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「お嬢ちゃん、無事か・・・?」
「オスカー様。私は大丈夫です。それより陛下を・・・。」
無数の傷跡を負った彼女が、無事なはずはない。しかしアンジェリークは自分のことより親友の安否を気遣う。
「陛下はあそこだ。」
オスカーの指差すほうをアンジェリークが見ると、ジュリアスに抱きかかえられているロザリアの姿があった。
「ロザリア・・・陛下のお体は・・・!!」
「お力を奪われてはいらっしゃるが、怪我はないようだ。」
ジュリアスの腕の中に抱かれていたロザリアが瞳を開いた。 途切れ途切れに言葉を繋いでいく。
「わたくしは・・・平気です・・・。それよりアンジェリークを・・・。」
「陛下!!お話をなさっては・・・!!」
アンジェリークが止めるのにもかかわらず、話を続ける、ロザリア 。
「私は・・・ただ、力を、奪われただけ・・・。でもアンジェリークは・・・私を庇って、レヴィアスと・・・。」
「「「レヴィアスと・・・?」」」
ゼフェル、ランディ、マルセルの声が重なる。
「闘って・・・魔法を・・・・ゼロブレイクを・・・受けました・・・。」
―――――ゼロブレイク―――――――― 一撃必殺の魔法。
雑魚モンスターなら一掃出来る技だ。
彼と共に戦ってきたため、守護聖やコレットにはその威力が嫌と言うほど分かっている。
「何だって・・・?」
「マジか?おめぇ・・・。」
「なんということですか。・・・あんな技を受けたなんて・・・。」
オリヴィエ、ゼフェル、リュミエールの呟きも今のオスカーには聞こえない。ただ、愛しい恋人がうけたものに呆然としていた。
「大丈夫です。ホラ、ちゃんと動いてますよ。まともに受けていたら危なかったかもしれませんが、かわしてますし。」
にっこりと微笑む、あどけない補佐官はみんなを心配させまいとして精一杯振舞った。
「私は平気なんです。ですから陛下を。お力を奪われて、一番御辛いのは陛下なんですから。」
「・・・さあ、このようなところに、長居は無用だ。」
クラヴィスの言葉で、一行は東の塔を後にした。
「本当は私も行けたらいいのだけど・・・。」
「アンジェ様は、陛下のおそばにいらっしゃらないと・・・。」
「あなたに全てを託してしまうのは、本当に心苦しいのだけれども。」
次元回廊の前で。
アンジェリークとコレットは向かい合っていた。
「大丈夫です。アンジェ様はここで安心して待っていてください。」
コレットの言葉にアンジェリークは微笑んで言った。
「じゃあ、パーティーの準備をして待ってるわね。・・・それと。」
そう言うとどこからともなくいろいろな武器を取り出した。
「これはジュリアスに。で、これはクラヴィスとルヴァ。」
オリヴィエ、リュミエール、と武器を渡していく。
「これは・・・?」
手渡された武器を見ながら、マルセルが問う。
「古より宮殿に伝わる最高の武器です。本来なら持ち出すことは禁じられているのかもしれないですけど・・・。」
「アンジェ様・・・。」
「あなた方が使うんでしたら、歴代の女王も許してくださるわ。」
コレットが何か言おうとするが、アンジェリークがそれを静止する。
「お願いよ。これくらいさせてちょうだい。本当ならあなたにこんなことをさせること自体・・・妹だって思ってるあなたに、あなたたちに全てを託してしまうんですもの。・・・これは陛下も同じ考えでいらっしゃるの。・・・受け取ってくれるわね。」
コクン。
二人の想いを知ったコレットは素直にそれに従った。
「それと、オスカー・・・。」
どうか無事でいて。
そんな想いを込めて、金の天使は言葉に出すことはなくても、瞳に想いを込めて彼の最愛の人に武器を手渡した。
「それと、コレット。あなたには陛下から。・・・『信じているわ。』って。」
「アンジェ様・・・?」
「大丈夫よ。あなたにはみんなと築き上げてきた最高の武器があるじゃない。・・・信頼と言う名の、とっても強い武器が。」
「はいっ・・・。」
アンジェリークとコレットが信頼を築いている最中に、オスカーは何かが柄に挟まっているのに気がついた。
そっと見てみると、なにやらメモらしい。
カサッ・・・。
『オスカー様へ
必ず帰ってきてください。
あなたがいないと眠れない、子供の私より』
オスカーはじんわりと胸が熱くなるのを抑え切れなかった。
誰よりも何よりもいとおしい恋人を必ず安心させる、と闘志を燃やしていた。
「では、そろそろ行くか?」
ジュリアスの言葉に一行は次元回廊を通っていった。
「行ってらっしゃい。」
微笑んで見送ったアンジェリーク、だった、が・・・。
ドサッッ・・・。
皇帝から受けた傷のため、その場で力尽きて倒れてしまった
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