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「実はあいつが結婚してから、聖地中の女からあるリクエストが殺到してんだよな、クラヴィス?」
いきなり話をふられたクラヴィスは一瞬うろたえたものの、彼にしては珍しく話し始めた。
「・・・ああ、アレか・・・?オスカーの口説き文句が聞きたい、というやつか・・・。・・・どうやらここは、変わったことを好む者が多いらしいな・・・。」
「「「口説き文句!?」」」
ロザリア、オリヴィエ、ランディの3人が見事にハモった。素晴らしい三重奏であります。
「・・・で、な。ちょうどいいときにアンジェがオスカーの話を持ってきただろ?いい機会だからな、そいつらのリクエストに答えてやろうってハナシだ。」
「「つまり・・・?」」
まだ話が分からないお子様2人組。
「オスカーの口説き文句を聖地中に流すんだよ。アンジェの名前んとこと、話してるとこは自動的に省かれるようになってっから、自分が口説かれてるように聞こえるって算段だ。」
「貴方、本当に、なんていうか・・・。」
リュミエールが感心したように頷いている。
「いやー、本当に素晴らしいですねぇ・・・。」
ルヴァも感心している。かなり嬉しかったらしい、極上の玉露を出してきて、みんなにふるまっている。
「あら、ありがとうルヴァ。」
「「「ありがとうございます、ルヴァ様。」」」
「「すまぬな・・・。」」
「わりぃ・・・。」
「サンキュー★ルヴァ。」
(この言葉だけで誰がいったのかわかる方は、かなりのアンジェリーカーと御見受けいたします。)
「じゃ、始めるぜ。」
ゼフェルが言うと、全員モニターに注目した。さあ、愛のオスカー劇場の始まりはじまりぃぃぃぃ。
「恥ずかしがらなくていいじゃないか・・・。君は俺が見つけた最後の天使だ・・・。俺の乾いた心に咲いた一輪の可憐な花だ・・・。」
「そんな・・・私はただ、オスカー様の側にいさせてくださいって思ってるだけです・・・。」
カーテンを握り締めたまま、恥ずかしそうにうつむくアンジェリーク。
「可愛いな・・・。だが、君の顔が見えないのは残念だ・・・。うつむかないでくれ、俺の愛しい人・・・。そうだ、それでいい・・・。瞳をそらさないで、な・・・?いいか、アンジェリーク。ああ・・・いつ見ても君は俺に愛おしさを教えてくれる・・・。君が生まれてきてくれたことに、俺はいつも感謝しているんだぜ・・・?俺と出会ってくれたこと、それが俺が守護聖になってよかったと、心から思えた出来事だったんだ・・・。ん・・・?そんなに赤くなる必要はないじゃないか・・・。俺はいつも真実しか口にしない。君に偽りを告げることは、俺にとってはあってはならないことなんだ・・・。・・・愛してる、俺のアンジェリーク。君がいないこの世界なんて、俺にとっては何の意味も、価値もないんだ・・・。・・・わかるだろ?俺の鼓動がこんなに高鳴っているのは、君が側にいるからだ・・・。愛している、愛しているんだ。何度言っても足りない、いくら言葉を紡いでも、俺の心の全てを伝えきれない・・・君が望むんだったら、俺はいつでも、どこでも、何をしていても君に愛を捧げる・・・。俺を捧げる・・・。俺は君という可愛い罠に囚われた、ただの愚かな男さ・・・。ふっ・・・、そんな瞳で俺を見ないでくれ・・・。・・・ああ、もう俺は君に見つめられているだけで、全てが見えなくなるんだ。俺の瞳には君しか映っていない。いや、映っていないんじゃなくて、君しかいらないんだ・・・。この、澄んだ瞳には、俺以外の誰も映さないでくれ・・・。分かってるさ、ただの我侭だって。だがな、君があんまり魅力的だから心配なんだ。君が俺の視界に映らなくなるととたんに不安になる。全身を駆け巡るんだ、訳もない不安が。体中が凍りつくんだ。なのに、君が現れるだけでそんな不安は一掃される。俺の中を温かい血が流れ出すんだ。君という木漏れ日が俺を包み込む。俺が君を抱いているのに、俺はいつも君に抱かれているんだ・・・。ああ、俺の、俺だけの愛しいレディ・・・。・・・君の唇は天上の温もりだ。・・・君の香りは至上の甘美な音色だ。・・・ああ、アンジェリーク、俺の全て・・・。」
まさにオスカー。低く甘い声でアンジェリークの耳元に囁き続ける。聞いているアンジェリークは、もう立っていられず、オスカーの胸に顔を埋めたまま崩れ落ちている。
「オスカー様・・・。」
潤んだ熱っぽい瞳で見上げられ、オスカーは思わず息をのむ。
「・・・嬉しいぜ、本当に。君が笑う時、それは俺の至上の喜び、君が泣く時、それは俺の腕の中だけだ。俺は俺の全てをかけて君を守る。嘘じゃないぜ、でも命はかけない。・・・なぜかって?君を残して俺はどこへもいけないからさ・・・。安心していいんだ。俺は何があっても君の側にいる。俺の司るこの熱い炎と俺の想いに誓って、な。だから、笑っていてくれ。・・・愛している・・・。」
アンジェリークは涙ぐみながらオスカーに話しはじめた。
「嬉しい・・・。私、オスカー様みたいに美味く自分の気持ちが言えないのが、とっても歯がゆいんです。・・・でも、本当にオスカー様が好きなんです。私の全部なんです。・・・ごめんなさい、やっぱりうまく言えない・・・。」
オスカーはアイスブルーの瞳を見開いてアンジェリークを見つめた。その瞳がゆるゆると優しい光を湛えていく。
「・・・お嬢ちゃん・・・。参ったな。君は魔法だ・・・。俺を捕らえ続ける甘い媚薬だ・・・。言葉なんかいらない。分かるだろ・・・?見つめあうだけでいいんだ。お互いの瞳に真実が映っているんだから。ああ、いくら言っても足りない、愛してる、愛してる・・・。」
そこまで言うと二人は見つめあい、自然と唇を交わした。
「・・・お嬢ちゃんとのキスは、危険だな・・・。もっと欲しくなる・・・。さあ、行こうか。・・・どこへって・・・?ふっ。君が創り出す甘い世界へ、な・・・。」
オスカーはアンジェリークを抱き上げると、シーツの海へ沈んでいった・・・。
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