制した。
「ジュリアス様の仰るとおりだ。もし陛下の御身に何かあれば、ただでは済まされないんだからな。」
「分かってます、分かってます。でも・・・。」
  彼女が置かれてきた境遇を思うマルセルと、身の安全を考えるジュリアス。どちらにせよ、アンジェリークを想うからこその行為である。それを他の面々も分かっているからこそ、なんともいいがたいのだ。

部屋の中を重苦しい沈黙が流れた。

―――その沈黙を破ったのは、ルヴァだった。
「・・・海、という訳には行きませんが、ここで夏を満喫していただくために、プールなどは用意できると思いますよー。」
「プール、かぁ・・・。」
「家族、とはいかないと思うんですが、ここには私たちもいますからねー。」
 のほほんとした口調ではあったが、彼が彼女を大切に思う気持ちは全員に痛い程伝わった。
「じゃあ、あの子、すぐに連れ帰ってきて。」
 オリヴィエの言葉に女官は頷き、その場を後にした。

「プールは確か、リュミエール様のお屋敷にありましたよね?」
「ええ。すぐに準備いたしましょう。」
 ランディ、リュミエールが楽しそうに話している。
「水着はアタシが準備するにきまってるじゃ〜ん。」
「ええ、あの子もきっと喜ぶでしょうね。」
「勿論ロザリアのもだよ。」
「え?わたくしは別に・・・。」
「あの子一人で入れっていうの?」
 などと、ロザリアとオリヴィエも話の輪に加わる。
「浮き輪なんかも用意しないといけないですねー。」
「アイツ泳げたかぁ?」
「アンジェ泳ぐの上手っていってたよ。」
「他には何かないのか・・・?」
「・・・・全く、騒がしいものだ・・・。」

 などと、和やかに話は弾んで、後はアンジェリークの帰りを待つだけ、だった。

 

 

 

 

のだが・・・。

 

 

まえに           つづく