「おかえり〜〜!!」
「具合はどうなんだい?どこか痛むところは?」
「おめー、爺くせーこと言ってんじゃねえよ。」
「何だと・・・。」
「もう、やめなよ2人とも。・・・ごめんね、アンジェ。」
 退院したアンジェリークを出迎えたのは、マルセル、ゼフェル、ランディの三人だった。少し緊張していた彼女だったが、いつものやり取りに緊張も解け、くすくすと笑っていた。
「他の方は今、執務中なんだって。」
「そうだったんですか・・・。」
 執務と聞いて自分のことを思い出したアンジェリークだったが、それをゼフェルが勘違いした。
「・・・おめぇ、もしかしておっさんにあえねーって、そんで落ち込んでんじゃねえのか?」
「ち、違います!!別に落ち込んでるわけじゃないです!!」
  慌てて否定したアンジェリークだったが、そんな彼女の態度を遠慮だと感じた3人はどんどん話を進めていく。
「それにしてもおめーも、その、淋しかったんじゃねーの?」
「そうだよな。オスカー様と離れてて、アンジェリークは淋しかったんだよな!!・・・安心しなよ、オスカー様はアンジェが帰ってきてるの知ってるし、執務が終わられたらすぐ来られるって。」
「ランディの言うとおりだよ。・・・そうだ!アンジェがオスカー様にあいたいって、僕伝えてくる!!」
 そういうとマルセルは、ランディと共にアンジェリークの話も聞かないで脱兎のごとく走り去っていった。アンジェリークは、自分を置いて勝手に話が進んで言った感は否めなかったが、オスカーに会える嬉しさがそれに勝った。
「でも、落ち込んでるわけじゃなかったんだけどな・・・。」
「んなこと分かってる。」
 独り言を言ったつもりだったが、ゼフェルには聞こえていたようだ。
「え?」
「マルセルのやつ、執務っつったの、気にしてんだ。おめーが今までなんも気にしてねぇ訳ねーのにな。」
  横を向きながら彼女に気を使わせないように、あえてぶっきらぼうに彼は言った。
「ゼフェル・・・。」
「ランディもつられたのを気にしてる。ただ、おめぇが言うとあいつらもっと気に病むから、言わねーでやってくれねぇか?」
 さりげなく言うゼフェルの思いを勿論アンジェリークも分かっている。黙って頷くとゼフェルはにかっと笑った。
「ゼフェルが言ったって事もわたしだけの秘密ね?ダチだもんね。」
「おめぇ・・・。ったく、わかってんのか?」
 顔を見合わせて2人は笑いあった。


コンコン・・・。
  オスカーは執務室のドアを叩く音を聞いた。
「おかしいな・・・。」
 書類が思ったより多かったため、オスカーはその作業に専念したかった。だから誰も取り次ぐなと言って、執務室にこもった。さっきランディとマルセルが来たことは知っていた。が、早く書類を片付けてしまいたかったオスカーは彼らを追い返したのだったが。
「誰だ?全く・・・。」
 そこまで言ったオスカーだったが、後は言葉にならなかった。そこにはアンジェリークが立っていた。手を胸の前で合わせ、肩を震わせながら・・・。

 その瞬間。
 アンジェリークは温かい腕の中にいた。言葉を発する暇さえなかった。
「これは夢か・・・?俺が切望したから見える幻か・・・?俺の可愛い天使はまだここには来ていないはずだが・・・。」
「オスカー様・・・会いたかった・・・。」
 彼の腕に抱かれ、アンジェリークは思わず涙を流していた。

ーーー会いたかった。 ただそれだけを願っていた。

 アッジェリークの柔らかな身体を抱き締めたオスカーはもう、何もいえなかった。

 


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